2011年08月04日

下町ロケット ~ 池井戸 潤 + 違和感という第六感

その部品がなければ、ロケットは飛ばないんだ。

書籍情報

下町ロケット
下町ロケット
posted with amazlet at 11.08.17
池井戸 潤
小学館
売り上げランキング: 32


この本のツボは?

直木賞受賞で、にわかに注目されている作品。とってもハラハラ・ドキドキの
ビジネス小説だ。中小企業と銀行の関係、大企業と中小企業のパワーバランス
など、世間によくある不条理な世界を横糸に配し、働く意味や中小企業の誇り
などを縦糸にして、読み応えのある物語が展開する。

ちょっと前に日本が高揚した「はやぶさ」の偉業も記憶に新しい。だから、こ
の小説は、そんな日本の宇宙開発を頭の片隅に置きながら興味深く読める。

登場するおもな人物は、

 佃航平:主人公。宇宙科学開発機構で水素エンジンの開発を担うが、打上げ
     失敗に終わる。事情があって家業の中小企業の社長となる。エンジ
     ン部品を製造する企業だ。しかし、納品先から一方的に取引を打ち
     切りにされたり、競合から特許訴訟をしかけられたりする。
     おまけに、銀行からは、雨降りに傘を取り上げられる仕打ちも・・。

 殿村直弘:佃の会社に銀行から派遣された財務担当。遠慮しつつ、窮地の中
     敢然と佃を支える人になっていく。

 さらに、銀行マン、弁護士、ライバル企業や大手重工など
  
強引な手法で中小企業をねじ伏せてきたナカシマ工業との特許戦争や、大企業
の中でどろどろと渦巻く陰謀に翻弄されたり・・など、先の展開を早く知りた
くなるストーリーは、思わず時間を忘れさせてくれる。

後半は、コア技術の特許だけを頼りに、巨大企業の帝国重工と戦う中小企業の
姿が描かれる。ロケット開発の中心を担う帝国重工は、コア技術のエンジン・
バルブの特許で、あろうことか中小企業の佃製作所に先を越されてしまったの
である。中小企業を見下す帝国重工は、あの手この手で佃製作所に圧力をかけ
てくる。

帝国重工の富岡、佃製作所のメインバンクだった白水銀行の柳井など、悪役陣
の活躍(?)のほか、佃製作所の若手の内部反乱や娘との不調和など、内憂外
患は、佃社長を深い葛藤の闇に放り込んでいく。

そんな中で、佃の仕事にかける情熱や夢、そして、ほんとうに大事なことが、
ぎりぎりのところで救われる展開は爽快だ。

小さな中小企業の技術(エンジンのバルブ)が、宇宙開発の根幹を担うという
ちょっと痛快な物語は、閉塞感漂う日本の中小企業を大いに元気づけてくれる。
同時に、真摯に働く人たちへの一服の清涼剤にもなるのではないだろうか。

実は、池井戸さん、僕の実家の近くの人。で、それがなにか?って言われそう
だけど(笑)いいことがあると、いろいろかこつけて近づきたくなる気持ちが
よくわかる。ともあれ、直木賞受賞は、なんだかうれしい。
ドラマ化も決定(8月21日~)

ドキドキして読めるビジネス小説、夏の夜にぜひ!

おすすめ度は?

   ★★★★★+リフト・オフ!

知りたい?

   ・特許訴訟の舞台裏
   ・銀行マンの矜持
   ・技術者の誇り


■■今日のおまけ:( 違和感という第六感 )

 時々、違和感を覚えることはないだろうか。
 ニュースでも、人が言った言葉でも、あるいは自分の判断でも・・・。
 それってもっともらしいけど、なんか違う・・そんな感覚。

 原発再開のやらせメールも、多くの人がひどい話だ・・・といいつつ、
 一方で、多くのビジネスマンは、なんだか似たようなことは会内で
 ちょくちょくあるな~と感じていた人は多いのではないだろうか。
 ケシカランと声高にいうと、それが自分にも帰ってくるような微妙な感覚。
 
 開店時に行列ができるようにお金でサクラを集めるのも、いわばやらせで
 ある。
 選挙で、○○さんを応援しようと企業などが組織表を動かすのも見方を
 変えれば、やらせの一種。
 株主総会に社員株主がいっぱい参加して、異議な~し!なんて叫ぶのも
 やらせの一種。
 マスコミだってそうだ。報道したい方向性にそったものだけ抽出するのは、
 ある意味で情報の操作である。マスコミ上層部の圧力で、ニュースの伝え方
 が変わる・・・なんていうやらせもきっとあるはず。
 
 こうなると「やらせ」と「まとも」の違いは、対象によるのか、やりかたに
 よるのか、程度によるのか、状況によるのか、タイミングにもよるのか・・。
 結構、微妙な問題に見えてくる。人はどこで、反応の過敏性を切り分けて
 いるのだろうか。

 もし、原発再開問題で、反対派の人が、「みんなで反対メールをいっぱい出
 そう」と運動して、NOの結論がでていたら、私達はどう思ったのか・・・。

 どうやら、やらせの背景にあるパワーバランスが重要そうだ。
 権力と金力のある人が何かを操作した結果、ある結論が導かれるとそれを
 やらせ というってことだね。
 もう少し言うと、ジャッジできる立場の人が、裏で何か操作をしているよう
 な場合を、「やらせ」ということか。

 権力やお金のアンバランスを崩してきたのがインターネット。
 中国も、絶大な権力をもった国家と、インターネットという武器を手にした
 民衆の間で、静かにそのパワーバランスがシフトして、共産党のやらせが
 やりにくくなってきている。

 原発再開メールのニュースを聞いて、いつも感じるこの違和感。ちょっと
 掘り下げて考えてみたいな~。 「これから、やらせの話をしよう」笑

 強要、やらせ、公正    
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 微妙な問題を、私達は、違和感という素敵なセンスで感知している。

 

Posted by webook at 2011年08月04日 09:46 | TrackBack
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