2011年03月30日

マグロ船仕事術 ~ 齊藤正明 + MacBookCafe-4の模様


   船長から学ぶ・・・仕事の心得

書籍情報


この本のツボは?

メーカーの研究者だった著者は、ワンマン上司の命令で、なぜかマグロ船に乗
せられるハメになる。荒れる海、狭い船内、過酷な職場。ところが、なぜか、
漁師たちは毎日楽しそうに、お互いに助け合って働いていたという。
 
本書は、マグロ船に乗せられた著者が、過激な体験の中で学んだことを私たち
のビジネスに活かせるエッセンスとして解説した本である。

何か月もの間、わずかな自由空間しかない極限ともいえるマグロ船の中で、繰
り広げられる人間模様。そこには、私たちが失いかけた大事なものがたくさん
あったようだ。

 「仕事ができる船長は、船員から尊敬されない」

まことに矛盾に満ちたこのフレーズ。一見おかしいように思えるが、まことに
組織の人間力学を言い表した見事な表現である。なぜか。

「船長は何でもできて、みんなから尊敬される人じゃないとやっていけないの
では?」たずねた著者に、荒くれ船長は答える。

 マグロ船では、すごいことができるやつは尊敬されんのぞ!

 自分(船長)ができすぎると、普通の人やらの気持ちが分らねぇじゃねぇか。
 それでつい「なんでこんなこともできんのか、このバカ!」ちゅーてどなる
 けぇ、みんな嫌々働くようになる。

 船長になるためには、できるようになることは大事じゃ、無能じゃ困るけぇ
 の。でもそれ以上に大事なことがあるんど。

 それは、うまくできる子がいたら、「うめぇのぉ」と素直にほめたり、認め
 たりしてやることど。

畏れられるより、好かれ信頼されてこそ、生死をともにする仲間は、仕事がで
きるということだ。

また、注意するときはサンドイッチでというのも共感できる。
「褒める+注意する+褒める」という構造で注意するのである。たとえば
こんな感じ・・。

 おまえは、船に酔うちょっても、降りたいって困らせないところが偉い。
 でも、漁具を直したら(かたづけたら)早う戻れ、みんな心配するけぇの。
 酔うてもなんとかしようと頑張るところに、みんなは元気づけられてるぞ。

そのほか:
・部下の発言には、とりあえず「なるほど」と答えよう。
・多くの人や部署とオープンに話し合う習慣をつけよう。
・部下のどこが成長したかを知り、具体的に伝えてあげることが大事。
・叱るときには「期待していた部分」を強調して伝えよう。

など、マグロ船という特殊な仕事場を知るとともに、私たちの仕事にも生かせ
るたくさんのヒントがもらえる。ドキドキしながら読める一冊。

おすすめ度は?

   ★★★★★+マグロ船

知りたい?

   ・船は不便だからエエ?
   ・船長が前向きだと船は沈没する?
   ・迷ったときにはサイコロをふれ?


■■今日のおまけ:( MacBookCafe-4 楽しかったですね )

 29日に、MacBookCafe-4 がありました。またまた素敵な本と、素敵な
 仲間の出会いの場になりました。
 今回は、東日本震災のチャリティイベントとなり、義援金をHOPE100
 を通じて寄付することにしました。
 また、支援のためにぼくたちができることのMoso会議もやりました。
 いい気に包まれた時間でしたね。

http://macbookcafe.jimdo.com/
http://macbookcafe.jimdo.com/%E6%9C%AC/

 ご参加ありがとうございました。来月もまた。4/22, 23 どちらかで。

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2011年02月21日

働く幸せ ~ 大山泰弘 + 日本理化学工業見学会


 働くことは、生きること、幸せになること。涙と感動をどうぞ!

書籍情報

働く幸せ~仕事でいちばん大切なこと~
大山 泰弘
WAVE出版
売り上げランキング: 18127


この本のツボは?

法政大学の坂本光司さんの本『日本でいちばん大切にしたい会社』でも紹介さ
れた素敵な会社がある。川崎市にある日本理化学工業。ダストレスチョークを
作っている素敵な会社である。

本書は、この日本理化学工業の経営の秘密を、会長である大山氏が語った本だ。
初めからすごい会社であったわけではなかった。大山氏も様々な葛藤と苦難を
乗り越えて、現在の日本理化学工業を作り上げてきた。

この会社は、なんと社員の7割が知的障害者である。そして常に優れた製品を
生み出し、 50年にわたり経営を続けている。

 なぜ、知的障害者をそんなにたくさん雇っているのか?!

