2008年11月03日

エブリリトルシング2.0 ~ 大村あつし + サマータイム終わり

人生、無駄なことはひとつもない・・・

書籍情報

エブリ リトル シング2.0
大村 あつし
ゴマブックス
売り上げランキング: 41661


本のひらめき

心にしみる物語。本書はオムニバスのように6つの物語が展開されている。一
見、関係ないような6つのストーリーは、彩を織るようにたくみに展開されて
いく。全体にに流れるのは、物事のとらえ方次第で人生は変わるという、生き
る意味や働く価値などを感じさせる素敵なテーマだ。

清明という主人公のまわりに配された人たちが繰り広げる人間模様は、どこに
でもありそうなお話だが、たくみに張られた伏線が現れる時、静かな感動と爽
やかな気持ちに包まれる。

第一話は、銀行から中卒の母親を役員から除外しないと融資ができないと言わ
れ、学歴や資格で母親を侮辱するような融資は受けない!と断る社長(清明)
のお話「おふくろの履歴書」。母親のまさみが、清明に伝えた大切なこと・・
それは「理不尽に耐える忍耐力」。祖父の葬儀で聞いた想絶な親子愛が涙を誘
う。(昨年他界した自分の親もきっとそうだったんだろうなと、涙がにじんだ)

子育てをしながらキャリアウーマンを続ける女性の話も、あなたの大切なもの
はなんですか?という深い問いを投げかける。
女でも出世したい!!でも育児はどうする?
そんな彼女を悩みから救ったのは、四歳の娘が差し出した画用紙だった。
第3話、「ホワイト・リビングルーム」もじんとくる。

名前ではなく「簿記二級」とさげすみの呼称で呼ばれていた女性が、仕事とは
何か、資格とはどんな意味があるのか・・・その深いところに気づく物語(第
4話)「一つのメメント」も素敵である。

このほか合わせて6つの物語は、大学時代の5人の仲間が微妙に織り込まれ、
実に見事な構図になっている。それを老いた母親が遠くから見ている最後の話
もすばらしい。

いくつかの素敵なフレーズが心に残る。

 理不尽に耐える忍耐力。

 課長などという嫉妬や羨望の産物よりも、はるかに尊いその笑顔。

 この世に雑用なんてない。雑にやるから雑用になるんだ。

 私の価値が決まるのは、私ではなく、清明(息子)の棺桶に釘が打たれる時。

この本、時を置いて、二度読み、そして二度泣けた。


僕の思いつき

いつか僕も、心にしみる素敵な物語を書き遺したいと思う。小説として賞をと
るとか、とらないとかではなく、この星に生まれ、たくさんの出会いや、様々
な経験をし、気づき、感動、落胆、悩み・・・さまざまなな出来事の中で、ひ
ろったエピソードを物語にしたら、きっと楽しいだろうなと。

本書の中に登場する様々な人たちやシーンも、きっと大村さんの原体験のいく
つかがベースになっているのだろうなぁ。

人生無駄なことは一つもない。

そんなメッセージも受け取ったような気がする。
第一弾のエブリリトルシングも読みたくなった。



オススメ度

★★★★★+生きてる証

読んで欲しい方

・自分の人生について考えたい方
・心を少し解き放ちたい方
・仕事の意味を感じたい方

Posted by webook at 2008年11月03日 10:21 | TrackBack
Comments
Post a comment









Remember personal info?