1997年07月07日

【遺伝子経営】...野口 吉昭97.7.7...☆☆☆☆+c(c:企業遺伝子)

【遺伝子経営】 コアコンピュタンスを高める方法
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野口 吉昭
1956年生まれ
横浜国大工学部卒
現在 HRインスティチュート代表
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日本経済新聞社
97.6.16 1版1刷
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企業の盛衰を決める要素(ビジョン、理念、文化、技術等)
を生物学的視点(遺伝子) で解説した本で、ちょっと面白いかき
ものです.
とかくビジネスコンサルタントものは、やれ企業風だの、企業
規範だの、戦略だ、ビジョンだと書き並べて ちょっと面白味に
欠けるものですが(そんなことはないか)、これは、そのへんを
遺伝子というメガネでみたところがユニークで、最近はやりの
複雑系の話や 、遺伝子/生物学の話をうまく折り交ぜています.

タイトルからは、"フン、こいつどうも臭いぞ.最近はやりの
言葉で 企業経営の話をぶっているな."なんてちょっと意地悪
な偏見をもって読み始めましたが、結構 企業分析もしっかり
しており(なんて批評をできるガラではないですが)、また
ドーキンスの利己的遺伝子の話もしっかり取り入れていて
面白く読めます.

考えて見れば 企業も創業後 その維持発展のために努力する
姿は、生物の"種"の存続のためにいろいろと知恵(あるいは
遺伝子的な仕組) を働かせているのに比喩できそうですね.
企業文化/風土とか、ビジョンとか、理念とか、あるいは戦略的
志向とか、技術力 などというものは 、実際 物として目には見
えないものであり、生き物の行く末を決めている "遺伝子"に
例えるとうまく説明できそうですね.

社長も社員も高々 30-40年で後続に譲り 自分は身を引かざるを
得ません.「だとすれば何が残るか.それは企業遺伝子である.」
企業遺伝子こそが、生き残りの「種」の保存の権利、進化する
権利を握っている」
「企業の中長期的な生命のカギは、トップでもない、社員でもない.
すべては、組織のなかにある、人材のなかにある、研究室の中に
ある、社員食堂のなかある、顧客のなかにある、企業遺伝子である」
というのが結びになっています.

企業存続のカギを握る企業遺伝子を、次の3つの遺伝子に分類して
います.
企業理念、文化、風土を作る<ビジョン遺伝子>、
戦略を司る<スキル遺伝子>、
管理、現場での行動パターンを規定する<スタイル遺伝子>.
リエンジニアリングは スタイル遺伝子治療だと説明しています.
DNA の転写因子を 部下を動かす管理職に例え、管理職遺伝子と
して 企業のなかにポジティブフィードバックが生じて発展出来る
などの説明があります.
亡びない種(企業) のためには、DNA 情報群(ゲノム)にカツをいれ
時には 突然変異的に 企業内 ベンチャーも必要といいます.

又 遺伝子タイプで見た企業進化論という企業分析もなかなか
面白いです.企業分析や紹介は どこかの本や記事などで読んだ
事があるような内容で、著者の独創的な分析ではないですが
IBM 花王、ソニー、ノードストーム等 を企業遺伝子という表現で
解説していて、風変りな味がします.

この中で引用されている企業は、上記のほか、京セラ、am/pm
ローム、ホンダ、マブチモータ、HIS などがあり、企業を知る上でも
参考になります.
この本は、企業遺伝子と言うちょっとウケをねらった視点からの
説明部分を覗いても、つまり単に企業分析とか企業コンサルタント
的な要素だけにしても結構いける内容だともいます.

私は知りませんでいたが、am/pm ってなかなかいいんですね.
日本のトップ企業 セブンイレブンが一番意識しているのが
am/pm だそうで、JOMO というガソリンスタンドのジャパンエナジ-
の小会社で 設立後4年だが、売上は 1000億円を越えてそうです.
なぜ注目されるか....
例えば お弁当.7-11 は 新鮮な弁当を提供するために物量(1日に
何回も配送する) で勝負、am/pm は冷凍/解凍技術で勝負.
お弁当を冷凍にするのは勇気がいるが、独特の企業理念でこれに
かけたそうです.コンビニへいったら お弁当にも注目ですね!
それと、コピー用紙(うりものではない)を分けてくれた逸話も
結構 am/pm の企業体質を語る面白いエピソードでした.

企業運営、会社経営と 遺伝子生物学、進化論などに興味が
あるかた 面白く読めます.

企業の xx 企画部長、マーケティング部長の方
あるいは
俺は次の次だ..と自負されてる方(?)に
おすすめ. (ほんまかいな)

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オススメ度
☆☆☆☆ + c
(c はあなたの会社の 企業遺伝子)
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おまけ :
こんな本を読むと、じゃあおれも 遺伝子算数とか 遺伝子英語学
とかの 本がかけるなあ なんて考えてしまいます.
例えば、 遺伝子英語学

able : 英語ジュラ紀からある なんでも出来ちゃう可能遺伝子である.
これは あらゆる蛋白質にくっついて "可能" にする便利な
遺伝子で、例えば
eatable とか accountable とか

im : マイナス遺伝子で、機嫌の悪いときによく発生する.
un は im が突然変異したもので、ほかにも il とか
ir とかがある. 変異の特徴は 後に来るタンパク質により
変化することである.
lの前は ilで、b/m/p の前は im 等である.

上記の他、遺伝子航空力学、遺伝子サービス理論など いろいろ
ありそうですね.どなたか 暇な方 是非 トライを !.

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おまけ1:
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おり姫: ねえねえ、今日の七夕は火星探検しましょ
ひこ星: ソ-ジャナー
---- マーズの絵本より

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天高し猫と生まれて働かず - 伊藤園新俳句大賞
風が吹き 森のなかに海がある - 中学生の部優秀賞

Posted by webook at 1997年07月07日 16:43