イタ・ラクゴアリンス
著者は、40年ほど前ある半導体を発明した人である。ソニーマグネトダイオード(SMD)と呼ばれ、エサキダイオードの再来かと当時、マスコミでも騒がれたらしい。
ソニーでエンジニアとして勤めてきた著者は、部類の落語好き。いつか落語の本を・・という思いがかなって出てきたのが本書だ。ただし、落語といっても技術者的な視点で、落語の面白さと会社での生業、技術のことなどが繋がったちょっと楽しい内容になっている。
随所にシャレがあって楽しい。
「落語は、疲れた心を癒すというだけでなく、人間理解という点でもずいぶん役にたってきた」と振り返る著者は、本書を「役に立つ落語」と命名。
こし方を振り返るエッセイだが、なかなか面白い。
SONYの社長を務め、かつオーケストラの指揮者としても有名だった大賀さんについてこんなエピソードが紹介されている。
 「けれど私だって、大賀さんの半分くらいの線まではいっているんだよ。
  だって彼はコンダクターだけど、私の専門はセミコンダクター(半導体)
  なんだから。」
ゴルフがなかなか上達しないという著者は強がりをこんなジョークにする。
 「今度のコンペでは、72で回ってみせらぁ」
 「72はいけないよ。頭がパーになっちまう」
マジメひとすじの研究者も「落語(笑い)」というエスプリで、一味違う道をきわめてこられたようだ・・・。
一日、ひとつ楽しい冗談を言ってみるのもいいね。
では、ここで・・・
坊やとおじさんの会話:
   ねぇ、坊や、おじさんの車をおしてくんないかぇ
   やーだね。
   なにぃ、生意気だねこの子は・・
   だって、ぼくまだ「おさないんだもの」
   アハハハ、まいった、まいった。
笑うカドには福来る。
 
★★★★+落語に学ぶ
・笑いの達人になりたいと考えてる方
・落語に興味ある方
・ジョークこだわりのある方