2008年09月29日

「上司」という仕事のつとめ方 ~ 松山 淳 + セカイカメラ

「上司」という仕事のつとめ方 ~ 松山 淳 + セカイカメラ

心がほっとゆるむ・・・深い思想の淵にて

書籍情報

上司という仕事のつとめ方
松山 淳
実務教育出版
売り上げランキング: 7177

本のひらめき

課長になりたての方も、部長職を張って長年の方も、社長も経営者も・・・人
を束ねる立場の人は、それぞれに悩みが多い。そして深い。

上司とは何か・・・
私はいったいどうすればいいのか・・・

そんな悩みに苛まれたことのない上司など、恐らくいないのではないだろうか。

本書は、上司の方、必読の書。読めば、きっと救われる思いを感じるはず。
僕は、本書を読みながら、「そう思えばよかったんだ・・」といういくつかの
気づきとともに、心がとても癒された。

自分のそばにいて、悩みをじっと聴いてくれる。
本書は、そんな深い香りをもっている。ですます調で書かれた本書は、そばに
寄り添って静かに語ってくれるような雰囲気で、とても心地よい。悩める時は
こんな人に話を聞いてもらえたら・・・と思う。

僕の心を深くとらえたのはこんなメッセージ:

 強さとは「固い」ことではなく、右に左に揺れる「しなやかさ」。
 しなやかでいることは「矛盾」を受け入れるということです。
 だから、上司は、少しぐらい矛盾する発言をしたっていいのです。
 部下から何を言われようと、ひるまないでください。
 合理的に、論理的に、という言葉が重宝がられる職場では
 「矛盾とは力である」ことが忘れ去られています。

 「矛盾」を引受け、大胆に生きることは、なんといっても「徳」を積む
 ことになります。

また、カリスマ性なんていらない、むしろ部下の力を解放することが大事であ
るというのも、多くの上司、マネジャーの心を元気にするのではないだろうか。

だれもが、カルロスゴーンにはなれないし、ジャックウエルチのマネはできな
いのである。しかし、上司として人を生かし、組織を前に進ませる必要がある
とき、この考えは、多くの上司の背中をおしてくれる。

 「どう見られるか」ではなく
 「どうあるか」です。

とは、上司の生き方を映す鏡のことではないだろうか。

また、

 嫌いな部下がいることは、普通です。

 リーダーシップとは、「人間的な魅力」で人を動かすこと
 マネジメントとは、会社の「ルール」に則って人を動かすこと

 部下に本心を伝えることは、二つの相反する結果をもたらします。
 部下のやる気を二倍にし、失敗への恐れを半分にします。

など、素敵なメッセージが、心を啓かせてくれる。

いつも負の要素をやっきになって消そうとしているマネジャーの人がいたなら
ぜひ、読んでほしい。
反発ばかりする部下に心をいためる上司の方がいるのなら、ぜひ本書に触れて
ほしい。

本書は、とても深いところから、上司としての思想を見つめる機会をあたえ、
そして静かに元気を与えてくれる。

出版記念パーティで、この本の著者、松山淳さんにお会いできたことに心から
感謝したい。


僕の思いつき

矛盾、孤独、トラブル、困った部下、心の闇・・・・職場には様々な問題がい
つでもたくさんある。それらから逃げるのではなく、それを引受け、受容した
とき、新たな展開ができる。

そのことに気が付くとき、悩み多い日々もがんばって職場に向かうことができ
るのではないだろうか。

今の僕によい言葉を発見した。孤独の力、孤独の効用だ。

  孤独からは「独創」が生まれます。
  一人になって、人に囲まれている感謝の念を回復させたとき
  孤独感は癒されるのです。

心を開き、人と向かい合うとき、次の展開がひらけてくる。

光があれば影があり、影の中で光は輝く。
陰陽を対立するのではなく、受け入れるときに、きっとよいことが待っている。

本書がかもしだす不思議な香りは、あなたの(私の)心をしなやかにしてくれ
るだろう。



オススメ度

★★★★★+静かなる応援

読んで欲しい方

・上司の立場に悩んでいる方
・部下を束ねる立場の方
・上司としての幸せを感じたい方

Posted by webook at 08:02 | Comments (0) | TrackBack

2008年09月22日

君を幸せにする会社 ~ 天野敦之 + ティーチャーズ

君を幸せにする会社 ~ 天野敦之 + ティーチャーズ

働くことのほんとうの意味とは・・・

書籍情報

君を幸せにする会社
君を幸せにする会社
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天野 敦之
日本実業出版社
売り上げランキング: 1798

