2006年04月08日

おそらにはてはあるの? ~ 佐治晴夫/井沢洋二 + 祝ひげうさぎさん

大人も子ども哲学しよう

書籍情報

おそらにはてはあるの?
佐治 晴夫 井沢 洋二
玉川大学出版部 (2003/12)
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本のひらめき

夜空はなぜ暗いか?

なんて考えたことあるだろうか? 宇宙は膨張しているとか、ビッグバンがあったとか、銀河系はどうやらレンズみたいな形だとか、知識として知ってはいたけれど、こんなシンプルな疑問にうまく答えられない自分がいたりする。

そもそも、この疑問すら思い浮かばなかった・・・。

本書は、子供向けに書かれた絵本でありながら、大人もその深遠な疑問と現代科学がたどりついた答え(仮説)にはっと息を呑む。

 どうして夜はくらいの?という子どもでもいだくような疑問に
 まっこうから取り組むことによって、宇宙の深遠な真理に導かれる
 スリリングな体験をみなさんにも味わっていただきたかった

と論理物理学の佐治晴夫さんがあとがきで述べている。

ほんわかとした子どもの絵本かと思いきや、とんでもなく深いものを感じて、ぼくには衝撃的だった。大人も楽しめる絵本だ。

1826年ドイツの天文学者、オルバースが夜が暗い理由をこう考えた。

 夜が暗いのは、宇宙に果てがあるからだ。もし果てがなく星空がどこまでも
 続いていたら、夜は明るいはずだから

これを「オルバースのパラドックス」という。絵本では、身の回りの経験を紹介しながら次のように思考を進める。

 はまべの小さなすなつぶも、たくさん集めると地面を覆い隠すように
 森の木の下で みあげると、ちいさな葉っぱもたくさん重なって
 青空を隠してしまうように
 もし、おそらに果てがなく、星空がどこまでも続いていたら夜のお空は
 星の光でいっぱいになってしまうでしょう

こんなシンプルな絵本をきっかけにして

  宇宙には、果てがあって
  しかも膨張していて
  そして、はじまりがあった

という現代の宇宙観にまで導かれるプロセスが、なんともすごい!


僕の思いつき

科学の絵本、哲学の絵本、こういうのがいっぱいあるといいねー。
以前、Thinkで、「空気は、なぜ透明なのか」という問いかけがあった。
素朴な疑問の中に、深い真理への入り口が隠されていたりする。

先日、ナレッジサイン( http://www.k-signs.co.jp/ )の吉岡英幸さんのセ
ミナーで、業界用語や専門用語を7文字のひらがなで表現するワークをした。
同じように、専門用語などを絵本のように表現するとどうなるか・・・なんて
のを考えてもいいね。



オススメ度

★★★★★+そうだったのか!

読んで欲しい方

・夜空を眺めるのが好きな方
・科学に興味ある方
・素朴な疑問をふと思い出した方

Posted by webook at 2006年04月08日 20:21 | TrackBack