2005年11月03日

震災にあった盲導犬クララ ~ 石黒謙吾/小山るみこ

泣けます・・・・

書籍情報

震災にあった盲導犬クララ
石黒 謙吾 小山 るみこ
双葉社 (2005/10)


本のひらめき

クイールの物語で素敵な感動を描いてくれた石黒さんが、また別の感動を届けてくれた。

本書は、新潟県中越地震にあった中村良子さんと盲導犬クララの物語。

 みなさん、はじめまして。
 私は、盲導犬使用者の中村良子です。
 生まれも育ちも新潟県です。
 今年57歳になりました。
 これから、私の、小さかったころから、
 盲導犬と暮らしている現在までの話を、
 ありのままに綴ります。

ではじまる。

新潟県刈羽群で生まれ、幼い頃、父と兄三人を亡くす。兄、姉、中村さんの3人を母親一人で育てる環境の中、誰も中村さんの目が見えなくなっていく異常に気づく余裕はなかったという。やがて24歳で完全に光を失う。

その後、盲学校で学び、マッサージ師として仕事を始める。そんな折、盲導犬と出逢う。最初のパートナーはハイジ。その次にクララ。2000年10月23日。中村さんとクララは中越地震に遭う。そして、避難所では様々な出会いが・・・。

盲導犬の働ける時間は、それほど長くない。10年ちょっと・・・。だから、多くの人は、パートナー犬との出会いと別れという葛藤が常にある。

中村さんが旅行をしていたある朝、クララが突然「ウォー!」と声をあげる。ふつう盲導犬はめったに鳴かない。その朝は特別だった。住職さんに引き取られていた初代の盲導犬、ハイジが息をひきとったその時だったのだ・・・。

なんだか宇宙を感じるねぇ。

淡々と語られる半生の記に、どこか生きる勇気や不思議な元気をもらえる。

小山るみこさんの挿画も、とても温かみがあっていい。

僕の思いつき

この世に生まれ、わが身に宿る運命を受け入れ、そしてなお自分らしく生きていくために・・・何ができるだろう。

   誰かの役に立つことをする・・・。

これかなぁ・・・

盲導犬とともに生きている中村さんの姿や、中村さんのために働く盲導犬クララそしてその前代の盲導犬ハイジ。盲導犬として働けなくなった犬をひきとった和尚さん・・・いろんな人(や盲導犬)の生き方に、何かを感じる。

石黒さんは、盲導犬と、その盲導犬をパートナーとして生きている方の生き方の語り部として、素晴しい使命を果たしていらっしゃる。

私はなぜ生まれてきたのか・・・そんなことを時折ふっと思い起こしてくれる友人に心から感謝。 石黒さん、ありがとう!



オススメ度

★★★★★+ハイジとクララ

読んで欲しい方

・誰かの役に立ちたいと考えてる方
・盲導犬に興味ある方
・クイールを知っている方

Posted by webook at 2005年11月03日 21:46 | TrackBack