2006年05月24日

ハイ・コンセプト ~ ダニエル・H.ピンク/大前研一 +トリンプ吉越社長

   左脳(ロジック)+右脳(感性)の時代だ。

書籍情報

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代
ダニエル・ピンク 大前 研一
三笠書房 (2006/05/08)


本のひらめき

大前さんは、この本を翻訳するにあたりタイトルを「第四の波」としたかったのだという。第三の波の著者アルビントフラーにそのことを相談すべく電話し侃侃諤諤のギロンの末、トフラー夫妻の将来の可能性を考慮して、止めにしたという。

つまり、この本は第4の波の本である。

波はこれまでどうなってきていたか・・・農耕社会(第一の波)、産業社会(第二の波)に続き、情報化社会(第三の波)が注目された。そして今、第四の波というべき「コンセプチュアルな社会」が到来している。原作は”The Whole New Mind"。2005年の全米ベストセラーだ。

コンセプチュアルとは何か。

これまで先進社会のコアは、ロジカルにモノゴトを考え、論理的に考察した結果をもとにビジネスも経営も社会も進化してきた。いわゆる科学は素晴らしいという思想だ。もちろんそれは当たっている。しかし、それだけでは足りない社会に入りつつあるというのが、この本の心。つまり、それは論理だけでなく、感性やセンス、直感といった右脳的能力を使うコンセプトやデザインやフィーリングの世界である。

なぜ、こんなことが注目されるようになったか。

その原因は、豊かさ(なんでも手に入る時代になっちゃった)、アジア(低いコストのアジアへ仕事がシフト)、そしてオートメーション(会計士や弁護士業務でさえソフトで代用される時代)の3つがあるという。

その変化に対応する大切なセンスは
  「機能」ではなく「デザイン」
  「論議」よりは「物語」
  「個別」よりも「全体の調和」
  「論理」ではなく「共感」
  「まじめ」だけではなく「遊び心」
  「モノ」より「生きがい」
こうした6つのセンスが大事な時代になったという。ふむふむ。

右脳的な思考やセンスは東洋人の得意とするところ。いよいよ「奇跡の日本」が注目される時代かもねー。

分厚い本だけれど、それを感じさず、サクサク読みやすいところがいい。


僕の思いつき

きのうは、奇しくも藤原正彦さんの講演会に行ってきた。文京学院大学の講堂に約500人の受講者がそろい、独特の視点とユーモアに溢れた講演を堪能した。藤原さんが講演や著書で主張していることに、これまであまりにロジックや論理に偏重だった・・・というのがある。(ご自身が数学者という論理の世界にいながら・・である)

そして、これからの日本は、かつてあった「情緒、惻隠の情、矜持」といった武士道にも通じるものを再興させ、論理の世界(左脳)と感性の世界(右脳)をバランスさせることが大事だと説いている。

今日の本とも平仄(ひょうそく)を一にして面白い。

本書にはいくつかの右脳を愉快にする(鍛えるのではない)日常のヒントが書かれている。
例えば
  マンガの噴出しのセリフを考える
  いい喩え話は書きとめておく( 話の腰をもんじゃった など)
  五筆書きに挑戦(似顔絵を5筆で書く)
  自分オリジナルを作る(ワッペンとかロゴとか)
  ハイタッチな物語を書く(200字程度)
     ~ これ携帯メルマガにしたらイケルかも。
  笑いクラブに入る http://www.laughteryoga.org/

時代は、ロジカルシンキングだけではなく、感性やハイタッチ、デザインやコンセプトの時代である。いいかげんな僕にはいい風だにゃぁ。



オススメ度

★★★★★+アート&ハート

読んで欲しい方

・いい学校を出ていい会社に入った方
・ロジカルシンキング菌に侵されてきた方
・感性豊かな人生を送りたい方

Posted by webook at 2006年05月24日 11:47 | TrackBack