本のひらめき

天野さんとは、数年前、まだ証券会社にお勤めのころに丸の内のカフェでお会
いした。「会計のことが面白いほどわかる本」(中経出版)を読んで、どうし
てもお会いしたくなったのだ・・・・。

その後も素晴らしい本を出されているのだが、本書は、なんと物語仕立て。

父親からリゾートホテルの経営を引き継ぐことになったクマ太郎が主人公。
クマ太郎が引き継いだのは「クマの湯ホテル&リゾート」。倒産の危機に瀕し
ながら、経営において大切なことに気づくプロセスがとても素敵だ。
やがて、業績も改善、さらに社員もお客様も自分自身も「深い幸せ」を感じる
ことができる・・・というストリーだ。

MBA仕込みのクマ太郎、ビジネススクールで学んだことを次々と取り入れて
みた。理念の浸透のためにカードを社員に持たせたりもした・・・。

しかし、社員は疲弊、業績は悪化。。。 なぜだ? 

悩むクマ太郎は、福岡に出張したとき泊まったホテルで素敵なサービスに触れ
、ある大切なことに気が付く。お客様の幸せにするからこそ利益を得られるの
だ、そして、お客様の幸せの前に社員の幸せを考えるべきだ・・・そんなこと
に徐々に気づいていく。

聞き覚えのある経営のツボが、ちりばめられている・・・だけなら、この物語
はさして面白くないだろう。しかし、そこに本質をつく社員の言葉があったり
、出来事があったりするところが本書を深い物語にしている。 
たとえば、コン吉のこんな言葉・・・。

 お客様の幸せといっても、自社の利益のためにお客様を利用している
 だけじゃないですか。偽善ですよ。

あまり書くとネタばれになっちゃうので、このへんで。

クマ太郎が、最後にいきつくのは、感謝や愛という深い思想のところ。ここが
本書のもっとも素敵なところだ。

いくつもの大切なことを気づかせてくれる、素晴らしい物語。
経営者の方も、マネジャーの方も、そしてスタッフの方にも読んでほしい一冊。


僕の思いつき

星野リゾートにしても、リッツカールトンにしても、成功企業の記事などを読
むとやってることはだいたい分かる。しかし、その奥にある思想にまでいきつ
かないと、方法だけ真似てみても失敗する。

ビジネスの方法論と仕事の思想が、紆余曲折を経てリンクしていく過程が、実
にみごとに描かれている。僕にとって、大いに気づきをもたらしてくれる本だ
った。

今、ある雑誌の記事を書いているのだけれど、本書を読んで、その最後のしめ
くくり内容を書き直すことにした。汗;

仕事をハウツーやハックスでうまくやるのもいいけれど、その先にある思想や
愛にまでいけたら人生も仕事も素晴らしい。

感謝、愛・・・その意味をこの物語から感じとってみたい。

Every Day is a GIFT とつぶやいたロサンゼルスの消防士さんは、やはり本物
だ、・・・・本書を読んでふとそんなことを思い出した。

ちなみに、この本、星野佳路さん、久米信行さん、福島正伸さん、岡崎充さん
、山田真哉さん、望月実さんといった素晴らしい方たちの「愛」と「応援」で
生まれてきた。素敵な香りのある物語である。



