2006年05月21日

スープで、いきます ~ 遠山正道 + 青色申告ソフトの悩み

   社員でもあり社長でもあるという働き方。

書籍情報

本のひらめき

スープストック東京(Soup Stock Tokyo)を、最近よく見かける。
  http://www.soup-stock-tokyo.com/popup/book.html

こってりとして具沢山。食事になるスープのお店である。現在34店舗を数え、なかなか人気らしい。先日の「すごい!ランチ会議」でも、テイクアウトをもってきた方がいた。

本書は、そのスープストック東京の起業物語である。著者は、今も現役の商社マン(三菱商事のビジネスマンである)であり、そしてスープストックの創業者でもある。だから正確には社内企業物語である。

著者は、「人生で配られる勝負カード」が2枚あったという。
「三菱商事の社員であることと、アートワーク(タイルに抽象画を描き個展を開いている)」この2枚である。しかし、なかなか個人性と企業性は一致しない。そこで、著者は情報産業グループから小売や食の世界へベクトルを向ける。

ケンタッキーフライドチキンへの出向し経験をつむ中で、ある日「女性が一人でも入れるスープのお店」をひらめく。本書は、その後の企画、立ち上げ、苦労、そして成功の軌跡を、著者自身の言葉で綴ったものだ。

企画書がものすごく楽しい。「スープのある日」という物語形式の企画書だ。97年に書かれたその企画書が、そのまま掲載されている! 空想で書かれたその「未来予想図」は、なかなかリアリティがある。Mosoもこういう風にリアルにいけたら面白い。

瀬戸際のピンチや、スマイルズ(著者の会社)のユニークなオペレーション(ファミリー制度など)は、本書で読んでいただくとしよう。

社員旅行で著者が仲間に伝えたコトバが素晴しい。一人一人に心をこめたメッセージを読み上げ(朗読し)たあと、最後に締めくくった言葉だ。

  私自身は、父から夢を、母から優しさを、三菱商事から信用と誠実さを
  もらいました。そしてスマイルズの仲間たちには、友情と信頼と能力と
  努力があります。スマイルズの仲間たちが一つになって、これからも
  世の中に新たな提案をドンドン行い、そして世の中の体温を少しでも
  上げるお手伝いをしていこう。われわれには必ずそれができると信じて
  います。

いわゆるサラリーマンとして働いている多くの方も、この物語を読んで元気をもらってみよう。


僕の思いつき

本書のもっとも興味深いとろこは、新規ビジネスの企画書である。なんと、物語風になっている。(いいねぇーこういうノリ)
そのフルバージョンも本書には掲載されている。

こういうユニークな企画書には実は伏線がある。著者の遠山さんは93年ごろ電子メールの効果と普及をねらったある物語を書いた。

「二村課長の電子メールのある一日」と題されたものだ。電子メールやインターネットで生活や仕事の仕方がこんなにかわるよというもの。宛先が楽しい。
 <このタイトルに興味のない全ての人々へ>

これはかなり好評となり、当時の三菱商事の槙原社長にも読まれたらしい。

何か企画を考えているなら、物語という手法をちょっと試してみたいね。



オススメ度

★★★★★+熱病

読んで欲しい方

・社内で新規ビジネスを立ち上げたいと考えてる方
・ベンチャーに興味ある方
・会社や組織を元気にしたい方

Posted by webook at 2006年05月21日 18:58 | TrackBack