2010年08月31日

トレード・オフ ~ ケビン・メイニー + マイケル・サンデル教授

問いが決め手 ー 購買心理を二分法で考える・・・

書籍情報

トレードオフ―上質をとるか、手軽をとるか
ケビン・メイニー(著) ジム・コリンズ(序文) 内田和成(解説)
プレジデント社
売り上げランキング: 848


本のきらめき

消費者としての私たちは、様々な商品やサービスを買うとき、「上質をとるか
」あるいは「手軽をとるか」の二者択一(トレードオフ)で判断している。
簡単に本書のエッセンスいっちゃうと、こんな感じ。

ということは、上質も手軽も「両方狙う」とダメよっていうことでもある。
あるいは、どちらでもない「中途半端」はダメよっていうことでもある。

本書には、上質ねらいとして iPhone や、テスラ・モーターズのロードスター
、有名私立大学(ハーバードとか)で学ぶこと、高いチケットで観戦するNF
Lゲームなどが紹介される。一方では、ウォルマートやマクドナルドなどの手
軽さ狙いのサービス、製品がある。

いずれも上質か、手軽さかだけを追求している。(両方ではない)

上質とは、経験+オーラ+個性。つまり、商品やサービスだけでなくそれに付
随する素敵な経験、そして、それが放つオーラと他にはない個性。これらが合
わさって上質を形成する。

手軽さとは、入手しやすさ+安さ。安くても、どこでも入手できないと手軽と
はいえない。

どちらか一方の極を狙えばいいのだが、手軽でかつ上質・・といった欲張った
考えをついしたがるのも常である。
その先には不毛地帯という目指してはいけない土地があるという。

その具体例として、スターバックスがあげられている。

スタバといえば、独特の空間、そこにいる上質さ、あのカップを持っている優
雅さ・・といった雰囲気が売り。ところが、一時拡大路線に走ったスタバは、
その上質さに、手軽さという危険因子を入れかけたことがあった。

20年目の迷走とも呼ばれた失敗は、多数の店舗閉鎖という苦い経験をへて回
復した。スタバが多くの店舗を閉鎖するというニュースは、大きく取り上げら
れていたが、その裏の背景にある「上質と手軽のトレードオフ」は指摘されて
いなかったような・・・。

また、同じように、廉価な製品を出して失敗したCOACHや、NYCに出店
をしかけたウォルマートなど、なるほどそれはいかんね・・・という事例もあ
る。

本書は、上質か手軽かというトレード・オフの実態を豊富な事例で示してくれ
る刺激的な本である。


僕のつぶやき

二者択一(二分法)の、面白いところは、分かりやすいところ。本書のように
多くの事例で示されると納得感が増す。

このときの最も重要なことは、“何を問いかけるか”というところ。

上質か手軽さか、贅沢か実用か、日常か非日常か、いろんな分け方がある。
大事なことは、そういう問いの設定(よのなかの人は、上質か手軽さかで、物
事を判断しているのではないか?)の的確さと、それを追求する探究心(検証
)ってことだろうか。

本書にでてこない日本の事例、たとえばダイソーは手軽さ、マクドナルドも手
軽さ、一方でモスは上質ねらいだね。僕が本屋さんをやるなら上質ねらいだね
、きっと。

ところで、ついさっき、一冊の本を注文した。
「奇跡は自分で起こす?幸せになる一ミリの法則」鈴木秀子著
 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4759309756/weboooftheday-22 

"「魂が震える話」" というメルマガで紹介されていたもの。本の中から、短
いストーリーが紹介されていて、それがとっても感動的。テキストで読んだら
もう十分なのに、それでもやっぱり本として持っていたいという思いからアマ
ゾンに注文した。正直、ちょっとおバカな行為だが、トレードオフの概念から
いえば、これは、ちょっとした上質を求める行為といえる。プチ上質?

