1997年04月30日

【母親幻想】...岸田 秀 97.4.30...☆☆☆

【母親幻想】
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岸田 秀 (キシダ シュウ)
昭和8(1933)年 香川県生まれ
早稲田文学部卒 現 和光大学人文学部教授
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新書館 1200円
95.11.5 第1刷
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母子関係を機軸にして、現代社会の 家庭、教育、社会構造
などについて考察した本です.
なんて書いてもさっぱりわからないですが、このおじさん
結構 ドラスチックな意見を書く人で、世の中 根本は 母親と
子供の関係が元になっていると断言しています.
その関係は、母性愛 などという言葉のまやかしを利用して
社会文化の維持に利用されてきた.
ところがよおく考えてみると、母性愛なんてものは
幻想である. 赤ちゃんの頃は 確かに乳がはって痛いので
多少 本能としての母性が働き 赤ん坊を育てると言う 所謂
本能的母性愛があるかもしれない.しかし、そもそも本能が
崩れた人間が、それ以後も母性愛で育てる事はない.
(結構 子供をすてたり、殺したりというのは社会の常識として
昔- 中世/江戸時代-から存在していた.)
母性愛というなら それは社会的に作られた共同幻想として
の母性愛であろう.
つまり、母親 役は 社会的におしつけられてきたもので
自然に生まれる衝動のなかに生まれるものではない.
...... ってなことを 結構 歴史的 社会文化的な考察から
書いています.

産業革命以降、労働の担い手の男は、母親の役割を女性に
おしつけてきた.そのために "子供を育てることは楽しいこと
だ "という幻想を植え付けたり、母親であることを拒否すると
厳しい罰を下して生きる道がないように追い詰めたりしなけれ
ばならなかった.
時代が変わって、小子化、情報化の現代、母親業をとるか職業
をとるかの選択をさせられた女性は、自分愛の裏返しである
母性愛により、”教育ママ” に変身して子供
を虐待している......とか?

父親はどうあるべきなのか?
母親はおんなであるのがホントにいいのか?
男はナゼ 子供を産めないのか?
男は おっぱいがどうしてでないのか?

などと ワケのわからない疑問になやんでいる方
(がいるなら) おすすめ!

しかし、これ 大変真面目な 社会考察の本です.
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おすすめ度
☆☆☆

真之助

Posted by webook at 1997年04月30日 15:49