2006年08月19日

陰日向に咲く ~ 劇団ひとり + おじさんCAの物語

くうそう、そうぞう、おもしろいぞう

書籍情報

陰日向に咲く
陰日向に咲く
posted with amazlet on 06.08.20
劇団ひとり
幻冬舎 (2006/01)


本のひらめき

お笑い、コメディ、エンターテインメントの世界で長らく生き残っていくのはなかなかたいへん。残念!とかフォーとかいった芸人さんたちは、飽きやすい一般大衆を相手に一瞬の人気も陰りを見せていつの間にか出番が少なくなることが多い。一方、ビートたけし、タモリといった絶妙に生き残っている人たちもいる。どうやらこの劇団ひとりは、後者のような気がする。創造性、クリエイティブといった点で異彩を放っているから・・・

本書は、はじめての著作。微妙な人生の機微を捉えてなかなか面白い。

仕事のプレッシャーから逃れようとホームレスにあこがれるうち、本当ににホームレスになってしまったサラリーマン、落ちぶれたアイドルをおっかけてきた僕、カメラマンを夢見るフリーターの女の子、ギャンブルで借金まみれ・・やがてオレオレ詐欺を試みた俺・・・など、様々に物語が絡みながら展開する連作小説である。

一般人からするとちょっとオバカな生き方の中に人情の機微を感じさせるストーリーにホロリとする。

Overrunというオレオレ詐欺の話がしびれた。借金に負われ、ついにはオレオレ詐欺を試みるが、ビクついてうまくいかない。やがてあるお婆さんと話ができるようになり50万円を騙し取れそうになる・・・しかし、そこにはちょっと悲しくて人の心の深さを感じさせる展開がまっていた・・・

お笑いの世界で次々と面白いネタを炸裂させている劇団ひとりの、また新たな才能を見る思いがする本である。


僕の思いつき

このごろ僕は、Moso壁に人生を謳歌している。なんでもできないことはないような気になってきた。あ・・・かなりやばいぞ・・これ。この連作小説に登場しちゃいそうだ・・・笑

映画を作りたいと猛烈に思うこのごろだけど、小説を書くのもいいな・・・。

長編の小説は無理でも、この本にあるような微妙に登場人物がからみあって展開する連作小説なら、なんだか書いていけそうな・・・

小説は、単に夢想して文章をつむぐわけではない。
多くの小説家が、(たぶん)そうしてきたたように、日常のふとした場面や人物を適度に編集して組み合わせることになると思う。

そういう意味で、「経験」は重要だ。なにげない通勤風景も、パチンコに興じる人たちも、受付のおねぇさんも・・・・小説の題材にしようかなんて思ったとたん、意識の中で特別な光がうかぶような気がする。

あーーまた毎日が楽しくなってきたぞ。


オススメ度

★★★★★+創造的体験

読んで欲しい方

・小説を書きたい方
・空想がすきな方
・日常に光を当てたい方

Posted by webook at 2006年08月19日 10:29 | TrackBack