2004年07月29日

■内部告発者(滝沢隆一郎)

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  リークしたのは誰だ!?

内部告発者
    
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   |著者:滝沢隆一郎
   |ダイヤモンド社|2004年 07月
   |ISBN:4478930538|本体価格:1,400円 |252P
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 ダイヤモンド社は、ダイヤモンド経済小説大賞を創設した。創業90周年
 記念事業だという。(90年!、すごい)
  → http://www.diamond.co.jp/novel/
 で、その第一回受賞作が今日の本。著者はまだ38歳の弁護士さん。

 内容は、中堅損保会社、渋谷火災(通称シブカジ)を舞台にした内部告発
 の物語である。

 ある日、経済誌フロンティアに渋谷火災の不正融資の暴露記事が掲載され
 る。しかもそれを強烈に証拠づける最高経営会議の議事録コピーの写真ま
 で掲載される。社内中枢部の人間からの告発であることは明らかだった。
 法王として畏れられている渋谷火災の会長藤田想太郎は、前副社長の仲田
 希一に間違いないと確信し、損害賠償請求を起こす。
 身に覚えのない訴訟に動転する仲田は、若い弁護士羽根田潤にたよるほか
 なかった・・・・。
 40年勤めた会社から訴訟を受けるという屈辱に加え、家族の中にも様々
 な軋轢が生まれる。突如わいた苦境にもがく仲田の苦悩がひしひしと伝わ
 る。結末は読んでのお楽しみ!
 いくつも張り巡らされた伏線が解かれるとき、まっとうに生きることの大
 切さが浮き彫りになる。

 総会屋との癒着、不正を隠してブランドを貶めてしまった最近の事件(自
 動車や乳製品など)、政治家と企業のもたれあいなどを登場人物に語らせ
 ている。それらはフィクションをリアルの世界につなぐ触媒として機能し
 ている。「ははーん、あの人のことだな・・・」みたいな想像を働かせな
 がら読むと楽しい。

 著者は、本職が弁護士さんである。裁判の尋問シーンや法律上の仕組みな
 どがとてもリアルに描きだされている。損保業界の内情や上にばかり気を
 使う組織力学の描写も面白い。心理描写も巧みだ。

 内部告発という非常手段の前に、正常化される組織でありたい。
 あなたの会社・・・大丈夫?

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 <オススメ度>

   ★★★★★+ホイッスルブローワー

 <読んで欲しい方>
   ・ビジネス小説がお好きな方
   ・裁判に関心がある方
   ・損保業界に興味ある方

Posted by webook at 2004年07月29日 09:10