2004年02月03日

■腐った組織をどうやって救うのか(丸瀬遼)

kusatta.JPG
組織の劣化・・・実はうちでも・・

腐った組織をどうやって救うのか
        「再生の神」は現場にのみ宿る
   =========================================
   |著者:丸瀬遼
   |日本実業出版社|2004年 02月
   |ISBN:4534037015|1,500円 |284P
    =========================================
 
 長銀の最後を看取った男・・という帯からは、ダメな銀行の内幕暴露本か
 ぁ・・というイメージをもったのだが、読み進むうちに他人事ではないこ
 とに気がつき、「やばい」と思ってしまった。

 そうなのだ。いまや銀行は下手な経営の代名詞のように揶揄されるが、そ
 れは銀行にとどまらず多くの企業や官僚的組織に共通する病気だと気づく。

 組織の劣化・・まさにそのことが本当の原因なのだ。劣化とは何か・・・
 無能な経営者、責任のない企画部、責任と戦略性を薄める合議の仕組みな
 どである。これらがあいまって組織を劣化させ、ひいては日本経済の停滞
 を生んでいると分析する。
 組織の劣化は、なにも大銀行や官僚組織だけではない、身近なところにも
 密やかに進行しているとみていい。

 こんな一節を引用しておこう・・

   自分なりのビジョンや戦略とは無縁の経営者にとっては、企画部ほど
   ありがたい存在はない、自分では処理しきれない情報の波にもまれず
   とも、企画部が整理して加工した情報を提供してくれる。自分ではビ
   ジネス戦略を立案できなくても、企画部が原案を作ってくれ、それに
   対していくつか細かい点を指摘しさえすれば、経営をしているという
   幻覚を味あわせてくれるのだ。

 なんと厳しい指摘。しかし、一方でそうだそうだの声も聞こえてくる。

 本書は、そんな現状を明快に切り取るだけでなく、その処方箋も提示する。
 組織再設計のための指針として12の処方箋がある。どの視点ももっとも
 なものだ。たとえば・・
  1.稟議制合議制から個人責任体制へ
  2.網羅的・総合的アプローチからシナリオ・アプローチへ
  3.権限・責任・情報の三位一体化
 などだ。「意思決定の責任は、会議などのあやふやな存在ではなく、明確
 に個人に帰すべきだ」「体系的なシナリオのみが、環境変化への修正を可
 能にする」など、まさにその通り!だと思う。BSC(バランススコアカ
 ード)の活用に際しても、強い共感を覚える考え方だ。 

 日本の組織再生のヒントが、力強く展開されている。おすすめ!

 ====================================================================
 

   ★★★★★+組織の劣化

 
   ・組織変革を行いたい方
   ・会社をなんとかしたいと考えている方
   ・経営幹部の方

Posted by webook at 2004年02月03日 08:38