2007年01月04日

脚本家 ~ 中園健司 + 初登頂

   ドラマをつくってみない?
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●今日の一冊:【脚本家】

   ドラマを書くという仕事

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   |中園 健司/著
   |西日本新聞社|2006年12月
   |ISBN: 4816707042|1,500円|237P
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<本のひらめき>

「対立」「葛藤」「相克」「障害」・・・・さてこれらは、何だろう?
いきなりクイズめくけれど、これはドラマの材料である。こういうものを乗り
越えて、どんな行動にでるか、そしてどんな局面が生まれるか・・というのが
ドラマだという。なるほど。たしかに全編いいことづくめだとなんだかドラマ
チックにならないねぇ。

ロミオとジュリエット、おしん、チャングム、最近でいば武士の一分など、た
しかにみんなそういう要素があってこその盛り上がりがあった。

考えてみれば、そんなものは実は人生の中で、ごろごろしているのに、なぜ人
はドラマや演劇をみたがるのだろうか?・・・

それは「カタルシス(ギリシア語)」のためだという。カタルシスとは、浄化、
純化、排泄といった意味で、要するに心の洗濯だということだ。なるほど。

脚本家は、そんな心の洗濯の台本を設計する仕事である。

本書は、脚本家の著者が、脚本を書くということはどういうことか、どんな
心の葛藤があるのか、生きがいは・・といったあたりを、自身の経験も披露
しながらエッセイ風に職業紹介をした本である。

脚本家になりたい・・という方には、絶好の本だ。

仕事の流れ、悩み、醍醐味などが分かりやすく書かれ、また興味をそそる筋
立てで展開する。

最後には、著者の作品シナリオや、シナリオ学校のリストなども掲載されて
いる。

テロップに脚本だれそれ・・・とでたら、その人がどんな気持ちで、どんな
相克にまみれながらこれを書いたのか、ちらっと想像してみるのも楽しい。


<僕の思いつき>

脚本家、シナリオライターは、自己完結できない特殊な仕事だという。たし
かに書いた後は、演出家や役者の味付けによって良くも悪くも変わっていく。
打ち合わせの段階で変更を余儀なくされることもある。

そんな悩みの中でも「作品のすべてを自分が支配していると妄想できる瞬間」
があるという。

脚本家をめざすひとには、赤裸々な告白もあってとっても参考になるのでは
ないだろうか。

脚本=設計図なら、事業計画=脚本とひっくりかえしてもいい。
会社でつくる事業計画や中期改革を脚本(シナリオ)として描く方法もいいね。
スープストックTOKYOは、まさにそんなふうにして生まれている。

さて、シナリオを書いてみますか、わが社でも。

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<オススメ度>

   ★★★★☆+いつか逢う街

<読んで欲しい方>

   ・シナリオライターになりたい方
   ・脚本家について知りたい方
   ・ドラマを書いてみたい方

Posted by webook at 2007年01月04日 10:11