2007年10月29日

翻訳者はウソをつく! ~ 福光潤 + 素敵な出会い@LA

へぇ~、そうだったの!?

書籍情報

翻訳者はウソをつく! (青春新書INTELLIGENCE 184)
福光 潤
青春出版社 (2007/10/02)
売り上げランキング: 6061

本のひらめき

人類が生まれ、様々な言語が生まれ、文化が花開き・・・地球には多様性という奇跡がある。翻訳という仕事はその多様性をつなぐ素敵で面白い仕事。

プロフェッショナルな翻訳家、福光さんがその面白さ、意外さ(トリビア)、楽しさを、時間と場所を縦横無尽にかけめぐって紹介する。そんな本が、今日の一冊。

ものすごく面白い!

例えば、99%の汗・・と聞けばすぐに思い浮かべるエジソンのあの言葉。

 Genius is one per cent inspiration, ninety-nine per cent perspiraition.

そう、天才とは1%のひらめきと99%の努力の賜物である、っていうあれ。電球のフィラメントを見つけるために途方もない失敗を繰り返し、最後に孟宗竹で成功したっていうあのエピソード。この言葉を僕たちは、成功するためにはひらめきも大事だけどあきらめない努力が必要なんだ・・・と理解している。1より99に焦点があたっているよね。

しかし、どうやらご本人(エジソン)によれば、あの言葉の意味は、そうじゃなかったらしい。

本当は「1%のひらめきがなければ、99%の努力も意味がない」というもの。

えぇぇ!だよね。当時の記者が、一般うけをねらい「努力は美徳」というニュアンスで捏造してしまったんだとか。エジソンは、後年のインタビューでそう語ったそうだ。うーむ。言葉は、翻訳の仕方によってずいぶん違うものになる。

英語や翻訳の紹介をするだけでなく、そこに福光さんらしい洞察とユニークさがあるのが本書のすばらしさ。たとえば、上記の1%99%の訳を福光さんは韻を踏んでこんな訳を紹介している。

   天才とは1%の霊感と99%の発汗。

英語と同じく、翻訳にも韻を踏んじゃってるところがすごいね。

こんなエピソードをたくさん交えながら、本書は、とっても興味深い翻訳の世界へといざなってくれる。

正岡子規と野球(baseball) の話、単位の話、タイトルの話・・・など、知的な刺激がいっぱいの本である。

超~おすすめ!
 

僕の思いつき

福光さんとは、ご縁があってお付き合いいただいている。福光さん、行縄さん、そして僕とで本を出そうって話もあった。(いやまだ、継続中~)

記念すべき福光さんの処女作は、きっと翻訳の世界でも長く読まれる記念碑になると思う。

翻訳という仕事の歴史を感じさせてくれるのは、ハムレットの名台詞。
 「生か死か、それが問題だ」っていうあれ。
 To be ,or not to be, that is the question.

これが日本で翻訳された最初は明治7年。そのときの訳はこれだ・・

  アリマス、アリマセン、アレハナンデスカ。

笑っちゃうけど、最初はこうだったんだぁ・・・、きっとジョンマンジロウだって、こんなレベルからスタートしたのかもしれないね。

その後100年以上かかって、いろんな訳が世に出され今にいたる。坪内逍遥なんかも訳している(明治42年)から、なんだか歴史の流れを感じることができる。

この本にある不思議なテイストは、あなたの好奇心をいっぱい刺激してくれるはず。

仕事のプロになるプロセスでうまれたさまざまなトリビアを、自分なりにまとめてみるのもいいかもね。それは自分の歴史でもあり、仕事の楽しみでもある。

なにか始めてみない?


<おまけ>

   アマゾンでは、最近カスタマーイメージっていうのを掲載している。
   http://tinyurl.com/3cjhmo
   ページの左下に、小さな画像があるので、クリックすると楽しい。
   僕もやってみよっかなー。→ http://tinyurl.com/vhljw



オススメ度

★★★★★+そうだったのか!

読んで欲しい方

・翻訳に興味をもっている方
・英語でいつか・・と思ってる方
・言葉の不思議を感じたい方

Posted by webook at 2007年10月29日 03:06 | TrackBack
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