現在、日本には、障害者雇用促進法というのがある。(昭和35年、1960年に
制定)。その後、知的障害者や精神障害者も含まれるような改訂がなされ、現
在に至る。民間企業(従業員56人以上)は、障害者を1.8%以上雇用する
ことが義務付けられている。しかし実際に雇用している企業は少なく、納付金
という罰則金を払って(雇用を逃れて?)いる企業も多い。

そんな中で70%という数字は異常に高い。ほとんどが知的障害者の会社とい
ってもいいくらいだ。

大山さんは、はじめから障害者をたくさん雇用しようと思っていたわけではな
かったという。数々の迷い、決断、そして数々の出会いの中で、導かれるよう
にこうした経営になったのだという。

大山さんがお父さんの経営していた日本理化学工業に入社して3年目のこと、
近くの養護学校の先生が来られ、「うちの生徒の就職をお願いしたい」と懇願
された。当時の大山さんは、なんとか就職を・・と懇願する先生に向かって、
こんな言葉を返す。

  精神のおかしな人をやとってくれなんて、とんでもないですよ。

かわいそうという気持ちはおろか、蔑むような気持ちさえあったのかもしれま
せん・・・と大山さんは振り返る。二度目の訪問の時も、再度お断り。
それでも、三度、先生はやってこられ

  もう、就職を・・とは申しません。でもせめて働く体験だけでもさせて
  いただけませんか。この先、施設に入ることになります。そうなれば
  一生、働くということを知らずに、この世を終わってしまいます。

ここで、ようやく同情心がめばえ、2週間程度であれば・・と受け入れた。
そして2週間の体験が終わるとき、一人の女性社員が大山さんのところに
やってくる。

  こんなに一所懸命やってくれるんだから、一人か二人ならいいんじゃ
  ないですか。私たちが面倒をみますから。あの子たちを雇ってあげて
  下さい。

これは現場の人たちの総意です!という声に大山さんは採用を決断。これが、
日本理化学研究所が、素晴らしい会社になっていく始まりだった。

ここまでは、いい話。物語はこれでは面白くない(?)ので、さらに様々な苦
悩や問題が続く。(あとは本書に譲りましょう)

本書は、「働くとはどういうことか」「福祉とは何をもとめることなのか」「
経営とはどういうことか」など、様々なテーマを感じさせてくれる。


最後に「私たちは、なぜ働くのか?」という問いに答える大山さんの言葉を引用
しておこう。(ある法要の席。住職との問答から大山さんは気づいたという)

「導師は人間の究極の幸せは、
 人に愛されること、
 人にほめられること、
 人の役にたつこと、
 人から必要とされること、
 の4つと言われました。
 働くことによって愛以外の3つの幸せは得られるのだ。
 私は、その愛までも得られると思う。」(大山泰弘)

この深い言葉の意味を感じるために、多くの方に読んでほしい珠玉の一冊!

おすすめ度は?

   ★★★★★+4つの幸せ

知りたい?

   ・福祉の意味は? →(福はモノ、祉はココロ の幸せ)
   ・ありがとうと言うことと、言われること。どっちがうれしい?
   ・働くという字は国字の一つ。知ってました?


■■今日のおまけ:( 日本理化学工業の見学会 4/15金 )

<これは地震と停電の影響で延期となりました>

 大山会長の本を読み、そしてTVでのインタビューも見ました。
  「彼らの内にある周利槃特の説法に導かれ、
   私は今日まで生きてきたのです」
 という大山会長は、とても穏やかな雰囲気を持っていらっしゃいます。

 大山会長に無性に会いたくなりました。そんな折、なんと、会社見学を
 させていただけることになりました。
 私も、何かに導かれているような気がしました。

 せっかくなので、皆さんもご一緒に。(20名様)

 4月15日(金)1330-1500です。
 場所は、日本理化学工業 川崎工場(田園都市線、二子新地駅)

 大山会長自らがご案内とお話をしていただけます。

 申込はこちら: http://bit.ly/20110415Kengaku

   

