2006年03月04日

どうして? ~ ジム・ウィリス/石黒謙吾 + Googoleローカル

愛すべき存在だったのに・・・・

書籍情報

どうして? 犬を愛するすべての人へ
石黒 謙吾 木内 達朗 ジム・ウィリス
アスペクト (2006/02/27)


本のひらめき

はやり泣けました。どうしようもなく。

生まれたときから人間にすべてを委ね、従順に生きている犬。
飼い主は、当初はかわいくてしょうがないといった態度で接する。
やがて時がたち、仕事や出世、恋や家庭、子どもといった新しい方向に走り出すとき、犬の存在を忘れ、ついには邪魔になる。
そして、犬は処分する場所へと連れて行かれる。
引き取り手がない時は、注射を打たれ・・・・

この本は、そんなプロセスを犬の目線で追った切ない物語。ジム・ウィリスの原作「犬から届いた手紙」をもとに石黒さんと木内さんが心を込めて生み出してくれた作品である。

 「どうして?」

これはこの本に登場する犬が、飼い主や私たちに問いかける言葉だ。切ない。

けっして責める言葉ではない。
無垢な気持ちから「どうして?」と問われるのだ。
人間のエゴが映し出されてしまうこの言葉の前に、私たちは立ちすくむ。

日本では一年間に約20万頭もの犬が「処分」されているという。そんな事実の裏側に、人間の悲しいエゴの実態が見え隠れする。

本書は、著者の石黒さんが言っているように「かわいそうな犬の話」ではない。この地球に生まれた奇跡に感謝しながら、素敵にいきていくためのちょっとした「ふりかえり」のヒントをくれる本だと思う。

書評を書きながらまた涙が出てきた・・・・


僕の思いつき

2/10に開催した「すごい!100冊倶楽部キックオフ」では、著者の石黒謙吾さんをゲストにお招きした。その折、この本の束見本(つかみほん)やゲラを拝見する栄誉に浴した。その時の石黒さんのお話からも、本書への気持ちの入れ様の違いが伝わってきた。

「相手が人であれ犬であれ 手をさしのべたい気持ちは同じ」と石黒さん。
今年1月、石黒さんちに犬がやってきた。「先輩」と名づけられたその犬を見守りながらこの本は生まれたという。石黒さんからいただいたメールには

 「久しぶりに仕事の意識など超えて、
  ひとりでも多くの人に読んでいただきたいと
  心の底から思った本である。」

とあった。犬を飼ったことがない僕だけど、多くの方に読んでほしい。

近所でダルメシアンを飼っている家族がある。その家の方から聞いた素敵な話は、この本にある物語のちょうど逆バージョン。保健所から救い出されたその犬は、不遇な人生(犬生)から一転、すばらしいドッグライフを送っている。保健所から救い出されたときの物語は、次回のオフカイでお話しましょう。

この本では、EYEマークのことや「録音図書」についても知る機会、考える機会をいただいた。 http://eyemark.net/

石黒さん、ありがとう!



オススメ度

★★★★★+愛するということ

読んで欲しい方

・犬が好きな方
・犬を飼いたい方
・人を元気にしたい方

Posted by webook at 2006年03月04日 16:34 | TrackBack