2009年02月23日

The Last Lecture ~ Randy Pausch + 夢の片棒を担ぐ

 We cannot change the cards we are dealt, just how we play the hand.

書籍情報

The Last Lecture
The Last Lecture
posted with amazlet at 09.03.29
Randy Pausch
Hyperion
売り上げランキング: 88

本のひらめき

2007年9月18日、カーネギーメロン大学(ペンシルベニア州)で、「最後の授
業」を行った若くハンサムは教授がいた。Randy Pausch(ランデ
ィ・パウシュ)、46歳。コンピューターサイエンスの教授でVR(ヴァーチ
ャル・リアリティ)の権威だった。だった、というのは、2008年7月25
日、妻と3人の幼い子供を残して他界しているからだ。

本書は、最後の授業をベースに書かれた本で、Youtubeの動画を見てか
ら読むと、さらに面白いと思う。(あー、言ってた言ってた・・っていう感じ
で読めるから)

最後の授業は、子供のころの夢を実現するために・・・というテーマで始まり
、夢を持ちそれを追求することの大切さや楽しさを、ユーモアとウィットを織
りまぜて語っている。

VTRの中に登場するスライドにも書かれているが、子供のころの夢は

  ・無重力を体験する
  ・NFLでプレイする
  ・百科事典の中の記事を執筆する
  ・カーク船長(スタートレックの)になる
  ・ぬいぐるみをとる
  ・ディズニーのイマジネーターになる

それらの実現プロセスが面白おかしく語られる。

後半の「他の人の夢の実現を助けること」や「人生の生き方」も素敵だ。

いくつか印象的な言葉は

  That is what it is. We can't change it. We just have to decide
how we will respond.
現実(=ガンのこと)は変えられない。ただ受け止め方を変えるしかない。

  Brick walls are there for a reason: they let us prove
how badly we want things.
(壁があるのは訳がある。もっといい方法を
   見つけさせようとしているのだ)

  Earnest is better than hip.
(実直に生きるほうが、小利口に生きるよりいい)

  No Job is beneath you.
(意味のない仕事などない)

いくつかのひらめきを与える言葉は、魂の叫びのように聞こえる。


ちなみに日本語訳の本はこちらで:

  最後の授業  ぼくの命があるうちに DVD付き版
  http://tinyurl.com/lastlecture-j

字幕つきのDVDもあるので、お勧め。

原書とYoutube動画という気見合わせもまた、お勧め。


僕の思いつき

この本は、ある二人の知り合いを通じて僕の手にやってきた。最初にランディ
パウシュについて知ったのは、100冊倶楽部のMoso会議に参加されてい
た高橋さんのメールから。メールにあったYoutubeのリンクをたどると
すっかりハマってしまった。そして、この動画のことを紹介してあげたインタ
ーン生のM君も気に入り、次に彼とあったときにはもう原書を手にしていた。
さっそく借りて読んでみた。

誰かに紹介されて、それをきっかけに素敵な本を読むというのは、とても楽し
いことだ。100冊倶楽部の楽しい仲間は、それをシェアする素敵な人の集ま
りである。(いま、Vol.2が、密かにうごめきはじめている。♪)

この最後の授業(the last lecture)は、そのビデオも本も素晴らしい。
ランディ・パウシュが、講義の最後に締めくくる一言は、聞く人の心に、静か
な感動の余韻を与えてくれるだろう。

 この講義の第二の隠れた意図(2nd head fake)が何かわかりますか?

しばしの沈黙のあと、ランディはこう続ける。

 実は今日の講義は、みなさんのために行ったのではありません。
 私の、子供たちのためだったのです。

死を前に、人生のすべてを凝縮し、著者はその思いを語った。その思いとは、
こどもたちへの遺言であり、作品でもある。

ユーモアとウィット、そして感動にあふれた、故ランディ・パウシュの最後の
講義に感謝を。そして、ご冥福を。



オススメ度

★★★★★+2nd Head fake

読んで欲しい方

・人生の意味を考えたい方
・夢を実現したい方
・愛する人がいる方

Posted by webook at 15:18 | Comments (0) | TrackBack

2009年02月02日

アホは神の望み ~ 村上和雄 + どんな心境で選択するか

素直で正直、器が大きなアホであれ!

