2006年10月31日

完全独習統計学入門 ~ 小島寛之 + 予防接種

 体感する数学

書籍情報

完全独習 統計学入門
完全独習 統計学入門
posted with amazlet on 06.11.03
小島 寛之
ダイヤモンド社

本のひらめき

統計と聞くと、なにやら気持ちが悪い人もいるはず。平均値まではいいとしよう。
ヒストグラムもいいとしよう。体感的にも理解できるから。
しかし、標準偏差、正規分布、カイ二乗分布、t分布・・・とくると、だんだんあっちの世界にいってしまう。体感できない・・・というところから来る。

本書は、そういった統計落ちこぼれ、統計学初めて、統計落ちこぼれつつある人を対象に、統計学を優しく解説した入門書である。恥ずかしながら、僕は、長年疑問だったことがひとつ感覚的にクリアになった。(これでも一応理系なんだけど・・汗)

標準偏差は、統計のキモの部分である。本書もかなり手厚く解説している。著者はこれ以上ないくらいしつこく書いたといっている。

さて標準偏差。体感的にそれを感じる面白い引用がある。±1分で運航しているバスと±10分で運航しているバスは、どちらも平均的な運航タイムは同じになる。しかし、乗るほうとしては±1分のずれのほうが助かる。バラツキ具合(偏差)が大事だということだ。

平均と個別の値の差(偏差)は、プラスマイナスあって、それを合計するとゼロになってしまう。そこで二乗すると±が消える。しかし単位も二乗(分^2)となるので不都合だから、ルートして元に戻し平均をとる。これが標準偏差っていうやつだ。要するに

 大きいほうに離れようが、小さいほうに離れようが、どちらも正の数として
 評価し、打ち消しあわないように平均させるもの これが標準偏差(σ)

へぇー、そうだったの! といたく合点。

こんな調子で、分かりやすく解説してくれる。

統計嫌いな方、おひとつどうぞ。


僕の思いつき

ものごとを分り易く優しく伝える・・というのは、本質を理解していないとなかなかできない。

これまで挫折した分野とか、仕事上でここはどうもわからないけど、まーいいやといったことがらがあれば、これを克服して誰でもわかるような解説を作ってみるのはどうだろう。

分らない分野はちょっと心理的な壁があるので、すでによく知った分野で、素人に説明がちょっと難しい・・・というテーマがいいかも。

アウトプットのいい練習になる。


オススメ度

★★★★★+統計は嫌いだ

読んで欲しい方

・統計をモノにしたい方
・統計をやり直したい方
・統計をこれから勉強したい方

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2006年08月20日

宇宙授業 ~ 中川人司 + 熱闘甲子園

宇宙に生きている私たち・・

書籍情報

宇宙授業
宇宙授業
posted with amazlet on 06.09.17
中川 人司
サンクチュアリ出版 (2006/07/20)


本のひらめき

この本は、元JAXA職員で、現在大阪府立住吉高校の教諭である中川人司さんの作品。いろんな宇宙に関することがわかりやすく書かれている。

その中で、ジュール・ベルヌやH・G・ウエルズの話が登場する。
ロケット、潜水艦、コンピュータも今から100年以上前に、彼らが空想したもので、それがいま現実化しているという。アーサー・C・クラークが1979年に書いたSFに「軌道エレベーター」というのがあるそうだ。こういうのもいつか実現するかもね。

宇宙というのは、宇という「すべての空間」と、宙という「古往今来、すべての時間」という文字から成っている。時間という不思議な軸があるのが宇宙だ。北極星は、地球から約430光年離れているという。いま見ている北極星の光は、安土桃山時代に発せられた光だという。ぉお~。

