2008年02月19日

ホームレス中学生 ~ 田村裕 + 初めての・・・

 何気ない日常、それは、かけがえのない日常

書籍情報

ホームレス中学生
ホームレス中学生
posted with amazlet on 08.02.19
麒麟・田村裕
ワニブックス (2007/08/31)
売り上げランキング: 264


本のひらめき

社員の一人が、デスクの上に一冊の本を置いていた。それが出逢いだった。
「この本どうだった?」(僕)
「泣けました・・・」(Kさん)
さっそく、借りて読むことになった。今日はその本をご紹介。

漫才コンビ麒麟の田村さんが中学生のころ経験した極貧のエピソードを綴った人間味溢れる素敵な物語。

中学の夏休み前、突然の「差し押さえ」騒ぎから、生活は一転。兄、姉、著者の3人の子どもは極貧生活へ陥る。何しろ公園のすべり台の中で寝泊りし、自販機のコインをあさり、はては草やダンボールまで食べてみる・・・。

そんな中、万引きの誘惑を亡くなっていた母の面影が踏みとどまらせたり、兄弟が助け合ったり・・、ごくありふれた日常に幸せを見つけていく兄姉弟の姿がとても感動的に語られている。芸人らしく面白ろおかしく、そしてせつなく。心に響くストーリーが展開されている。

浮浪者生活から救ってくれた友達の家族、暖かい思いを寄せてくれた工藤夏美先生との出逢い・・・いくつかのエピソードは、私たちの心の奥深いところに眠っている何かを呼び覚ましてくれる。

ホームレスという著者の特異な体験と感情を通しながら、いつのまにか、私たちは自分の心と対話していることに気がつく。なつかしい思い出や親の温もり、兄弟の愛、恩師の言葉が思いおこされ、束の間、心の洗濯ができる。

島田洋七の「佐賀のがばいばあちゃん」のノリで、心を豊にしてくれる一冊だ。


僕の思いつき

本書の舞台になった大阪千里の山田西第二公園は観光名所になっているという。
行ってみるのも楽しいかな・・・

この本の終わりは、

「いつか、僕を見て周りの人が、僕ではなく、お母さんのことを褒めてくれる
 ようなりっぱん人間を目指して。」

で結ばれている。お母さんからうけた無類の愛情を受けられたのだろう。

命を授けられ、育まれ、やがて自らの命を次代に残すことになる私たち。日々なにげなく流れていく時間も、ふと考えると、それはかけがえのない時であったりする。

お茶漬けをかけ込むこの一瞬が
子どもと手をつなぐこの感触が
いってきまーすというその声が

仮にこれで最後かと思いを泳がすとき、何気ないしぐさは、とても尊いものに見えたりする。

すべてのことに、すべての人に・・・・感謝を・・。



オススメ度

★★★★★+カッパ巻き

読んで欲しい方

・生きることの意味を見つめたい方
・麒麟ファンの方
・母の存在を感じたい方

Posted by webook at 2008年02月19日 09:28 | TrackBack
Comments
Post a comment









Remember personal info?