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2010年04月19日

父が残したメッセージ 7日間の人生レッスン ~ 米山公啓 + Field Science

見えなかったものが見えるとき。そこに大切な時間が蘇る。


書籍情報


父が残したメッセージ 7日間の人生レッスン
米山 公啓
マガジンハウス
売り上げランキング: 377488

<本のメッセージ>

久しぶりに米山さんの本を読んだ。米山さんはお医者様作家である。 この本は、不思議な時の繋がりを感じさせてくれる人生の物語。

ある日突然、知らない人から米山さんに電話がかかる。また売り込みか・・・
そんなためらいの気持ちを振り払ったのは一種のインスピレーション。不思議
な感覚で受話器を取る。

電話の主は、館林と名乗る男。父親の世話になったという老齢の紳士だった。
父親が亡くなってから数ヶ月目、館林は、オヤジの遺言だといってあちこちに
主人公(キミヒロ)を連れていく。7日間の人生レッスンである。
築地にある喫茶店を皮切りに、札幌、香川、など各地へ旅することに・・・。

とても印象的なレッスンは、時間を共有することの価値の話。

 同じ時間を一緒に過ごした人こそが、自分にとって最も大切な人になってき
 ます。昔の記憶、それは正に時間の共有をした人がいるということの証です。
 家族、親子であれば、そのとき同じ時間を過ごしたこと、まさにそれが時間
 の共有です。同窓生のとの会話がはずむのも、青春時代に同じ時間を共有し
 てきたということなのです。

何気ないひと時も、かけがえのない時間の共有なのだ。それを思うと、心を許
せる人との時間は、どんなたわいもない時でも素敵に思える。そして、すべて
のことに感謝の気持ちが湧いてくる。不思議だ。

ちょっとしたミステリー仕立てのようなところもあり、また深い人生の理(こ
とわり)を感じさえる素敵な展開もあり・・・読み応えのある物語だ。

医師でもある著者のリアルな生活と虚構の世界が入り混じり、不思議な感覚の
中で物語は進む。架空のようでもあり、米山さんの半生記のようでもある。

本書に登場する場所は、おそらく著者が実際に行って様々なインスピレーショ
ンを得たところなのだろう。日本橋千疋屋、札幌モエレ沼公園、軍艦島、香川
県の直島、リッツカールトン東京のラウンジ(45F)など、本書を手にしな
がら行ってみるのもオツですなぁ。

  モエレ沼公園 http://www.sapporo-park.or.jp/moere/index.php
  軍艦島 : http://www.gunkanjima-wh.com/
  香川の直島 : http://www.naoshima-is.co.jp/

オグ・マンディーノみたいなインスピレーションが好きな方、ぜひ!


<僕のレッスン>

3年ほど前、僕の父母も、他界した。
本書のように親が伝えたかったであろう“見えない大切なこと”を物語にする
のも素敵だと思う。
自分の両親が、口癖にしていた言葉、ちょっとした問題を解決する姿、そして
なにより普段の何気ない生活の中で、ごく自然に遺してくれた大切なもの・・
そういうものを、整理してみるのもいい。改めて親のありがたさを感じたり、
今ここにある悩みの糸口見つかったりするかもしれない。
この構図は、「過去→今」の繋がり。

もう一つの繋がりは、「今→未来」への繋がり。

僕にも2人の子供がいる。成長の過程はまさに自分自身の成長の一里塚でもあ
る。この世に生まれた大切な存在だ。

彼らに伝えたいことはいっぱいある。普段の生活でも、ああしたら・・こうし
たら・・・と伝えたい瞬間がある。そのたびに思うのは、親がお説教がましく
言葉にした瞬間、なぜか伝わりにくくなってしまうような、なんともいえない
ジレンマが襲うということだ。

妻とのコミュニケーションもそうだが、親子の会話もまた難しい。

本書のような物語を作っておくのもいいねぇ。子どもにだけ贈るための本とし
て・・・。

何やら、2冊の本を書いてみたくなった。1冊は親への感謝をこめて、もう一
冊は、子供たちへ同じく感謝をこめて。

このメルマガもいつかは、遺書代わりに読んでもらえるときがくるかもしれな
いなぁ・・・。(このページを読む時は、何歳になったときだろうか・・)