こんな宇宙のエピソードが優しく書かれている。

ほかに、宇宙のゴミ、星の数、空が青いわけ、宇宙ステーションを見よう・・など楽しい授業が44話。

ちなみに宇宙授業とは、こんな感じ: http://www.universe-t.com/


僕の思いつき

ちなみに本書は、100冊倶楽部の第二回Moso会議で「いーわんさん」が紹介してくださった本である。宇宙の中で、あの場面がなければ出会わなかったかもしれない一冊。これも宇宙の不思議ないとなみの帰結・・・。
  http://ten-thousand.at.webry.info/200608/article_10.html

現在、宇宙の年齢は137億歳だという。
太陽は46億歳。太陽の寿命は109億歳あるらしく、あと63億年ほど輝いてくれるようだ。こんな時間の流れの中で私たちは一瞬の生を生きている。

宇宙のことを考えると、なんだかおおらかな気持ちになれる。

っていうことで、僕たちも宇宙人らしく生きよう!



オススメ度

★★★★+宇宙の意味

読んで欲しい方

・宇宙旅行をしたい方
・宇宙を考えるのがすきな方
・時間軸を感じたい方

●今日のおまけ:( 熱闘甲子園 )

 早稲田実業高校と駒大苫小牧高校の一戦は、15回まで延長し、1対1の  ひきわけ。なかなか見せてくれました。  王監督もTVで手に汗を握られたことでしょう。  あすの再試合が楽しみ・・・。
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2006年08月10日

複雑系の知 ~ 田坂広志 + 素敵なレジの人

読んで分ったその知恵の、その奥に感じるものこそ・・・

書籍情報

複雑系の知―二十一世紀に求められる七つの知
田坂 広志
講談社 (1997/09)
売り上げランキング: 51,205


本のひらめき

田坂広志さんの1997年の作品である。ほぼ9年ほど前に書かれた複雑系の本である。サンタフェ研究所などで研究された複雑系とはなにか・・・それを説明するための解説書ではない。そこには深い思想と哲学の世界がある。

今、私たちが生きているこの世界、宇宙、地球、日本、社会、会社、家族、自分・・それは宇宙の進化と複雑化の中で絶妙なバランスをもって存在している。

それは、人間が「科学」と称して分析や統合してきたごくわずかな智慧では、はかりきれない複雑な系として存在する。

複雑系の中にあって、私たちは今、インターネット革命という新たな進化のプロセスを体験している。その深層を7人の賢人(ポエット、インキュベーター、ストーリーテラー、アントレプレナー、セラピスト、ゲームプレイヤー、アーティストの7人)にたとえて解説したのが本書である。

今回、僕の心に響いた智慧はこれ。田坂さんのレジュメを真似てキーワードを拾い出してみた。

◎インキュベーターの知
  20世紀は「管理」のパラダイム
  管理型社会変革から創発方社会変革へパラダイムが変わる。
  インターネットの3つの革命(情報バリア、草の根メディア、ナレッジ・
  コミュニティ)
  個の自発性が全体の秩序を生み出す
  万物、自ずから然り

◎ストーリーテラーの知
  創発という言葉は、自動詞であって他動詞ではない。
  オープン ダイナミック ポジティブフィードバック
  情報共有から情報共鳴へ
  言霊=生命力をもった言葉 ビジョン
  物語 癒し 信じる力

◎アントレプレナーの知
  ゆらぎ 起すものから起きるものへ 
  革命という言葉から進化という言葉へ
  摂動敏感性 
  摂動=ゆらぎ、敏感性=部分の小さなゆらぎによって
  全体は大きな変動を生じること
  イントレプレナー
  権限の壁 組織の壁 情報の壁
  仲間を巻き込んでいく「共鳴力」
  組織の総合力ではない、個人の共鳴力である

本書には「なるほど!」という知恵のエッセンスがいっぱい。しかし、それを理解することはさほど重要ではない。それを理解し、心の奥で感じたもの、自分の経験と知識の総てに照らして浮かび上がってきたものこそが、本書で得られる「素敵な何か」だと思う。