オススメ度

★★★★★+働ける幸せ

読んで欲しい方

・仕事の意味を考えたい方
・社員の幸せを考える立場の方
・働く幸せを感じたい方

Posted by webook at 08:04 | Comments (0) | TrackBack

2008年09月15日

自分をグローバル化する仕事術 ~ 天野雅晴 + こりゃ泣けるね・・

自分をグローバル化する仕事術 ~ 天野雅晴 + 

   グローバル化とは多様化のことだね。

書籍情報

自分をグローバル化する仕事術
天野 雅晴
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 744

本のひらめき

本書は、シリコンバレー在住30年の著者が、日米の行動様式の違いやビジネ
ス・スタイルの違いなどをもとに、多様化するビジネス環境の中で私たちが目
指すべき仕事術をまとめた本である。

日本は、島国かつ単一民族という社会構成の中、独特の文化と歴史を培ってき
た。そこにはいい意味でも悪い意味でも独特のものがある。現在、日本は、外
資系企業で働く人も多く、また上司や部下が外人・・なんていうことも珍しい
ことではなくなった。外人=白人という意識もあったが、最近では、東南アジ
ア、中近東からの外人も多い。多様化の様相もまた広がってきた。

著者は、シリコンバレーに30年。そこは、まさに多様化の実験室のようなと
ころだったらしい。世界中から移民、一時滞在者が集まって、異なる価値観、
考え方の人が主張を伝えあい、認めあい、協働している場所だという。

この両極端を知る著者は、これから世界規模で進む「多様化」の中で、もつべ
き仕事スタイルを5つの世界標準ルールとしてまとめている。

 コミュニケーションのルール
 判断と実行のルール
 目的達成のルール
 自分磨きのルール
 チャンスをつかむルール

という5つだ。

コミュニケーションのルールには、「とにかく自己主張」「単刀直入」「対等
な姿勢で」など、アメリカで働いていると感じることが紹介されている。そし
て、ガシガシ互いの意見をぶつけてばかりではやっていけないので、そこには
ユーモアのルールも登場する。

 人間の脳は、理屈より感情を優先させる

というグランドグールは、日本も海外も同じ。人間の感情を配慮する必要はど
の国も同じのようだ。

判断と実行のルールでは、「テキスト化」「罪文化と恥文化」などが登場する。
テキスト化することは、多様な人種の社会では必須なのだろう。アメリカにい
るとやたらと文書が多い。弁護士や訴訟も多い。

かならずしもアメリカ式やり方が全て優れているわけではなく、日本の中にも
西洋にない素晴らしい考え方もある。その理解の上で、多様性を受け入れつつ
よりよいものへ昇華していくことが、私たちの目ざすべきらせん的発展の方向
なのだろう。

本書は、そんなことを考えるよいきっかけをくれる。


僕の思いつき

多様化とは、可能性が広がることを意味する。とは、以前、田坂広志さんのメ
ールニュースにあったと思う。
そういうことなのか、と新鮮に受け止めたフレーズだった。

多様性の中で、個人はどうあるべきか・・・、そんなテーマも本書では語られ
ている。

 多様化社会では、個人の長所が大切にされる。
 個性に自信を持つことが何より大切。
 
その個性が何なのか・・・なかなか自分では意識しにくい。親しく心を許せる
ともだちがいたら、その人に「さりげなく、いいところを伝える」のもいいか
もしれない。

もう一つ、いいなこれ!と思ったのは、「前代未聞ルール」。
今まで誰もやったことのないことに挑戦してみよう・・というもの。これは、
Moso的発想と同じベクトルだ。

 信念と責任を持って実践すれば、新しいことへのチャレンジがとても
 大きなチャンスにつながる。

いい言葉だね!