もし読んでくれるなら、ひとこと言いたい。「どんな偶然が作用したのかは、
知らないが、とにかく、ここまできてくれて ありがとう!」と。



オススメ度

★★★★★+共有する時間

読んで欲しい方

・親への感謝の気持ちを感じたい方
・時間を共有する意味を知りたい方
・縁の不思議を感じたい方

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2010年01月25日

「ビジネス脳」の磨き方 ~ 仲山進也 + リバースエンジニアリング

カッコいい大人をたくさん創るために・・・僕は進むのだ。

書籍情報

楽天大学学長が教える「ビジネス頭」の磨き方
仲山進也
サンマーク出版
売り上げランキング: 9331


本のきらめき

仲山さんは、楽天市場というECサイトをフィールドに、たくさんの人の成長
を応援しまくってきた方である。楽天市場がスタートして間もなく、楽天大学
という出店者むけの教育をおこなう機関ができた。その学長として活躍してき
た仲山さんが、10年の間に得られた知見を惜しみなく開示したのが本書であ
る。どうしたらECサイトの商売がうまくいくか・・・だけに留まらない深い
洞察が素晴らしい。

成長の4つのステージ、それを登るための視点が、軽快な語りで展開される。
楽天大学や、現在仲山さんが主宰する私塾ゼミを受けているような雰囲気も楽
しい。

さてポイントとなる“視点”とはどんなものがあるのか。
次のような10の視点がある。

スタート
 【視点1】気づき力をアップする「視点」という視点
ステージ1(価値伝達)
 【視点2】伝達力がアップする「わかりやすさ」の視点
 【視点3】人が思わず動きたくなる「ベネフィット」の視点
 【視点4】相手の吸収力を高める「設問」の視点
ステ0ジ2(価値創造)
 【視点5】アイデアが溢れ出てくる「発想」の視点
 【視点6】強みを活かして価値を生み出す「とんがり」の視点
ステージ3(チーム化)
 【視点7】自分も相手も強くなる「1・1」の視点
 【視点8】自走型の姿勢を育む「アシスト」の視点
ステージ4(志・理念)
 【視点9】変化の激しい時代を楽しむ「予見」の視点
 【視点10】思わずクチコミしたくなる「感動」の視点

視点という視点、これが最初にくる。つまり物事を観察したり、考えたりする
ときどんな視点をもつかという意識が、まず重要だということだ。ふむふむ。

ここで視点、視野、視座の違いが、グーグルマップの比喩をつかってとても分
かり易く解説されている。

 視点は、どこを見るか
 視野は、どこまで見えるか
 視座は、どこから見るか

である。こうした、考える道具だてを、もっていることは、様々な場面で役に
たつ。

ステージ3での「強いチームの作り方」に、<1.1の視点>(いってんいち
の視点)というのが登場する。これがなかなか面白くて使える。

ふつうの状態を1.0として、ちょっとテンション低いのを0.9、ちょっと
ポジティブな状態を1.1とする。
さて、これらを何乗かすると・・・
   0.9の30乗=0.04
   1.1の30乗=17
実に400倍以上の大きな差になる。1をはさんでほんの僅かな差も、続けて
いくと大きな差になるっていうお話だ。30乗を30日と考えると驚愕する。

そのほか、オリジナルの法則で「砂山の法則」とか、「ほめなくてもいい技術」
など、とても楽しくて深い内容がいっぱいだ。

すごくお勧め!


僕のつぶやき

ちなみに、本書に登場する事例のムービーがある。(これとっても感動的)

 http://bit.ly/rakutenKANDO
 

仲山さんは、「子供が憧れる、夢中で仕事をする大人を増やしたい」という志
のもと、2008年に自身の会社“仲山考材株式会社”を設立、私塾を主催す
る人を養成する活動をスタートしている。(日本中に、吉田松蔭をいっぱいつ
くろうという感じかな。すばらしい。)

カッコいい大人をいっぱいつくる・・・そんな理想を掲げ、仲山さんは行く。
あー、かっこいいなぁ。

本書を読めば、自分もカッコいい大人になりたい・・と思えてくる。そこが、
とっても素晴らしい。



オススメ度

★★★★★+カッコいい大人

読んで欲しい方

・カッコいい大人になりたい方
・理想を掲げたい方
・成長の楽しさを感じられる方

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2009年09月21日

ソーシャルビジネス入門 ~ ベン・コーエンほか + Mosoの新しい定義

「社会起業で稼ぐ」新しい働き方のルール

書籍情報

ソーシャルビジネス入門 「社会起業で稼ぐ」新しい働き方のルール (The Social Venture Network Series)
ベン・コーエン マル・ワーウィック
日経BP社
売り上げランキング: 37415