そういうひらめきがたくさんある本だ。


僕の思いつき

本書には1977年の田坂さんの素敵な横顔(写真)がある。その見つめる目線の先に、エネルギーに満ちあふれるものを感じるのは僕だけだろうか・・。

 あなたは世界であり、世界はあなたである。
 あなたが癒されるとき、世界も癒される。  (クリシュナムルティ)

 この言葉の静けさのなかに、複雑系としての世界は、
 ただ永遠に、我々を見つめているのである。

と結ばれている。うーん・・・・深い。

今日の本と、きのうの本は、あすの100冊倶楽部で、誰かの手に渡り、そこでまたちいさなゆらぎのもとになる予定。

その先の未来はわからない。でもとっても素敵な未来に違いない。


オススメ度

★★★★★+ゆらぎ

読んで欲しい方

・複雑系に目覚めたい方
・複雑系に興味ある方
・今を大切にしたい方

Posted by webook at 18:17 | Comments (0) | TrackBack

2006年07月23日

アドバンシング物理 ~ J.オグボーン他 + 今村道子さんの素敵な講座

物理は楽し!

書籍情報

margin-left:30px
アドバンシング物理―新しい物理入門
J.オグボーン M.ホワイトハウス 笠 耐 西川 恭治 覧具 博義
シュプリンガーフェアラーク東京 (2004/06)
売り上げランキング: 112,565


本のひらめき

本書は、英国で開発された高校生向けの物理の教科書の邦訳である。

ニュートンは、イギリス生まれ。ファラデーもそう。自然科学の発展に大きく貢献した科学者を輩出してきたイギリスは、教育の分野でも先駆的な試みをしているという。

この教科書は2000年から今日まで16歳ー19歳の学生を対象に使われ、なかなか好評らしい。

日本でも数学や科学に対してできるだけ興味を持ってもらおうと様々な活動がなされ、この教科書の邦訳もそのひとつとして行われた。

最新のITや通信事情なども盛り込み、同時に科学の基礎的な原理を理解できるようにしてある。

内容は
 コミュニケーション
 材料
 波と量子
 空間と時間
にわかれ、解説されている。

「あーこの人がファインマンか!」とか、「わ、この顕微鏡写真はすごい!」
といった驚きもある。

付録のCDがあるが、これはまだ邦訳されておらず、英語版のみ。別途入手する必要がある。

夏休みにちょっと見てみるといいかな・・・。


僕の思いつき

教科書。というのは、なかなか魅力的にするのは難しいらしい。
マニュアル。これもまた同じ。
規定。これはつまらなさの権化みたいなもの。

こういうのを面白く楽しくする工夫(いたずら)があるといいねー。

ずっとむかし、訓練機材を試作したときそのマニュアルを絵文字つきで書いたことがあった。作りながら笑える楽しい作業だった。後年、それを読んだ人も「・・ったく」といいながら楽しんだらしい。

硬いものには、どこかに少しの「あそび」を持たせたいね。

オススメ度

★★★☆+英国はえらい!

読んで欲しい方

・科学を復習したいと考えてる方
・物理学に興味ある方
・若者に物理を勧めたい方

Posted by webook at 20:23 | Comments (0) | TrackBack

2005年12月04日

フーコーの振り子 ~ アミーア・D.アクゼル/水谷淳

地球の自転を見にこられたし!

書籍情報

フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験
アミール・D. アクゼル Amir D. Aczel 水谷 淳
早川書房 (2005/10)


本のひらめき

上野の国立科学博物館に長さ20mもある巨大な振り子がある。一度家族で見に行った。フーコーの振り子だ。地球が自転していることを証明するためにフーコーが考案したもの。
ゆっくり動くその姿に、歴史の流れと科学の深さをちょっと感じたような。

本書は、フーコーの物語。レオン・フーコーは、19世紀のフランスに生きた人だ。それほど昔ではない。フーコーは振り子だけじゃなく、ジャイロスコープも発明したらしい。!!