僕たちは、様々な場面で、上質か手軽かを選んでいるねぇ。しかもそれは、ち
ょっと非合理的だったりもする。笑

二者択一の切り口・・・いろいろ考えてみるのも楽しそう。



オススメ度

★★★★★+無意識の選択

読んで欲しい方

・消費の心理を考えたい方
・二者択一が大好な方
・日常の選択を感じたい方

Posted by webook at 21:29 | Comments (0) | TrackBack

2010年08月22日

魔法の習慣 ~ 佐藤 伝 + パパと娘の7日間

人生は、小さな習慣の結果である。

書籍情報

たった1分でできて、一生が変わる!魔法の習慣
佐藤 伝
学習研究社
売り上げランキング: 17611

本のきらめき

家庭でもビジネスでも、ふとした瞬間の選択(何を言うか、どんな態度をとる
か)が、その後の展開を大きく分けることがある。仮にそれが、重大な局面の
深い悩みの判断ではなくても・・・である。

人生は、いつも重大な決断の連続というほど重々しくはない。今日のランチは
何たべる?、あいつ元気かな、メールでもしてみるか・・みたいなささやかな
出来事の連続のほうがはるかに多い。

そんなときに、何気なく行動に表出するのは普段のクセ。習慣。

きょうの本は、ナイン・マトリクスや9マス日記など、著作、講演などで熱い
ファンを持つ佐藤伝さんの最新作。ちょっとした習慣を変えることで、人生が
変わっちゃうよ・・という行動習慣マイスターの伝ちゃんからのメッセージだ。

ここに紹介される49の小さな習慣は、どれもささやか、そして、やってみよ
っかな~と思えるシンプルなものばかり。
しかし、言われてみると、それらをやってなかった自分も発見することになる
だろう。

小さな発見と自覚。そして、ちょっとやってみよっかという一歩。それを後押
ししてくれる素敵な本だ。

僕もいくつかビビっときたものがある。たとえば、

<ご縁の習慣>では;

 ◎ 自分から先に隣の人に「声をかける」
     セミナーとかパーティに参加したとき隣の人に「先に話かける」
     っていうこと。僕は、案外シャイなんで、これがちょっとでき
     ない。でも、この本のメッセージを、そういう場面で思い出せば
     ちょっと勇気が出そうだね。

 ◎ 気になる相手には「すぐ電話」を入れる
     電話は用事があるときだけに・・・っていう思いがあるけれど、
     “あの人に電話してみようかな・・”とふと脳裏をよぎったとき
      は、なにかビビっときている証拠。自分の直感を信じて電話を
     かけてみよう。大事なのは、特に用事がないのに・・でもいい
     ってところ。(なるほど、そうだったのか。気楽にかけちゃえば
     いいのね)

<強運の習慣>では

 ◎ 3Sからスタートする。
     運をよくするキーワードは、3S。掃除、整理、整頓。
     いつもふと忘れがち、さぼりがちな3S。やる気が出たぞぉ。

 ◎ 貯金専用通常を、常に持ち歩く。
     貯金専用通帳を開設する。行動範囲に支点やATMが多い銀行が
     ベスト。キャッシュカードは不要。何しろためる専用だから。
     何かの折に銀行のATMをみつけたら、即刻飛び込み、小銭でも
     いいので預金する。歯磨きのように習慣化したら楽しい。

<幸福の習慣>では

 ◎ スモールプレゼントをする。
     伝ちゃんはスモール・プレゼントが好きで、素敵な小物を見つけ
     ると、同じものを2使うんだとか。一つは自分、もう一つは誰か
     のプレゼント用に。どうして? 幸せって、分け合うとどんどん
     大きくなるから・・・。うん、これっていいね。
  
この本には、伝ちゃんの宇宙がシンプルに書かれている。宇宙、って大げさか
もしれないけれど、そんな気がする本なのだ。

人生の真実が、実はちょっとした習慣に潜んでいるなんて・・・
うーん発見だなぁ。

ほんとに人生変わっちゃうかもしれないので、とっても危ない本(笑)だけど
マジお勧めの本。ビビっときたらサクッとこちら: ↓
              http://amzn.to/mahounoshukan


僕のつぶやき

「習慣が変われば人生が変わる!」とは、風が吹くと桶屋が儲かる式の連鎖が
想像できるが、この言葉は真実をあらわしている。

  人生は、ズバリ「習慣」です。

と喝破する著者は、その習慣の実践者でもある。僕のメンターのお一人でもあ
る伝ちゃんと雑談をしていると、そんなシーンをたくさん目撃する。

この前も、お茶を飲みながら話していたら、たまたま紹介したい人の話になっ
た。すると即刻その場で携帯電話。すごいなーと思った一瞬。まさしく習慣。
あー、この方は素敵な習慣を続けてこられた方なんだなあと、思えた。