本のひらめき

ベン&ジェリーズ・アイスクリームというちょっとユニークな会社がある。
   http://www.benjerry.com/
ただのアイスクリーム屋さんではない。人権、地球環境、利益のトリプル・ボ
トムラインに貢献する企業ということで、これまで多くのメディアに取り上げ
られている優良企業なのだ。ホルモン成長剤を使わない牛から搾った牛乳を使
っていること、NPOに積極的に協力していること、などのほか、ホームレス
の社会復帰を促すために店を職業訓練の場として提供しているという。
著者のベン・コーエンは、その創業者。

この本の原書タイトルは「VALUE-DRIVEN BUSINESS」だ。訳すと「価値に基づく
ビジネス」となる。ベン&ジェリーズ・アイスクリームは、まさに価値に基づ
く企業、つまり社会企業(ソーシャルビジネス)の典型なのである。

もし、こうした社会企業(ソーシャルビジネス)が、あたらしい時代の企業の
あり方だとすれば、今までは(今でもそういう企業がいっぱいだが)どんな価
値観のビジネスが多かったのか・・・。

それは、多くの人が心の底で感じている「なんだかんだといっても結局はお金
儲けのためだよな」という企業の価値観である。
もちろん、利益がでないと事業の継続が困難になるから、お金も大事であるの
は正しいのだが、それを「目的」になってしまった企業の多いこと・・・。
さしずめ、MONEY-DRIVEN BUSINESS といったところだろうか。
(もし、この大不況にあって、コスト削減と予算達成のことしか社員にアピー
ルしていない経営者がいたら、要注意)

本書は、そうしたこれまでの価値観を抜け出し、世の中をよくしていこうとい
う「価値に基づく企業」の在り方について、先進事例を紹介しながら解説して
くれる。例えば・・・

 ☆ビジネスで地域社会を支えるオフィス用品販売の会社(サクラメント)
  http://www.givesomethingback.com/
    この会社は、給与や経費など必要なコストを除いた利益をぜんぶ地域
    に還元してしまう。一部ではなく全部である。
    「わが社で買えば、地元コミュニティのためになります!」
    というわけである。

企業の存在が、従業員に、地域社会に、地球によいことを還元することを、誰
もがはっきりと意識できる企業が事例としてたくさん登場する。

理想と現実の間は、けっこう厳しい課題があったりするが、それに翻弄されず
に社会企業を持続させていくための覚悟がいる。そして、具体的な対策もいる。
本書には、そんなヒントがたくさんある。従業員との関係、顧客との関係、サ
プライチェーンとの関係・・・いろんな場面で、社会企業として存在するため
に必要な考え方が示唆されている。

これから社会に出ようとする若い人に読んでほしい一冊。
またこれから事業を興したい起業家の方にもぜひ!


僕の思いつき

ソーシャルアントレプレナー、社会起業家といった言葉が、最近では一般用語
として定着してきた。お金だけに価値の軸を置いていない企業である。

本書には、アメリカの企業しか登場したないが、日本にもそうした素晴らしい
思想をもった企業がいくつかある。

今度ジェイカレッジで講演いただく鶴岡さんの「伝説のホテル」もまさに、そ
うしたホテルの一つであろう。泊まることで地球のためになる・・・そんな思
いで運営されるこのホテルは、いつか、今日の本のような社会企業の手本とし
て登場するに違いない。

今回、この本を翻訳されたおひとり、斎藤槇さんは、こうしたソーシャル企業
とつながる素敵な方である。自称、「ビジネス界のチアリーダー」は、その著
書「社会起業家」(岩波新書)において、いくつかの日本企業についても紹介
されている。この本もおすすめである。
http://tinyurl.com/shakaikigyouka2

先日お会いした斎藤槇さんは、アメリカで出会った最も素晴らしい方(=田坂
広志さんに紹介したい方)のおひとり。

もう一冊、おすすめを紹介しておこう。
「社会起業家という仕事 チェンジメーカーII」である。 渡邊奈々さんの作品。
  http://www.webook.tv/archives/2008/10/post_34.html
http://tinyurl.com/changemaker2

社会起業家や社会企業を目指す人が増えるといいなー。


オススメ度

★★★★★+トリプル・ボトムライン

読んで欲しい方

・ビジネスを見直したい方
・CSRを担当する方
・社会起業家になりたい方

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2009年08月24日

コーヒーハンター ~ 川島良彰 + 919伝説の1ページ

ここにもMoso族がいた!

