2009年06月08日

スローシンキング ~ 安藤雅彦 + セミナー道(その2)

回り道も決して無駄ではない・・・・

書籍情報

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本のひらめき

ニュートンが万有引力を発見したのは、「リンゴが落ちるのを見て」ひらめい
と、どこかで習った(読んだ)。リンゴのエピソードは、学校で習った引力の
知識とともに、万有引力の法則を分かった気にさせるのに十分な効用があった。

しかし、ニュートンが万有引力の法則を発見したとき、彼が目にしていたもの
はリンゴだけではなかったという。おぉー。
では、彼の目に映っていたもうひとつの“あるもの”とは何か・・・・。
(これは、言っちゃうと読む楽しみが減るので内緒にしておこう:笑)
そこには、ニュートンが必死に考えたヒントがある。

私達は、GooogleやWikipediaなど、ネットで調べれば何でも
分かってしまう(気になれる)便利な時代に生きている。学校や塾では、質問
に対する答えを知識として覚え、答えることが求められる速効性の時代でもあ
る。著者は、そこに潜む落とし穴に注目し、私達が失いかけたものにフォーカ
スする。

クリックひとつで様々な知識や情報が手に入る時代は、同時に「思考の近眼化
」や「自ら考える力の喪失」をもたらしているのではないか・・・・著者の眼
に映る現代社会の問題点である。

私達が陥っている「ある知識を簡単に得ると考えなくなってしまう」危険性に
警鐘をならす本書は、興味深い地学的なエピソードを披露しながら、自ら考え
る大切さについて再認識させてくれる。

自ら考える力を育むためには、
  ・好奇心をもって「種々雑多な物事」に触れる
  ・新しく得た知識と自分の知識との間に「違和感」をみつける
  ・生まれてくる疑問をどんどん「疑問の箱」に放り込んでいく
  ・疑問の中から基準を見つけられたものを「関連づけ」ていく
  ・関連づけられた情報を「情報の棚」に整理する
ことが大切だという。

地球温暖化に対する別の視点、地球の大きさを測ったエラトステネス、テレビ
に映る137億年前の光・・・・など、興味深い地学のエピソードをまじえて
展開される内容はとても楽しく読める。

テレビのクイズ番組のように「広く」「早く」「浅く」知ることにメリットを
感じる今日、「深く」考えることの大切さを感じさせてくれるとてもお勧めの
本である。


<僕の思いつき>

僕たちは子供の頃、質問の天才だった。
 どうしてお月は痩せたり太ったりするの?
 どうして空は青いの?
 どうして海は青いの?
 どうしてテレビは映るの?
大人になるにつれ、そうした疑問や質問は、「そういうもんだ、学校で習った
だろ」という免疫が増えるとともに、本質を掘り下げる努力をしなくなる。
考えることより、覚えることに重点を置いたいまの教育のしくみは、それを加
速している。

高校時代、「地学」というのがあった。なんだか興味をそそる授業をしてくれ
た先生は、一風かわった雰囲気の方だった。どことなく不思議な魅力をその講
義に感じていた。それは先生のもつ魅力でもあり、同時に悠久の時間と壮大な
宇宙を感じさせてくれたからだった。その先生は、子供のようなきれいな目で
受験を勝ち抜いてきた生徒たちに、簡単だけど深い質問を投げかけてきた。
それは、かなり新鮮な問いかけであった。

今日読んだ本は、そんななつかしい昔を思い出させてくれる素敵な本である。

著者は、河合塾(名古屋が基盤)の地学の講師。ちょっとかわった教え方は塾
生たちに人気らしい。

著者の安藤さんも、じつは安近短の受験対策の仕組みの中で、安勅に答えを覚
える効率性と、もっと深く考える力を養おうという、矛盾の中で塾講師という
役がらを演じている。どちらかに割り切るのではなく、その矛盾に対峙しなが
らなんとかそれを解決する方策を模索している・・・そんな姿勢が好感だ。

仙台と名古屋の往復の途中、東京で途中下車していただき、ジェイカレッジで
ぜひ、講演していただきたい。


オススメ度

★★★★★+思考の近眼化

読んで欲しい方

・ものごとを深く考えたい方
・教える立場の方
・考える楽しさを感じたい方

Posted by webook at 2009年06月08日 15:22 | TrackBack
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