1997年07月24日

【辞めないが勝ち】朝比奈知彦97.7.24...☆☆☆☆☆

【辞めないが勝ち】
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朝比奈知彦
1939年 小樽生まれ
作家、マーケティングコンサルタント
北大経済卒
【小説 退職勧告】、【辞めるが勝ち】ほか
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実業の友社 1000円
97.2.18 第1版
97.3.24 第2版
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早期退職勧告を受けそうな団塊の世代にむけた、たくましく
生きるためのエール、そんな内容の本です.

「会社の為だ.後進に道を開けてくれ....」
なんて 突然言われるのは驚愕と恐怖ですよね.
交通事故も 年に1万人以上の方がなくなっているにもかかわらず
自分は 大丈夫さ って思っているのが現実でしょうか.
早期退職勧告 なんてのも、身近にはなっているけど 関係ないさ
とおもっていますよね、私たち.
「中高年受難時代といっても 常に 対岸の火事みたいなものでした.
それは 新聞で見る、雑誌で読む 他人ごとでした.なぜかしらな
いが "俺は大丈夫"と言う気がしていたものです」
「ところが、リストラは深く静かに拡大してる」
のであり、明日は我身の現実をよく直視する必要がありそうです.
上記のような"殺し文句" で長年勤めた会社を辞めさせ
られるケースは結構増えている.しかし... と著者は続けます.
「辞めるのは簡単です.でもその後どうなるかをじっくり考えて
見てください」って.

団塊ジュニアを中心とした”これからの世代”に向けては
近未来小説【辞めるが勝ち】で自分の能力を生かし、転進を厭わず
頑張れ、就社でなく就職だ...と言った著者は、今度は 団塊の
世代以上の "これまでの世代”にスポットを当てて【辞めないが
勝ち】と言っています.

つまり、肩を叩かれ、これが最後のチャンスかもとか、人事の方で
今後の転進については手厚くサポートしてくれるからとか、...
殺し文句をいくつか並べられ、悩んだ末 辞める決意をする前に、
ちょっと待て ホントにいいのか 現実はこうなんだぜ... 早まるな!
と教えてくれます.

著者自身もサラリーマンを辞めて4年.その苦い経験を紹介して
います.今は 著述業で本を書き、コンサルタントをして自立の
身ですが、辞めた当初は 自分の価値を 6掛け、半掛け して どんどん
下げざるを得ない状況(職安での実態) に現実の厳しさを味わって
きたそうです.
そして、フリーの立場と会社の看板を背負った(会社の名刺を持った)
立場の違い、扱われ方の違いを リアルに紹介しています.
銀行での扱い、職務尋問をされたときのお巡りさんの態度、のみ屋
でのママの応対、"そんなにあからさまに.." と思いますが
ちがうんですね.
又、各種の会社負担がなくなるということは結構シビアです.
健康保険、年金、各種保険、交通費...諸々の物を自分で賄うと
いうことは結構大変な金額になります.
(先日 職場の仲間で お前の定期は半年いくらだ? へえ 20万円
すごいねえ..俺14万円だよ なんて会話を交わしました.ああ
遠距離通勤!)
というわけで、給料30万円なら 倍の60万円は会社が面倒を見ている
勘定ですね.

私も 最近 独立願望がふつふつとしているのですが、この本を読むと
いや待てもう少し 会社で自分を磨いてからと 思ってしまいました.

そこで....、そんな会社をもっと利用しよう.そして来るべき
X デーに備えて 自分を磨いておこう.. というのがこの本の
言いたいことのようです.
自身のなまなましい経験や 数多くの取材から得た話は
リアルに現実の厳しさを見せてくています.

カイシャを辞めようと考えている方は是非 ほんとに 辞める前に
読んで置くのがいいでしょう.

カイシャでいじめられている方
ええい やめてやるう!って思っている方
俺は 正に 団塊の世代やなあ という方
是非オススメ.
僕は、私は、若い.中高年なんてカンケイないねと思う方にも
おすすめです.
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おすすめ度
☆☆☆☆☆

真之助

Posted by webook at 1997年07月24日 16:49