ささやかなことを、「あ、これ伝ちゃんが言ってたように習慣の一つにしよう」
って自ら認識できるところが、本書の隠された効果だ。

あっ、いいかも・・・って思える瞬間があれば、その行為を習慣にするよいき
っかけにできる。

きっかけは、いつも、本から始まる。あなたも・・・ぜひ。



オススメ度

★★★★★+49のビビサク

読んで欲しい方

・新しい習慣に目覚めたい方
・よい習慣を身につけたい方
・習慣の偉大さを感じたい方

Posted by webook at 21:26 | Comments (0) | TrackBack

2010年08月15日

人生が変わる哲学の教室 ~ 小川仁志 + 成長縁大学

夏の夜、古典の哲学者に出会えるかも・・


書籍情報


人生が変わる哲学の教室
小川 仁志
中経出版
売り上げランキング: 8069

本のきらめき

実は、僕は本屋さんが嫌いだった。学生時代の話。そう、あの頃、自由書房
っていうのが大学のある町にあって、そこに行くといつも目が回るようで嫌
だった。本屋さん特有のにおいも肌にあわなかった。だから、いつも早々に
退散するのが落ちだった。

本の虫のようになった今では、考えられないことだが、あのころはなぜか、
本から縁遠かった。当然、哲学書などが並んだコーナーなどは吐き気を催す
ほどだった。笑

したがって、プラトン=恋愛、マルクス=経済、ニーチェ=永遠回帰説、く
らいの関係性は知識としてもっていたが、中身はさっぱり・・・。

そんな僕に、本書は、実によいタイミングでやってきた。

本書は、私立久我伝高校(くがってこうこう)を舞台に、著名な哲学者が、
夜な夜な深夜に特別講義をしてくれるというストーリー仕立ての哲学入門書。

カント、ハイデガー、ヘーゲル、サルトルなど著名な哲学者が何を考え、何
を悩んだのか・・・そんなあたりをサクっと教えてくれる。しかも、現代人
の悩みにも結びつけて展開するのがうれしい。

深夜3時、久我伝高校の2年生3人に加え、仕事に悩めるサラリーマン、家
庭に疲れた主婦も混じった教室へ、一人の哲学者が登場する。

ガラガラと教室の戸をあけて、最初に登場するのはハイデガー先生だ。

 皆さんはじめまして、ハイデアガーです。倫理とかの教科書でみたことが
 あるでしょうか・・・・

そんな挨拶から始まる。(そうか、倫理の教科書なんてあったなぁ)

ハイデガーは生と死について語る。「死は生のためにある」「死を思い、懸
命に生きよ」などのメッセージを生徒とのやりとりの中で披露するのだ。

映画好きのサラリーマン平田のつっこみもなかなか親しみを覚える。

心の壁を取り払い、哲学に触れるとても楽しい本。この夏にぜひ!


