2005年01月21日

国家破産以後の世界 ~ 藤井厳喜

破産てことは、えーっと・・・あのね・・・

書籍情報

「国家破産」以後の世界
藤井 厳喜
光文社 (2004/12/15)
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本のひらめき

有名な企業が債務超過に陥ったり、再生機構の下におかれたり、銀行が国の管理下におかれたり・・・従来は考えられなかったことがちょくちょく起きている。さらに国の財政もどうもあやしいらしい。しかし、それを自分の生活と直結して考えることはあまりやらない。けっこうのん気というかのう天気というか、僕たちはたいへん平和な生き方をしている。

ところが、このごろマスコミもさかんに国家財政の破綻を正面からとらえて報道するようになってきた。

それでも、国家財政がどんな状況なのかは身近なものにたとえてもらわないとピンとこない。そこで、2005年度予算に関する読売新聞の記事を見ると、

『一般会計の総額は前年度(2004)当初予算とほぼ同じ82.1兆円
 だが、借金の償還、利払い分である国債費17.6兆円を除いた支出は
 64.5兆円もあった。
 これに対して、税収など借金以外の収入は45.5兆円しかない。
 財政赤字は36.6兆円でこれを埋め合わせるために、新たに国債を
 発行して帳尻を合わせた。』

これを家計にたとえると
 
『月の給与収入が45万円なのに家庭が買い物や教育レジャーなど生活費に
 64万円を使い、17万円のローンの返済分も含めて新たに36万円を
 借金した。 』

となるという。(比喩から逆に考えると最初の解説はいかにも分かり難い)

本書はこうした日本の実態の解説に加え、国家破産の処理シナリオ、破産国家の事例(アルゼンチンなど)、破産後の世界などを展望する。ほとんど、かわぐちかいじの漫画みたいになってくる。

かなり衝撃的な本だが、じっくり読んでおく価値はある。

僕の思いつき

ビッグコミックの中にかわぐちかいじ氏の描く「太陽の黙示録」という漫画がある。大地震が日本列島を襲い、日本がふたつに割れてしまう。そして南北に分断された日本は復興の過程でアメリカと中国の統治下に置かれる。そんな話である。この漫画では地震がきっかけだが、財政破綻も地震と同じような危機の要因だ。

そのとき何が起きるのか・・冷静にシミュレーションすることは大事だ。一人でするのは結構難しいが、3人くらい集まってマジで議論するといろいろ分かることもある。

国レベルが難しくても、自社レベルならもっと具体的に想像できる。あぶない会社(しかも老舗の大手)は結構ある。

いざという時のことを考えてみることは、無駄にはならない。さてと・・・・。うーむ。

オススメ度

★★★★★+Default

読んで欲しい方

・危機管理をがっちりやりたい方
・シミュレーションがすきな方
・備えあれば憂いなしの方

Posted by webook at 2005年01月21日 20:41 | TrackBack