2005年06月27日

東欧チャンス ~ 大前研一 + ハイブリッド対談

中国の次は・・

書籍情報

東欧チャンス
東欧チャンス
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大前 研一
小学館 (2005/06/15)
売り上げランキング: 89

本のひらめき

大前研一さんの東欧レポートである。
大前さんは常々、「一年に一つはテーマをきめ、その道の専門家になる」と言っている。(サラリーマンサバイバルなどでそんな激を飛ばしている。)2004年は中・東欧の経済とビジネスだったようだ。

本書は、中・東欧のビジネスマップを大前流に分析したレポートである。歴史あり、記憶に残るエピソードあり、人物紹介あり、企業紹介あり・・・様々な面から中・東欧の今とこれからを分析している。紀行エッセイみたいなノリもあり、とても読みやすい上に、しっかりビジネスのツボが押えられているから読み応えがある。

現在、憲法問題で躓いているとはいえ、EUは確実にその地歩を進めている。歴史と文化と言語とビジネス。ヨーロッパはやはり面白い。そして、EUに統合してからそのボーダーレス化はますます進み、便利にもなってきた。

域を広げつつあるEUの注目株が、中・東欧というわけだ。
理由は、低コストで質の高い(技術レベルの高い)労働力があること、そして西欧市場やロシアに近いというアクセスのよさもある。中国とは異なるビジネス的魅力があるのだ。

中欧=チェコ、ポーランド、スロバキア、ハンガリーや、南東欧=ルーマニア、スロベニアなどを中心に、各国事情が解説されている。

さて、それらの国で何が進んでいるか?

それは、中国に代わる質の高い生産拠点、そして欧州企業のバックオフィスのアウトソーシング(BPO=Biz Process Outsourcing)の拠点である。

本書の強みはなんといっても、「実地調査」である。大前さんを団長にした日本企業の調査団が現地に行って、企業訪問やキーパーソンに会って話を聞いてきた・・・というのは、なにより差別化優位がある。

中・東欧の今と近未来へのガイドとしてお薦め!


僕の思いつき

世界地図や地球儀は、基本的に地形や産業、気候などが中心である。本書を読んで面白いとおもったのは、中・東欧諸国の人物紹介だ。

たとえば、有名なハンガリ-人には、投機家のジョージ・ソロス、新聞王のジョーゼフ・ピューリッツァー、BASIC言語の創設者ヤーノス・・などなどへぇーと思う人がズラリ。人口比率からいうと世界でもっともノーベル賞受賞者を多く輩出した国でもある。ビタミンCのアルベルト、ホログラフィーのデーネシュなどがいる国だ。(そんな人知らない? 僕も知らなかった。笑)

夏休みの子供の宿題に、こういう人物地球儀とか、人物世界地図なんて作ったら面白そう。(帰ったら、さっそく、そそのかしてみよう・・・)

中学生くらいになったら、東欧諸国に進出している日本企業の研究も面白いかもしれない。
中・東欧諸国への日本企業の進出は意外に多く、一番多いのはチェコ。118社が進出しているという。(松下、トヨタ、旭硝子、東レなどなど)
その次は、ハンガリー、ポーランド、スロバキアと続く。P147にチェコの地図と進出企業のマップがあるが、これをみてどんな風に会社をやってるのだろう?どうしてこんなに多く進出しているのだろう?などと疑問を膨らませて考えてみると楽しいハズだ。地球規模でいろいろ考えると楽しそうだね!

そうそう、愛地球博にいくなら、その前にこの本を読んどくと、ぐんと面白いことになる。(愛・地球博のガイドブックより1000倍の価値あり)笑



オススメ度

★★★★★+変化する標的

読んで欲しい方

・欧州が好きな方
・EUの動向に関心ある方
・地球博に行く予定の方

Posted by webook at 2005年06月27日 22:15 | TrackBack