2008年11月24日

もえビジ ~ 藤原萌美&山田真哉 + 危機一髪

99.7% 犯人はわからない! って?

書籍情報

もえビジ 会計RPG  密室の女子大生会計士
藤原 萌実
角川グループパブリッシング
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本のひらめき

またまた山田さんにはやられましたなー。会計本の新たな地平を切り開く、ユ
ニークな本が誕生した。会計RPG(ロールプレイングゲーム)である。
しかも、なんと著者は架空の人物(女子大生会計士の萌ちゃん)だ!

プロローグで張られた伏線、いきなり舞台にあげられる本篇、そして種明かし
というすばらしい構図に、読者は、ひきこまれるように読み進むことになる。
夜中、遅くに帰宅して、ふとページをめくったのは、失敗だった。
やめられなくなってしまうから・・・。(笑)

なにしろ、ページをめくる楽しさを存分に楽しめる工夫が凝らされているので
ある。(山田さんも、作るとき楽しくて仕方がなかったに違いない)

会計の入門書とはいえ、その本質に迫る質問と答えは、読み手に爽やかな感動
を伴って納得感を与える。そうだったのか!と。

物語のステージはこんな感じ:

 ビジネスパーソンのためのワンポイント会計講座
  ~これであなたも会計が好きになる~
 を担当することになった藤原萌美ちゃん。会計士研修中の身という立場上
 先輩のいうことを聞かざるをえない。先輩から押しつけられた面白みのな
 い会計資料で講座にたつことになる。
 
 一日研修の終盤、休憩のあとに入った大教室で異変がおきる。
 真っ暗な教室に閉じ込められてしまうのだ。
 そこでは、見えない何者かに11の質問を受けることになる。
 答えられないと出られない、しかも人質に取られたカッキーと生徒たちが
 危ないというという恐ろしい状況に・・・陥る。

 ここから会計的でありながら、実に面白い質問が押し寄せてくる。

 たとえば

  汝に問う。カラスの被害で困っている町があり、どちらの薬を
  開発すべきか? 予算上どちらかしか開発はできない。
  1)カラスが死んでしまう薬
  2)カラスが近寄らない薬 

 などなど。

最後のフィナーレは、「まいりました!」である。
どんな結末がまっているか、ぜひ、皆さんもお試しあれ。

山田さんの生み出した女子大生会計士、藤原萌美が、著者としてリアルな世界
に躍り出る、とてもユニークな本である。

こ、これは・・・すごい!
 

僕の思いつき

本書の背後にあるのは、会計の知識ではなく智恵をつけよう、ビジネスなんて
知識じゃなくて考え方が重要なんだ・・・ということだ。

本書で得られる、「目からウロコの会計センス」は、たとえば・・・

 会計とは、記録して集計して分析すること。(仕組み力)
 経営は、目先ではなく、未来の売上を考える(経営力)
 売上は、史上最強の資金調達手段。(経営力)
 過去の出費は、未来の判断材料に入れない。
  過去の出費を埋没原価という。(視点力)
 毎月の出費は12倍(1年分)、60倍(5年分)するクセを。(計算力)
 あらゆる経済活動はインフラがあってはじめて成立する。(構造力)
 会計で大事になのは、未来の立場で損得を考える未来視点(想像力)

などなど・・・。

さらに、萌美の「格言っチャオ」も見逃せない。例えば

 「稼ぐこと」と「やりたいこと」を足したのが「働く」っていう意味よ。
  ポイントを2つに絞るのが今の流行よ。(3つじゃ、長い~)

などなど。
 
比較的薄い本でありながら、なかなか奥が深いのであ~る。

しかし、専門的なことをこうしたミステリー構造で展開するって、面白いなぁ。


オススメ度

★★★★★+犯人はおまえだ!

読んで欲しい方

・会計的なセンスで考えたい方
・新米経営者の方
・会計の本質を感じたい方

Posted by webook at 2008年11月24日 10:13 | TrackBack
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