1997年06月26日

【浮気人類進化論】...竹内久美子97.6.26...☆☆☆☆☆☆☆+♂♀

【浮気人類進化論】
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竹内久美子
1956年生まれ.
1979年京大理学部卒
同大 修士.動物行動学
天才!
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1988.5.20 初版
1988.7.5 第3刷
晶文社 1200円
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この本に登場するのは、狩りのへたくそなライオン、貞淑な
チョウチョウ、嫉妬深いトンボ、猛女カマキリ、そして
チンパンジ等の類人猿、真打はなんといっても 人間.
"浮気" という人間独特の行動に注目し、まったく 新しい
視点から人類の進化の仮説を打ち立てる超オモシロ!作品です.

やはり、私は この人を天才だと思います.
2つ年下の竹内女史を もう尊敬の眼差しでながめる私であり
ます.

この本の面白い所は、人間という興味深い対象を、動物的に
観察 (男女のアレは "交尾"といったり..) し、一方 カマキリ
やトンボを人格的な表現で観察したり、アフリカのライオンに
某TV局がインタビュ-したりと、読んでいて思わず、”ウプッ"
となるようなとても楽しい表現があるからでしょう.
そして、ただ面白いだけでなく随所に学問的な"カオリ"を
そこはかとなく漂わせているのが奥床しく、好感のもてる所です.

普段 目にするチョウやトンボの生態に こんな面白い事が
あったのかと思うような内容がた~くさんあります.
例えば、トンボ.あれって 結構嫉妬深いんですね.
よくトンボが つながって飛んでるのを見たことがありますが
あれは、嫉妬深い雄トンボが創意工夫の末に編み出したウルトラ
"D" のはなれ(ズ)技で 交尾継続タンデム飛行 なんです.
動物は 通常 天敵がいて、一番やばい時は、そう 交尾の時で
す.適がきたら すぐに逃げないといけない. それであのような
連結飛行ができる"体位?"に進化したとか.これには、メスが他の
オスと浮気をしないように捕まえておく意味もあるそうです.
嫉妬深いオスは、ライバルのオスがたくさんいるときは、この
ようにメスをつかまえたままで交尾を続け、ライバルが少ないと
リリースし、上空からメスが浮気をしないように監視するとか.
しかも、そのオスは、別のメスとも交尾をしようとする.
人間だったらゆるせないですね?

この他 雌に頭をかじられても交尾を続けるオスのカマキリとか
ひよわなオスがメスの真似(ゲイ?オカマ?)して
別のオスがメスへのpresent として運んできたエサをくすねる
ガガンボモドキの"女形戦略"とか、
昆虫類の話だけでも、それはもう興奮のルツボです.

そして、類人猿についても、以外な話が満載です.
ハーレムを形成するサルの子供殺し(これは 赤ちゃんサルを
噛殺して、母親サルの子育てを止め 発情を促し交尾すため)
とか、ボスサルになれなかったオスサルの交尾の秘技とか、
母系社会の類人猿と父系社会の類人猿の違いなど、ヘエ~!
と言う話があって、"勉強"になります.

人間になぜ言語が発達したかについての 竹内流の仮説はとても
ユニークで この本の根幹に関わる内容です.
keyword は、"交尾/sex" と"浮気" です.
昔、人が人間に進化する過程で、言語という能力を得た、.これ
が人間の進化の最も重量なことであるが、サルとはちがいなぜ
しゃべらないといけなかったのか?
狩りや戦争がその理由だとの定説があるが、竹内仮説はもっと
説得性のあるものなのです.
つまり、男は狩りにでた時、「課外活動」(浮気)をする.
そのとき 女をその気にさせるため、女を"口説く"能力を進化
させた.一方、女は、男が浮気をしないかを女同士で情報交換
をする能力(立ち話) を進化させた.「あの人最近おしゃれに
なった」「どこそこで何をしていた」などのたあいのない話の
かなに浮気発見の機会を探す.こうして、男と女は、婚姻を巡る
様々な場面で必要な言語能力を進化させたのだ!
(そういえば 近所の奥さんと毎朝、ほんとに長い立ち話をしてる
なあ、うちのカミさん..)
更に、オスの場合、口説きがうまい"文科系オス" と、口はへただが
実直さでメスの信頼を得る"理科系オス" に分化した話など
独特の竹内理論は、現代社会を動物行動学からみられる斬新な視点
があり、おもわず引き込まれてしまいます.

「動物学の一生徒」と自分の事を謙遜した後書があるが、私は、
このひとこそ動物行動学の"天才"と断言していいと思うのです.
一度、竹内さんと呑んでみたいなあ.

昆虫の生態に興味のある方
乱婚社会のサルの生態に共感と羨望を覚える方
ご自分のルーツを原始時代に遡ってみたい方
超!おすすめ
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おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆+(♂♀)

真之助

Posted by webook at 1997年06月26日 16:38