2006年04月07日

それでいいのか蕎麦打ち男 ~ 残間里江子 + BB-TVに出演

「本当は・・」を未来形にする。

書籍情報

それでいいのか 蕎麦打ち男
残間 里江子
新潮社 (2005/09/21)
売り上げランキング: 184,651

本のひらめき

団塊の世代が再び注目されている。この人達の間で、蕎麦打ちというのが流行しているらしい。蕎麦打ちというのは、お蕎麦を自分で打って食べる・・趣味のこと。サラリーマンが50代を迎えそろそろ定年の時期を控えると、何か趣味のひとつでも・・・ということで、蕎麦打ちとか、陶芸とか、あるいは経験を活かしてNPOの一つでもといった趣に走る方が多いとか。

こういうふうに一くくりにされることに不快感を覚える方もいるとは思うが、どうやら蕎麦打ち、陶芸・・などの大量発生源は、50才の山を越えた団塊世代にあるという。

本書は、そうした団塊世代の行動分析と提言という内容だ。人生観、恋愛観、仕事観、など著者の知り合いの人生模様を語りながら、団塊世代の「生態」をかなり辛口のトーンで分析している。シビアな語り口がとても面白い。

 団塊男は、「本当は」という言葉が好きだが、「今更どうにもならないんだ
 けどさ」という自嘲的なニュアンスを込めて、過去形で使うことが多い。

 50過ぎの団塊女も「本当は」というが、彼女達の「本当は」は、趣が違う。
 「本当は私、音楽方面に進みたかったのよ。それで、今度シャンソンを勉強
 することにしたの」というように「本当は」が過去で終わらず、現在と未来
 へつながっている

お金も時間も握る団塊世代。孫転がしに現を抜かしたり、蕎麦打ちに陶酔したり、「小さなシアワセ」に逃げ込むな!もっと社会に働きかけ、かつて世の中を変えたいと思ったあの創造的な気概を奮い立たせよ!と激を飛ばす。

蕎麦打男、陶芸男、ヨン様女、もう一度「動け」「移れ」「キレイになれ」「突出しろ」と渇を入れる本だ。

なお、あとがきにもかかれているが、著者は、決して蕎麦打ちを否定したり、誹謗したりしているわけではない。素晴らしい文化の一つと敬意を払いつつ、団塊男/女が、そんなことだけに入れ込むのはモッタイナイというのが主張である。

団塊世代の方は、すこし腰をふんばって、読んどこう。


僕の思いつき

著者も団塊世代であり、登場する人物は友達だったり、友人の配偶者だったりする。え、そんなふうに言っちゃっていいの?と思うくらい辛らつな表現もあるが、それでも許してもらえるのは著者の魅力か。

1950年生まれのおばさま(といっては失礼だから、おねえ様)とは思えない素敵な方だ。

Dankai 日本橋アカデミー http://muratainc.com/talking/index.html でもパネリストとして登場されている。

お会いしてみたいね~


オススメ度

★★★★★+本当は?!

読んで欲しい方

・蕎麦打ちを始めたいと考えてる方
・陶芸に興味ある方
・定年後はゆっっくりしたい方

Posted by webook at 2006年04月07日 20:13 | TrackBack