2016年10月13日

「良い質問」をする技術 〜 粟津恭一郎 

質問は、他人事を自分事に変換する

書籍情報

「良い質問」をする技術
粟津 恭一郎
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 2,039

この本のツボは?

たぶん、この本は私にとって、今年一番のヒットだと思います。
様々な場所で使える技術がいっぱい、ひらめきがいっぱいの本だからです。

コーチングで大事なことは、ひとことでいえば・・・なんでしょうか?

それは、「質問」です。更に言えば、「よい質問」。

本書は、その質問の意味と価値と方法を気づかせてくれる素敵な本です。
コーチAの粟津さんが書き下ろした良い質問の教科書です。

身の回りでよく耳にする次のような問いの言葉・・・

 ・どうして、こんなことができなかったんだ?
 ・なんで、宿題やってないのよ〜
 ・なぜ、君は同じ事を繰り返すのか?

いずれも、質問のような外見でありながら、その実、中身は叱責、責め、咎める
気持ちが充満していますね。
言われた方は、瞬時に心のシャッターをおろします。たとえそれがまっとうな
内容であっても。

本書でいう「良い質問」とは何でしょうか。それは、問われた方が、思わず
答えたくなる、新しい気づきを与えてくれる質問であると、定義しています。

理解することと、気づくことは、何が違うでしょうか。ほとんど同じなのです
が、ちょっとだけ違うのは、分かった後、自発的行動に繋がるかどうかという
点です。一方的な教育や指導は、理解にはつながるものの、自発的行動につな
がらないことも多いでしょう。分かってるけどやらない・・っていうあれです。
気づきは、それに比べ、次のステップに行きやすい。わずか1ミリほどの差で
すが、そこが大きな分かれ目です。
良い質問とは、その1ミリを分ける問いといえましょう。

もう一つ、指示と質問の違いも解説されています。
  xxxをしなさい。という高圧的な指示と、
  xxxにするにはどうしらたいいと思う?という問い。

同じ事をしむけているのに
前者は心の中に穴に籠りたくなる壁を、
後者は、穴から出たくなる気持ちを誘起します。

著者の粟津さんは、この違いを「質問は、人と人との関係を対等にする」と
表現します。なるほど、そうですね。

もうひとつ大事なポイントがあります。それは「質問には、思わずその事に
ついて考えてしまう」という強い力があるということです。
誰かから言われた、ちょっとした問い。
自ら心に浮かんだ、ちいさな問い。
それらが、心の中に内在化し、次なるステージへの架け橋となるということ
なのです。素敵な一文をメモしておきましょう。

 質問には「そもそも人の心を強く捉え」「指示・命令よりも心の中に
 すっと入り」「ひらめきと自発的行動を促す」といった性質があります。


粟津さんは、質問を4つに分けています。軽い質問、重い質問、良い質問、
そして悪い質問。マトリクスで、横軸が気づきの大小、縦軸が答え易さと
すると分かり易いでしょう。

軽い質問は、相手との関係をよくする質問で、聞かれて嬉しい、答えて楽し
くなるものです。雑談時の質問ともいえます。「最近、テニスやってる?」
とか「アップルウオッチを着けた感じはどうですか?」とか。

悪い質問は、「なんでそんな事聞くの?」というもの。相手の状況や心情に
配慮しない無遠慮なものは悪い質問になります。プライベートにあまりに立
ち入る質問などはこれにあたります。「なんで結婚しないの?」なんて、よ
けいなお世話です。「なんで宿題やってないの?」なんてのも、やる気を削
ぐ質問です。そもそも、否定形で聞いているところからNGですね。

重い質問は、質問された人が答えたくないけど、深い気づきを与えてくれる
ものです。例えば、「今まで人には言えなかったけれど、改めてみたいこと
はありますか?」「やめたいと思いながらつい続けてしまっていることは何
ですか?」など。

そして、良い質問は、その事を聞かれて、おおきな気づきと自発的な行動へ
のきっかけになるものです。例えば「もし、あなたと○○さんが逆の立場だっ
たらどうえしょうか?」「営業目的は、なんおためにあるのでしょうか?」
など。本質にさりげなく近づく新しい視点の質問がいいですね。

ここで、あなたへの良い質問!(笑)

 今まで、人に言われた質問で、あなたに大きな気づきを与えたものは
 どんなことですか?

 今まで、あなたに会えてよかったといってくれる人はいますか?

 今まで、あなたが恩人と感じる人はどなたですか?

いきなり重い質問や良い質問をぶつけても、相手は構えてしまいますから
はじめは、軽くて心地よい質問を投げ合うのがよいでしょう。

ランチタイム、楽しい会話があると思いますが、時に誰かの一人舞台に
なってしまうことはありませんか? ほんとは、みんな話したいのに。
時折、この人いつ息をしてるの?と思うくらい間を入れないで話しをし
続ける人がいますが、そういう方は、ちょっと人の気持ちを考えると
いいですね。

そんなとき、軽い質問で、みんなが話せる雰囲気をつくるランチトーク
のファシリテーターをやるといいですね。(微妙な間合いがいりますが)

良い質問は、答える人の心を開き、思わぬ深いトークを引き出します。
本書を読んで、よい質問の持つ素晴らしい価値と効果を感じて欲しいと
思います。

おかげさまで、僕は、とてもいい気づきをいただき、そして、次の行動
を起こす事になりました。粟津さまさまです。w

とっても、おすすめ!

おすすめ度は?

   ★★★★★+思わず答えたくなる

知りたい?

   ・職場のコミュニケーションを良くしたい方
   ・本質に迫る対話をしたい方
   ・良い質問のヒントを得たい方


■■今日のおまけ:( 私の前世は鷹? )

 私の前世は、ブタかイヌだったかというお話をしましたが、さらにその前には
 鳶か鷹だったかもしれません。
 なぜなら、上の方から俯瞰してものごとを見るのが好きなのです。
 で、大枠がみえて絵もかけるのですが、細かい事をじっくり進めるのが大の苦手。
 飽きっぽいというか、忍耐力がないというか。
 手も足も口も出したいけど、上でくるくる回るだけ・・・
 もどかしいったらありゃしない。
 時々、人間にもどるとつい手を出して、じゃ、僕がやります!なんて言っちゃう
 もんだから、よけいにいそがしくなったりする。
 でも、ま〜それが楽しいからいいですね。やらされて忙しい事ほど嫌なことは
 ありませんが、自分でやりたいことをやって忙しいのは、楽しさのみ。

 そこどけそこどけ めんどうならば おれがやるから くちだすな
                     出典:(小林いっちゃ)ここんちく集

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Posted by webook at 2016年10月13日 21:16 | TrackBack
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