2007年07月17日

なぜ、働くのか ~ 田坂広志 + 紀伊国屋書店にて

   正座して読んでください。


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●今日の一冊:【なぜ、働くのか】

   生死を見据えた『仕事の思想』

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   |田坂広志/著
   |PHP研究所|2007年07月
   |ISBN:4569668631|457円|159P
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<本のひらめき>

私たちは、日々仕事に心を砕いている。汗を流している。時に悩み、時に喜び
そして、時にふと振り返り・・・。僕は、何をしにこの星にやってきたのだろ
う・・・という深い疑問符の前にだじろいたり。

私たちは、仕事をする上で、生きていくうえで、荒波や浮かれた雰囲気から自
分をしっかりとどこかに繋ぎとめておくための錨(いかり)みたいなのが必要
なのかもしれない。軸、といってもいいだろうか。

田坂さんはそれを、この本の中で「覚悟」と「思想」のふたつの言葉に込めて
いる。別にそんなものなくたって・・・。確かに、なくても仕事はでき、日々
の暮らしに困ることはない。しかし、もし我が命、あと一月限りとなったとき
揺るがない自分を感じられるかどうか・・・。

いかに「仕事の思想」を身に着けることができるか、そのことが語られている。
そのための3つの原点がある。「生死観」「世界観」「歴史観」である。

「生死観」とは、「生死」という深みにおいて観ること、
「世界観」とは、「世界」という広さにおいて観ること、
「歴史観」とは、「歴史」という流れにおいて見ること

だという。

私たちがこれらの原点を真剣に考えるといっても、そういう体験がないかぎり
なかなか難しい。しかし、田坂さんは「想像力の極み」において、それは可能
になると語っている。そして想像力を上げるための本も何冊か紹介されている。

渾身の講義録。

何度か読むことによって、きっと魂に響く部分が異なると思う。
そんなふうに、読んでみたい一冊。

誰かに差し上げたらきっと、贈った人の香りを感じとってもらえる一冊ではない
だろうか・・・。


<僕の思いつき>

99年、田坂さんは「仕事の思想」という本を出された。そこには、仕事に対
する心得が深い言葉で語られていた。下記のような言葉の定義が、私たちに居
住まいを正させる不思議な言霊がある。

「思想」= 現実に流されないための錨
「成長」= 決して失われることのない報酬
「顧客」= こころの姿勢を映し出す鏡
「共感」= 相手の真実を感じ取るための力量
「格闘」= 人間力を磨くための唯一の道
「地位」= 部下の人生に責任を持つ覚悟
「友人」= 頂上で再会を約束した人々
「未来」= 後生を待ちて今日の努めを果たすとき

そして、その後「一人の職業人として、一人の人間として、ささやかながら、
成長させていただきました」と語る田坂さんの物腰低い言葉に、思わず僕は、
身を硬くした。

時を経て、新たな視点での「仕事の思想」がここにある。

深みのある言葉、香りのある言葉。

僕たちも、そんな言葉を紡ぎだせるようになってみたい。修行あるのみ。


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<オススメ度>

   ★★★★★+問い続ける力

<読んで欲しい方>

   ・困難に直面している方
   ・順風満帆の方
   ・なんとなく満ち足りていない方

<欲しくなっちゃった方は>

   ・アマゾン  http://tinyurl.com/2oaqxs  (日本の方)
   ・富士山コム http://tinyurl.com/g4qd  (アメリカの方)

Posted by webook at 2007年07月17日 15:23