2006年01月18日

国家の品格 ~ 藤原正彦 + ブログ書評コンテスト

左手に合理と論理、右手に情緒と形。

書籍情報

国家の品格
国家の品格
posted with amazlet on 06.01.21
藤原 正彦
新潮社 (2005/11)

本のひらめき

ロジカルシンキング、各種のマネジメント手法、市場至上主義・・・いろんなものが日本に入ってきた。そして、それらがこの上なく正しく、すばらしいものだと多くの人が思っている。

著者は、ちょっと待て!という。

確かに、論理やロジカルな考え方は、大切である。しかし、その前提となったもの、スタート地点としておいたものが正しいのかどうか・・・その判断は、難しいのだという。例えば、AならばこれこれこうでBになるはずである・・といった一見、理詰めのロジックがあったとしよう。しかし、AならばというAの設定が正しいとは限らない。
そのスタート地点が間違っていれば、もともこもない・・ということだ。

著者は、論理や合理を否定するものではない。しかし、それだけでは人間はやっていけない、というのが主張である。

では何が大切か。

情緒とか形・・・といういったものだという。それは日本人が古来から大切にしてきたものでもある。
武士道、もののあはれ、感受性・・・など、さまざまな事例をとりあげて、大切なものは、論理や合理、ロジックだけじゃないぞ・・という本である。

すんなり納得しやすい分り易さとユニークさが、うれしい本だ。

武士道、さくら、俳句、季節感・・・そこはかとない文化をもつ私たちに自信と誇りを取り戻させてくれる。図書館で借りて読んだけれど、どうしても手元におきたくなって買いに走った。笑


僕の思いつき

随所に、肩の力をぬいてくれる「笑い」がある。

国家の在り方、文化、思想の考察・・・といった重い話を語るとき、まともにいけば肩が凝る。聞くほうも大変である。そこに「親しみのある笑い」があるのがうれしい。

たとえば・・・著者の父が厳しく教えてくれたという武士道精神のひとつ「男が女をぶん殴っちゃいかん」という項目がある。その教えをひたすら守ったという著者だがこんなことも言っている。

 「現実には、ぶん殴りたくなるような女は世界中に、私の女房を筆頭に山ほどいる
  。しかし、男が女を殴ることは無条件でいけない。どんなことがあってもいけな
  い。しかも、何の理由もない。」

ところどころにある笑えるフレーズは、品格を論じた作品(講演)をとても消化しやすいものにしている。

次の作品では、「笑い」や「ウィット」について語ってもらいたいねー。

ジェイカレッジ、またまたお呼びしたい方がふえた!



オススメ度

★★★★★+品格を問う

読んで欲しい方

・品のある人になりたいと考えてる方
・国の成り立ちに興味ある方
・日本のありようにこだわりのある方

Posted by webook at 2006年01月18日 22:33 | TrackBack