2005年06月06日

ブランド・ストレッチ ~ デビッド・テイラー/グロービス

自己中心はいけません。

書籍情報

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グロービス選書2 ブランド・ストレッチ 6つのステップで高めるブランド価値
デビッド・テイラー グロービス・マネジメント・インスティチュート
英治出版 (2004/12/05)
売り上げランキング: 121,761


本のひらめき

BSC(バランススコアカード)のセミナーでは、よく「見えざる価値」の話をさせていただく。Intangible Capital(無形資本)なんて表現したりする。

その見えざる価値の中には、発明をするような優秀な人材がいるとか、すばらしい企業経営システム(トヨタ方式など)があるとか、顧客リストがあるとかいろいろある。そして、最も見えにくくかつ重要なものが「ブランド」というものだ。

本書では、築き上げたブランド資産をどう活用すればいいか・・・がテーマとなっている。ブランドをむやみやたらに拡張すると失敗するし、ほっておいてはもったいない。

いくつかの実事例をもとに、失敗や成功の分析を行いつつ、ブランド拡張の要諦を探る本である。

失敗事例には、バージングループ(音楽や航空事業)などが紹介されている。バージンは、コーラやジーンズなどにそのブランドを展開して失敗した事例として登場する。これは、「自己中心ストレッチ」(つまり自社の都合だけ考えてしまった)の失敗例だという。

また成功事例には、iPod(アップル)や紙おむつのパンパースなどが登場する。しっかりとコアターゲットを見定め、ポジショニングを強化する、そして製品のブラントプロミスを実行する・・といったあたりが成功要因だ。

ほかの事例は、あまりなじみのない企業が多いが、製品の写真や適切な図解が理解を助ける。

コアの強化、ビジョン構築、機会発見など6つのステップで解説が進むが、僕的に覚えておきたいことは:

 ブランドストレッチ(ブランドを拡張して儲ける)は、成功率が低い。
 自己ストレッチ(身勝手な思い)は失敗のもと
 ブランドが価値を発揮できるターゲット分野を絞ろう
 製品の中身とブランドプロミスをしかり実現する
 明確で意欲的なビジョンが大切
 
などなど。

ブランド価値を高めたい方、ブランドをお金に変換したい方、必見。


僕の思いつき

自分のいる会社のブランドが何か、考えてみよう。そういう部署に僕はいないから関係ない・・・なんていわないで・・。

そのブランドが、どんな風に展開されているか。それは成功しているか、失敗しているか・・・。そういうのも考えてみる。
考えるときは、図解(あるいはマインドマップ)してみるといいねぇ。

うちにはブランドなんてないや・・・なんて方は、どんなブランドを持てばいいかを考えてみる。

見えない(と思われている)ものを見えるようにするのは、案外楽しい。



オススメ度

★★★★☆+ストレッチ

読んで欲しい方

・ブランド構築・拡張を仕事にしている方
・ブランドに興味ある方
・ブランドものが大好きという方

Posted by webook at 2005年06月06日 13:47 | TrackBack