書籍情報

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録
石川 拓治 NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班
幻冬舎
売り上げランキング: 31

本のひらめき

村上さんの本は、どことなく素敵な香りがある。生きること、この世に存在す
ることの意味や価値を感じながら、愚直に前に進む勇気がもらえる。

 ウサギがカメを追い抜くように、バカは利口を超えるところがあります。
 利口とは、ある範囲において限界まで届く知性のことですが、
 バカやアホというのは、その限界をあっさり超えてしまうことが
 しばしばあるからです。

木村さんは、小利口に浅く生きるより、大きな愚かさをもつ深い生き方を勧め
ている。

エジソンもアインシュタインも、小利口に生きるのではなく、器の大きなバカ
を生きた人らしい。最近ではスティーブ・ジョブスもその一人だ。
日本でもノーベル賞の湯川博士も、自分の凡才ぶりに悩んでいたとか。島津製
作所の田中耕一さんも、目立たない地味な存在だった。
どうやら神様は、器の大きなアホに微笑んでくれるらしい。先日の「奇跡のリ
ンゴ」の木村秋則さんもそんなアホの一人に違いない。

スティーブジョブス(Apple)のスタンフォードでの卒業祝賀スピーチは、感動
的な内容としてネットで広がった。その中にも

  Stay hungry, stay foolish. (ハングリーであれ、愚かであれ)

という言葉がある。常識なんかはみ出してしまう器の大きなバカになれという
メッセージだ。

バカは、常識にこだわらない。ときに人からMosoもいいかげんにしろとバ
カにされる。しかし、そこに一途な思いや深い思想があれば、神は微笑んでく
れるらしい。

アホに必要な要素、それは熱意、楽観、軽さ、覚悟、それに息抜きだという。

遺伝子工学の世界的権威が語る、自然と生命の法則。そこに登場する重要なキ
ーワードが、「バカ」というところが、また面白く不思議なところでもある。

深い洞察に、心が震える本である。


僕の思いつき

生命がもっている「生きすぎない」という節度の話は、ちょっと衝撃的だった。
だいぶ昔、つくば万博があり、そこで巨大トマト(一本の木から1万個も実を
つけたトマト)が紹介されていた。単にトマトがたくさんなってすごいという
だけではなく、生命の力は、阻害要因を取り除いてやれば無限の力を発揮でき
るんだ・・・というメッセージを多くの人が受け取った。

木村さんは、さらにそのあと、深い問いを続ける。

 では、なぜ自然界には、そういうトマトがないのか?と

それは、生きすぎないという「つつしみ」の意志のようなものが自然界にはあ
り、自然と生命のすごさもそこにあるのではないかと・・・。

なるほど。

ドーキンスが言った利己的遺伝子のことを知ったとき、とても新鮮に思った。
そして、木村さんの本で、利他的遺伝子という言葉で、さらにその先の深みを
知ることができた。

モアモア病やジブンガ菌に犯されてきた20世紀の発展は、ここにきて地球か
らのメッセージを受け取る新たなパラダイムシフトの世紀に入った。臨機応援
、利他的・・・これらの言葉に、パラダイムシフトのヒントがあるのではない
だろうか。

「無限の可能性」と、「生きすぎないというつつしみ」

自然のもつ不思議な矛盾、深い理(ことわり)に、資本主義社会が追い求めて
きた傲慢さを反省するときかも・・・と思った。



オススメ度

★★★★★+Stay Honest, Stay Stupid

読んで欲しい方

・科学と宗教の交差点に立ってみたい方
・生きる意味を考えたい方
・宇宙の理(ことわり)を感じたい方

Posted by webook at 15:23 | Comments (0) | TrackBack

過去の記事
カテゴリー別