2008年10月13日

未来を予見する「5つの法則」 ~ 田坂広志 + プレイバッカーズ

あなたの世界観、変わっちゃうかも・・・

書籍情報

未来を予見する「5つの法則」
田坂 広志
光文社
売り上げランキング: 375


本のひらめき

私たちが学校で習った歴史の中には、大きな転換期が幾度も登場する。パラダ
イムがガラリと変わる時代の波を、遠い視点から眺められるところが、歴史の
面白さなのかもしれない。

今私たちのいる現在も大きな転換の波がいくつかある。本書は、そうした世界
のパラダイムの変化を、弁証法的視点から読み解きながら、未来を予見する。

これまで田坂さんは著作や講演で、弁証法的思考法を分かりやすく解説され
ていた。本書は、さらに分かりやすく、そして深く、弁証法というフィルター
を通した未来予見の旅にいざなってくれる。

 未来は予測することはできない。しかし
 未来を予見することはできる。

この意味は、具体的な予測(concrete prediction)はできないが、大局的な予
見(macroscopic foresee)はできるということだ。大きな流れを見る力、大局
観を養うための本である。未来予測の科学ではなく、未来予見の哲学の本なの
である。

さて、本書で語られる世界発展の法則は、つぎの5つ:

 螺旋的プロセス
   世界は、あたかも、
   螺旋階段を登るように、発展する。

 否定の否定
   現在の「動き」は、
   必ず、将来、「反転」する。

 量から質への転化
   「量」が、一定の水準を超えると、
   「質」が、劇的に変化する。

 対立物の相互浸透
    対立し、競っている者同士は、
    互いに似てくる。

 矛盾の止揚
    「矛盾」とは、世界の発展の原動力である。

5つの法則は、それぞれ、非常に分かりやすい事例を交えながら展開される。
なるほどーとうなずけるその快感は、なんともいえない醍醐味ではないだろう
か。

最後の「これから起こる12のバラダイム展開」では、経済、政治、社会など
に加え、宗教観、文明論まで広がる哲学の道を歩くことになり、読み終えるこ
ろには、深い感慨に浸ることになる。

同時に発行される英語バージョンは、ぜひアメリカの友人にプレゼントしたい。

今年一押しの一冊!


僕の思いつき

僕が最も心に響いたのは「矛盾の止揚」の法則。これは、その前に解説される
4つの法則の根底をなす大事な法則なのだ。

世の中には矛盾がいっぱい。しかし、それを「解消」したときではなく「止揚
」したとき物事は発展する。だから矛盾こそは、事物の発展の原動力だという。

そう考えると、僕たちの周りにいっぱいある矛盾した状況は、歓迎すべきこと
なのかもしれない。

マネジメントの本質も「矛盾のマネジメント」という。割り切ってしまうのは
簡単。しかし、それでは発展は望めない。

 どちらか一方を否定するのではなく、両者を肯定し、包含し、統合し
 超越するととによって、より高次元のものへと昇華していく

ことが大切と説かれる。矛盾を受け入れ、正面からうけとめることこそ、私達
は成長するのだねー。

矛盾あり、また楽しからずや! である。

 享受型イノベーションから、参加型イノベーションへ
 マネタリー経済から、ボランタリー経済へ
 考える文化から、感じる文化へ
 単一人格社会から、多重人格社会へ
 機械論的世界観から、生命論的世界観へ
 西洋文明から、東洋文明へ

など数々の未来予見の法則を紐解きながら、どこか生きる元気をも感じさせて
もらえる本である。

あなたも「弁証法的思考」(Dialectic Thinking)の旅に、ぜひ。



オススメ度

★★★★★+大局観

読んで欲しい方

・大局観を大事にしたい方
・大きな視座で考える立場の方
・未来を感じたい方

Posted by webook at 2008年10月13日 14:56 | TrackBack
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