2017年01月05日

職場を幸せにするメガネ 〜 小林嘉男 + 合意形成

書籍情報

この本のツボは?

私達は、人生の多くを(ほとんどを?)仕事場で過ごしています。
仮に朝7時に起きて夜11時に寝るとすると(あ、セブンイレブンだ)16時
間の約半分にあたる8時間を会社(仕事場)で過ごしていることになります。
もし仕事が嫌でたまらなかったり、人間関係に悩むような場所だったりしたら
そんな不幸なことはありませんね。
一方で、仕事に行くのが楽しい、職場の仲間がとてもいい人ばかり、上司も尊
敬できる、自分の成長を実感できる・・・そんな職場だったら嬉しいですね。

多くの職場では、多かれ少なかれ様々な問題があります。そして、とどのつま
り、それらの多くは対人関係に起因していると言われています。
私の周りでも、結局、対人関係に起因する根深い問題があって、楽しくやりが
いのあるはずの仕事を台無しにしているのを見かけます。悲しいことです。

本書では、以前は冷徹上司とよばれていた著者(小林さん)が、たったひとつ
のあるものを変えた事で、職場が劇的に変わったことが紹介されています。
それは、なにかというと、メ・ガ・ネ。

メガネとは、物の見方・考え方です。

小林さんの職場は、経理部。3年前まではとても不幸な職場だったといいます。
それが今では、みんながイキイキと楽しく仕事をしている職場に。
会社(ディスコ)自体も、働きがいのある会社ランキングで上位につける素晴
らしい会社になっています。

しかし、かつての小林さんは、じつはギスギスする職場の雰囲気を生み出す張
本人だったそうです。理屈やべき論ありきで、仕事はできるがとても厳しく冷
徹な上司だったとか。しかし、あるとき部下からの厳しいフィードバックに立
ち直れないくらいになり、そこから大逆転が始まります。それは、MIT教授の
ダニエルキム氏が提唱する「組織の成功循環サイクル」への転換点でした。

小林さんが何をしたか。それは、"自分がかけていたメガネを変えた" でした。

仕事の鬼マネジメントから、一緒に働く人を幸せにするマネジメントへ。
そのメガネは、まったく異なる色合いのものでした。「部下を幸せにするのが
上司の役割」という新しいメガネはとてつもなく大きな変革をもたらしたので
す。


同時にアドラー心理学との出会いも、小林さんのメガネを暖かく楽しく面白い
ものにしたようです。

*認知論(人は誰も認知のメガネをかけて、主観的な解釈をしている)、
*共同体感覚(自己受容+他者信頼+他者貢献を満たすと人は幸せを感じる)、
*目的論(過去の原因ではなく、未来の目的に着目して物ごとを考える)、
*勇気づけ(褒めるのでもなく叱るのでもなく、勇気づける)
など、マネジメントのメガネを変えるヒントが書かれています。

特に響いたのは目的論のところ。
とかく、原因はなにか!ということを追求することが仕事の基本のように思わ
れていますが、こと対人関係においては、それは傷口に塩を塗るような場合も
あり、むしろ、ほんとはどうしたかったの?という目的論的アプローチが望ま
しいというものです。このスタンスの差は大きいですね。


MITのダニエル・キム教授の組織の好循環サイクルもとても共感深いものがあ
ります。

 関係の質 → 思考の質 → 行動の質 → 結果の質

というサイクルです。結果を求めるあまり、ダメだし上司になると、関係はギ
スギスしはじめ、保守的・保身的思考になり、行動になり、結果もでなくなる
・・・そんなバッドサイクルの職場、ありませんか? 結果がそこそこでも、
このサイクルにいる職場は、楽しくない。面白くない。つらい。やめたい。な
どどんよりした空気に満ちていきます。

逆に、信頼や尊敬に満ちた職場なら、前向きで、サポーティブな思考が普通に
なり行動も楽しくなる。当然、結果もついてくる。こんなサイクルこそ望まれ
ますね。


アドラーの「横の関係」というのも気に入りました。上司と部下も、上下の関
係ではなく、互いにある目的のために一枚のキャンバスに向かって作品を作る
横の関係が望ましいというものです。

などなど・・・本書は、何度も読み返してみたい内容がいっぱい。

本書を読んでいて、メモしたり、浮かんだ問いはこれ・・・

・ 今まで仕事をしてきたなかで、あんなふうにはなりたくないと思うのは誰?
  どこが嫌いですか?
・ 今まで仕事をしてきたなかで尊敬できる人は誰? どこが尊敬できますか?
・ あなたは、どんな職場をつくりたいですか?
・ あなたのために頑張りたいです、あなたは、そう言われる上司ですか?
 

友人の鈴木さんを介してやってきたこの本は、とてもご縁の深い本でした。
多くの皆様と共感ポイントをシェアしたいものです。
なぜなら、毎日の仕事は、苦しむためのものではなく、楽しく幸せになるため
のものだから・・・。超おすすめですよ。


おすすめ度は?

   ★★★★★+幸せになる仕事

知りたい?

   ・対人関係で悩んでいる方
   ・一段高いマネジャーへ脱皮したい方
   ・アドラー心理学に触れてみたい方


■■今日のおまけ:( 合意形成)

 言葉の因数分解を続けていますが、今日は合意形成について考えてみます。

 合意形成
 =(課題、問題)x (共通認識、当事者意識、スケジュール)x ワクワク感

 会社では、日々様々な問題が出来し、組織間で話し合いが行われ、課題解決
 が行われています。そんな中、合意形成というチッピングポイントを効率的
 ・生産的に導くことはマネジャー諸氏の力量にかかっています。
 そのとき、合意形成を行い、みんなで事に対処するためには、上記のように
 因数分解された要素が必要かもしれません。

 異なる部署のキーマンを集め、会議を開く。こんな場面に、私も会社でよく
 遭遇します。ここで登場するもっとも有効なツール。
 それは、ホワイトボードです。

 以前は、会議となるとPPTで資料を作り、それをプロジェクターで写して話
 を進めることを、実は私もやっておりました。
 一見、かっこいいのですが、??な点があってもそのまま次へ、内職してもOK
 、議論がみえなくてもそのまま次へ・・といった混迷の会議になりがちです。
 あるいは、すでに決まりきったことを合意確認するためだけの(無意味な)
 会議だったりします。
 
 ほんとうはどうしたいの?
 あなたはどう思うの?
 今後どうしましょうか?
 を真摯に効率的に議論し、合意形成をするにはやはりホワイトボードです。

 合意形成するにあたっては、因数分解にあるように
   共通認識(ここがけっこうぶれている)
   当事者意識(誰が何をするかをクリアに)
   スケジュール(タイムフレームを具体的に確認)
   ワクワク(やる気の起きる雰囲気で)
 会議を終われるようにしたいものです。


 ビジネスをアートにする研究所は、今年2017年
  ★ ホワイトボードファシリテーション講座
  ★ Webook Publishing
 の2本柱でがんばることにしました。

 今年もよろしくお願い致します。
 (ということで、因数分解から最後はご挨拶になりました。笑)

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Posted by webook at 18:37 | Comments (0) | TrackBack

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