僕のつぶやき

Webookでも過去、何冊か哲学書をご紹介してきた。

ポール・ストラザーンの「90分でわかるプラトン」
 http://www.webook.tv/bn/1999/05/90_paul_strathern.html

佐藤雅彦さんの「プチ哲学」
 http://www.webook.tv/bn/2000/06/post_170.html

など。

しかし僕にとって一番の哲学書は、田坂広志さんの著作の数々・・・
なかでも「使える弁証法」はお勧め。ヘーゲルの弁証法が、時代をまたいで、
分かりやすく解説される。

 http://www.webook.tv/bn/2005/11/_121.html

物事を本質にまで掘り下げて考えるのが哲学とすれば、日常の様々な出来事か
ら、思いを巡らせ、自問自答してみると、僕らもちょっとした哲学者に。

お盆に合わせ、僕らはなぜ、ここにいるのか・・・なんて、考えてみてもいい
ねー。田舎の夜空を眺めながら・・・



オススメ度

★★★★★+哲学者との邂逅

読んで欲しい方

・哲学に触れたいか方
・著名な哲学者の考えをサクっと知りたい方
・哲学の楽しみを感じたい方

Posted by webook at 21:24 | Comments (0) | TrackBack

2010年08月08日

もしドラ ~ 岩崎 夏海 + 良き会社研究所

ビジネス書は、頭で分るより心で感じるほうがいいねー。

書籍情報

本のきらめき

「もしドラ」と略称される本書は、高校野球の女子マネジャーの目を通じ、ド
ラッカーのマネジメント論を分かりやすく伝えてくれる本だ。

主人公は野球部の新人マネジャー、川島みなみ。(表紙のマンガで、ものすご
くキュートなみなみをイメージしてしまうのは、やられました!だねえ)
みなみの通っている高校ー都立程久保高校(通称、ほどこう)は、進学校。し
たがって野球部の実力もほどほど。甲子園なんて望めるレベルではなかった。

そんな野球部のマネジャーになったみなみには、ちょっとした事情と理由があ
った。その伏線が何かは読後のお楽しみ。

僕らもそうなのだが、部活のマネジャーと、企業のマネジャーは、同じマネジ
ャーなのに言葉から受けるイメージがまったく違うのではないだろうか。
本書は、マネジャーの本質をさぐるみなみのおかげで、それが同じだったこと
に気がつく。

みなみは、マネジャーとは何だろう?という自問から、本屋さんで偶然にも、
ドラッカーの本を手にする。
物語は、ドラッカーの文章を引用しながら、野球部の抱える問題に立ち向かう
みなみを中心に展開する。

経験と知識はあるのになぜかやる気の見えない監督、加地。
実力があるのにちっとも真面目に練習しないピッチャーの慶一郎。
野球がへたで補欠の二階正義、実はドラッカーを読んでいた。
そして、病院で療養中のみなみの仲良し、夕紀。などなど・・・
多彩な仲間が繰り広げる高校野球の舞台は、いつも意外な展開を見せてくれる。

野球部の使命は何か。お客さんは誰か。人の強みを生かすにはどうしたらいい
のか。・・・・などなど、本質的な問いと向き合うみなみは、ドラッカーの本
がバイブルになっていく。

心にしみる物語と、ドラッカーのマネジメントは何かを感じさせてくれる、と
てもオイシイ本だ。

多少強引な展開があるって? いいのいいの、そんなことは:笑
この本で、僕は結構刺激をいただいた。(これからの事業のお客さんは誰だ?
みたいに・・・)

リアルな本か、あるいは、ダウンロードでぜひ!


僕のつぶやき

実は、本書はiPhone の電子書籍で読んだ。本では、272ページだが、アプ
リ上は666P の設定だ。(フォントサイズによるが・・)

この初体験は、ものすごくワクワクする時間となった。
ページをめくるのがたまらない・・・そんな楽しさを味わうことができた。
気に入ったフレーズには、マーキングがつけられ、あとで、マーカーの箇所だ
け見たりもできる。(このあたりは iPhone ならでは?)
物語のワクワクする展開に加え、iPhoneアプリの心地よさが、面白さを倍加さ
せてくれたような・・・。

電子出版がこれから盛んになるけれど、その要素は
  1)早い。(本より安く、その場で15秒くらいで買える)
  2)安い。(本書なら1680円→800円 と半額以下)
  3)楽しい。(電子媒体ならではの使い方がある。マーカーなど。)
といったところだろうか。

しかし、そもそも大切なことは、コンテンツそのものが面白い、役に立つ、と
いうこと。基本は紙媒体も電子メディアも同じってことかな。

本書は、ドラッカーのマネジメント論を、高校野球の舞台で展開するユニーク
さと、物語が醸し出す共感で、読者をひきつける。

しかし、それにしても・・・ドラッカーのマネジメント論を高校野球の女子マ
ネジャーといっしょに学ぶことになろうとは・・・(笑)。

あぁー、僕も電子出版するぞ、っと。


オススメ度

★★★★★+物語でドラッカー

読んで欲しい方

・マネジメントについて学びたい方
・マネジャーの立場の方
・ドラッカーを感じたい方

Posted by webook at 21:07 | Comments (0) | TrackBack

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