科学の歴史は、あんがいいろんな発見とつながりがあって面白い。

フーコーは、その偉大な功績にもかかわらず世間(学会)からは冷たくあしらわれ不遇な時代があったが、後にアラゴーという科学者とナポレオンによって名誉を獲得したという。フーコーとナポレオン。不思議なつながりがあった。


僕の思いつき

フーコーは手先は器用で、親は医者にしようと医学校へいれる。一時、医者の道を目指そうとしていたが、血をみるのがイヤであきらめたらしい。

フーコーの振り子実験の写真や、新聞記事、手紙などもあって興味深々で読める。

歴史に学ぶのも楽しいね。


オススメ度

★★★★+振り子

読んで欲しい方

・科学の歴史に興味がある人
・フーコーの振り子を見た方
・自転にこだわりのある方

Posted by webook at 12:14 | Comments (0) | TrackBack

2005年07月14日

カマキリは大雪を知っていた ~ 酒井與喜夫 + 7/22イベント

観地望気!

書籍情報

カマキリは大雪を知っていた―大地からの“天気信号”を聴く
酒井 与喜夫
農山漁村文化協会 (2003/10)
売り上げランキング: 67,752

本のひらめき

この本の著者はどうしてもお会いしたい方である。実は、この本を読む前、モリームーンの三好さんから、「新潟にカマキリ博士がいるんですよ!」と教えていただいていた。そのカマキリ博士こそ本書の著者、酒井さんだ。

本書は、カマキリの生態観測(具体的にはカマキリが卵のうを作る位置と積雪の関係の観測)から、地球の不思議に迫るライフワークのお話。酒井さんの科学的アプローチはとてもワクワクする。

仮説と検証、統計処理、科学的な考察・・・カマキリという身近な昆虫を通じて、地球や自然の不思議を知ることができる。すばらしい科学読本だ。

植物(樹木)は地球の微妙な振動を感知し、樹木の中を流れる水の流れや保水の状態を変える。それの振動をハチやカマキリは聞き分け、未来の天気変動を予知する。それによって生命の保存を図るため、卵のうをつける場所を年によってかえるのだ。

カマキリの産卵は、初雪のおよそ3ヶ月前だという。1ヶ月前でも5ヶ月前でもない。この3ヶ月というのも実はヒミツがある。フレミングの法則、地球ダイナモ説などとあいまって、非常に興味深い考察がある。(詳しくは本書でお楽しみを!)

うーん、僕らは地球人なんだ。カマキリも植物も人間もみんな同じ星に住んでるんだぁ・・・って思える本である。

カマキリは嫌いだって方も、ぜひ!読んで欲しい。(電気工学を学んだ方は、ぜったいハマルね。)


僕の思いつき

鳥の巣が高い年は大雨が降る、ハチが川原に巣を作ると干ばつの恐れあり、等古くから生き物と天気に関する言い伝えがある。それなりに当っているなあと思うこともあるが、それを科学的に研究したひとは少ないのではないだろうか。

この本の酒井さんは、それを丹念にしらべ、しかも40年以上にわたり、年に一度しか得られないデータを積み重ねてきた。それだけではなく、疑問に対する仮説をたてそれを検証しているところがすごい。

たとえば、カマキリは他の土地にいっても積雪余地ができるのか・・?などの仮説に対し、実際に実験で確かめている。(どこにいっても地球の音を聞いていることが判明)

科学する心とはこういうことか・・・と感心し、また尊敬の念をもつ。

カマキリ博士といっしょに研究を進めた前橋工科大学の湯沢教授の言葉が印象的だ。

  疑問を疑問のままにしておけばそれで終わりですが、何とかその疑問を
  解き明かしたいと思った瞬間に新たな展開を見せることがある。

今日の疑問は何だっただろうか? ちょっと思い出してみよう。(え、疑問はなかった・・・うーむ、それはそれでいいかもね)笑



オススメ度

★★★★★+90度

読んで欲しい方

・自然観察が好きだった方
・天気予報に興味ある方
・仮説検証大好きという方

Posted by webook at 11:53 | Comments (1) | TrackBack

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