自分を信じて、跳んでみよう。



オススメ度

★★★★★+多様性

読んで欲しい方

・グローバルに考えたい方
・ドメスティックを脱出したい方
・多様性の大切さを感じている方

Posted by webook at 08:06 | Comments (0) | TrackBack

2008年09月08日

考えすぎて動けない人のための「すぐやる!」技術 ~ 久米信行

考えすぎて動けない人のための「すぐやる!」技術 ~ 久米信行

   見る前に飛べ! あなたにはその特権がある。

書籍情報

 
考えすぎて動けない人のための 「すぐやる!」技術
久米 信行
日本実業出版社
売り上げランキング: 694


本のひらめき

著者の久米さんは、知る人ぞ知る久米繊維工業の3代目社長さん。いってみれ
ばTシャツ屋さんなのだけれど、縁人奇妙というメールニュースを配信し、ブ
ロガーでもあり、著者であり、さまざまな活動の発起人であり、さらに明治大
学の講師であり・・・と、その活躍はまさに超人的。多くの方がメンターと慕
う方である。

今日の本は、明治大学での講義「ベンチャービジネス論」「起業プランニング
論」の経験から紡ぎだされたもの。しかし、決して学生向けだけではない。

学生に限らず、若い社会人も「見る前に飛ぶ=あれこれ考えて悩む前に行動す
る」タイプがめっきり減ったと痛感する・・というのが久米さんが本書を書く
きっかけになっている。

考えすぎて動けない、引っ込み思案な方(実は、僕もそんな一人だった)に、
読んでほしい一冊。

さて、中身はといえば・・・

 相手の懐に飛び込むためのヒント(電話やメール)
 周りを気にせずにすぐやるヒント(講演、職場)
 失敗を怖がらずにすぐやるヒント(営業、企画)
 自分に負けずにすぐやるヒント(学習や成長の姿勢)

といったことが、心にフックする言葉で語られている。久米さんの文章は、メ
ールでもブログでも、読み手の心にすーっとはいっているのが不思議だ。

31のスグヤル技術には、紹介したいことがいっぱいあるのだが、そうそう!
って僕も痛感することを書いておこう。

 教室の講義でも、講演会でも、ほとんどの場合、後ろのほうから席が埋まり
 最前列があいていることがある。これが日本の悲しい現実。
 だからこそ、最前列にすわり、講師と目を合わせ、時に頷き、時に首を傾げ
 面白ろかったら大いに笑えば、講師も自分も幸せになれる。

 最前列で話を聞くことは、きわめて簡単で効果的なコミュニケーションの
 訓練になる。

スグヤル技術11は、「最前列に座り、最初に挙手、一番に講師と名刺交換」
というもの。私には夢があるの和田華香さんは、まさにそれを実行して成功し
た方だね。

自分が自分らしく輝くためには、特別なスキルや、すごい資格や、飛びぬけた
能力なんかなくてもいい。本書にあるような、ちょっと行動してみる勇気と心
得さえあれば、あんがい「飛べる」ものである。

職場に若い方がいたらぜひプレゼントしてあげてみたい。
自分もまだ若いとおもったら即、読んでみたい。そんな一冊。

自分が自分らしく輝くための、お勧めの本である。


僕の思いつき

我慢できないので(笑)、もう少し紹介を続けよう。

パーティや懇親会、僕も実は苦手だった。億劫だし、面倒だし。
解決のヒントは、名刺にあった。「笑顔の似顔絵や写真つき」「自分のモット
ーが書いてある」「個人ブログのURLがある」という印象的な名刺にであっ
たらチャンスで、ほめながらいい質問をするとよいという。

 素晴らしいモットーですね。
 どんなブログを書かれているのですか?

 どんな商品・サービスがおすすめですか?

 どんな時が一番楽しいですか?

こんな質問から会話が弾み、ご縁の輪も広がろうというもの。

ということは、自分もそういうものを持ち歩くのもいい。久米さんはそれを3
種の神器として定義している。

 カンタンな質問+楽しい名刺+熱く語れる夢

せっかくのパーティや懇親会に、その他大勢、壁の花になってはもったいない。
三種の神器を用意しておこう。

最後に、本書と連動して企画された「すぐやる、Tシャツ」をご紹介しちゃお
う。実に楽しい秘密があるTシャツなのだ。
詳細は、こちら→ http://blog.canpan.info/suguyaru/category_1/
でごゆっくり。


オススメ度

★★★★★+背中をプッシュ

読んで欲しい方

・慎重に考えすぎる方
・思い切って行動できない方
・引っ込み思案な方

Posted by webook at 08:11 | Comments (0) | TrackBack

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