1997年07月09日

【円の逃亡】ビッグバンの第一の波...青柳孝直97.7.9...☆☆☆☆+$

【円の逃亡】ビッグバンの第一の波
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青柳孝直
1948年富山県生まれ
早稲田法学部卒後 邦銀に入社
国際為替ディラーとしてLON 、NYC で活躍
1997年1月 コンサルタント事務開設(new!)
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総合法令 1600円
97.7.2 初版
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前書きに 「今年の出版界のビジネス特集は 日本版ビッグバン
であるが、どれも金融に携わる人向けで 金融に関係ない方々に
とってはどうでもいいことの羅列である.」「本書の目的は
日本版ンビグバン後の人々の生活はどうなるか? さらに 資産を
海外に出す恐怖を払拭してください!ということだ」と
あります.
確かに、これまで何冊か "超図解xxx とか "見る見る解るxx"
とか読みましたが、わかったようでいまひとつ..という印象は
否めません.
この本も 基本的には 一般には結構難しい(馴染のない)内容 -
国際金融 -が わかっていないと(私も解らないけど) すらすら
とは行かない内容ですが、少なくとも外為法改正(98.4.1予定)
に関しては ズッと 丁寧で親切な内容になっていると思います.

この種の本のおきまり 目次構成として これも例外ではなく
次のような構成になっています.
まず お決まり イギリス版ビッグバンのおさらい
次に 日本版 ビッグ版の 解説と変化の予測
最後に 個人資産運用方法の伝授
この3ッつが セットメニューになっています.

中盤の 証券業界の淘汰/再編、先物取引の行方はちょっと専門
的で難しい感じです.
イギリスビッグバンの評価や 日本に於ける "銀行浮沈神話"
の崩壊の話など、解りやすく解説しています.
又 電子マネー (ビッグバンの以外な盲点) についても 銀行と
インターネットの関わりについて言及していますが、この世界
の人ではないので深い考察はありません.「インターネット
により既存の銀行機能-決済機能ーが不要になるかも.. 情報
化対応の遅れている日本の銀行も電子マネーに注目していかな
いとヤバイぞ」と指摘しています.

最後に日本版ビッグバンのまとめで大胆な予測がまとめられて
いて、ちょと紹介.....
<<銀行>> 財閥系とかの大手数行以外は外国資本に吸収されるか
消滅!.青い目の頭取は当たり前.
<<証券>>日本の証券会社の大部分は欧米の会社に吸収合併される.

こんな中、金融会社にどのような変化があるか..
1.買収された金融期間は大リストラに見舞われる.外資系企業は
株主への利益還元が第一、従って、福利厚生、内部留保がまず
一挙に削減される.
2.終身雇用は壊滅、能力主義になり、簡単に社員解雇する気風が
高まる.
3. 外人株主を中心に企業活動の監視が厳しくなり、さまざまな
要求が企業につきつけられる時代になる.
など、結構 ダイタンですが、これに近い変化はありそうな気も
します.他の本より こういうのをわりと直球で書いているのが
評価出来そうです.

さらに、21世紀の個人資産運用法ではビッグバン後の資産の
運用について 具体的な方法を述べています.
目を引いた点は、....

ビッグバン後、中長期的には円安になる.-- 大前研一も
同じ事をいっている--つまり、円で持っている資産が目減りする"
したがって、持っている資産(貯金とか)を最低3つに分散する必要
がある.例えば、<国内><海外><運用を委託>など..
この時、注意すべきは、従来のように安定運用としての銀行円預金
は最初から考慮しないことである.これからの銀行は、ローン支払い
公共料金支払いなどの生活費一時滞留先と言う意味合いですら
生き残れるか定かでない!
だから、株式を中心にしたファンドが3割、為替/商品主体のヘッジ
ファンドが3割、外貨預金が4割 なんてのがいいとか...
この人は、元銀行屋さんですが、かなり日本の銀行に危機感を持って
書いています.

さらに、資産のオフショア運用を薦めています.よく タックスヘイブン
の島で云々 なんてのを耳にしますが,これを 個人にも勧めています.
なぜか!?、資産をオフショアに移転すれば贈与税、相続税が合法的に
回避できる.海外資産の運用で得られる利息、配当、賃貸量等も
全て無料、源泉徴収もない、..... 等 一読に値します.
(オマケ : タックスヘイブン って tax heaven/税金天国 じゃなくて
tax haven/税金避難地 だったんですね.なんで "ヘイブン"って
読みを当てていたのかがやっと解りました (^_^) )
世界の主なタックスヘイブンの紹介とその土地の政治状況なども
あり親切です.

能力/体力以外にたくさんの資産もお持ちのかた
超図解 ビッグバン などではちょっと不満だったかた
相続税にお悩みのかた
おすすめです.
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おすすめ度
☆☆☆☆ + $

真之助

Posted by webook at 1997年07月09日 16:43