書籍情報

コーヒーハンター―幻のブルボン・ポワントゥ復活
川島 良彰
平凡社
売り上げランキング: 87057

本のひらめき

静岡、エルサルバドル、ハワイ、レユニオン島(旧ブルボン島)と、著者は、
幻のブルボン・ポワントゥを訪ねて数奇の旅を続けてきた。

ブルボン・ポワントゥというのは、かつてマダガスカル島の東にある小さな島
レユニオン島で開発された品種だったが、いつの間にか忘れ去られてしまった
コービーの品種である。

なぜ、著者はそんなものを追い求めるようになったのか・・・。

著者は、留学先のエルサルバドルの研究所(ISIC)でコーヒーに関するあ
らゆる勉強をしていた。その折、「ブルボン」というコーヒーの代名詞の一つ
でもある品種から、実は突然変異種でもう一つの品種があったことを知る。

 ブルボン・ポワントゥ(pointu - 尖った) 

非常に香高く素晴らしい品種だが、あまりに生産性が低かったがために絶滅し
てしまった・・・というものだった。

数奇な出会いや、自分を信じて追い求めたポワントゥ種の発見、上司や地元の
人の応援、さらにはフランス政府からの援助・・・物語に必要な要素がいっぱ
いの中、スリリングな展開は、まるで小説のようだ。

ポワントゥ物語の後半、島の人たちとの独占販売権を契約していなかった著者
は、別のブローカーにこの幻のコーヒーをさらわれてしまう危機に直面する。
気が気でない著者だったが、ちゃんとレユニオン島の人たちは、信義を守って
くれたのだった。

 「ホセ、お前のお蔭で、この島でブルボン・ポワントゥの復活プロジェクト
  が始まったんだ。お前以外に売るわけがないだろう」

ブルボン島でのコーヒー産業の復活は、まさに川島さんのMoso(もうそう)
によって生まれたものだ。。

そして今、類稀なる品種からうまれる素晴らしいコーヒーは、独自の販路で手
に入る。 http://www.grand-cru-cafe.com/aboutus/

本書のコーヒーハンター物語は、僕たちに夢の後押しをするエネルギーを与え
てくれるだろう。


僕の思いつき

この幻のホーヒーを一度飲んでみたい。誰しも本書を読めばそんな気になる。

今度帰国したときは、ぜひミ・カフェート(http://www.mi-cafeto.com/)に
いかなくっちゃ・・・。

そんなことを考えていたら知り合いからこんな情報がとどいた。
なんとJALの国内線ファーストクラスで、このコーヒーが味わえるという。
9月1日から30日間だけの限定である。

  http://www.mi-cafeto.com/archives/2009/08/jal.html

この時期に一時帰国しなさいということらしい。笑

経営難にあえぐJALだが、こういうホンモノとの連携は、やはりJALらし
い。どんな時もあきらめず、自分を信じて進んできた川島さんにならって、苦
境のJALも元気になってほしい。

Mosoのような思いも、純粋にそれを追い求める人の前には、様々な問題が
立ちはだかるが、それ以上に応援する人も現れるという不思議な循環がある。

世の中をよきものにしたいという思いがあれば、それは仮にMosoのような
もので大切にしたいものだ。この本のこと知ったのは、ロスで開いた100冊
倶楽部でのこと。MQ指数の高いNさんという方が熱く語ってくれた。
Nさん、ありがとう。
(MQ=Moso Quotient)


オススメ度

★★★★★+ブルボンポワントゥ

読んで欲しい方

・苦しいときを乗りこえたい方
・世界をまたにかけ活躍したい方
・わくわくする仕事をしたい方

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2008年10月20日

だれかに話したくなる小さな会社 ~ 浜口隆則&村尾隆介 + まいど!

 やっぱり、話したくなる・・・

書籍情報

だれかに話したくなる小さな会社
浜口 隆則 村尾 隆介
かんき出版
売り上げランキング: 1544

本のひらめき

ブランドのある企業・・・と聞くと、コカコーラ、GE、IBM、トヨタなど
名だたる企業を思い浮かべるかもしれない。コカコーラのバランスシートには、
その価値が7兆円と計上されているらしい。
http://www.interbrand.com/best_global_brands.aspx?year=2008&langid=1000

ブランドという目に見えない価値は、本書では「価値ある会社の空気」のよう
なものと表現されている。それは企業が大きければいいというものではない。
名も知られてはいないけれど、お客様がファンであり、多くの人に応援される
ような素敵な会社が、実はたくさん存在する。
本書は、誰かに話したくなるような小さくても、空気のいい会社の事例がいく
つも登場する。

例えば、コーヒー豆の卸業「珈琲工房HORIGUCHI」、九州の企業だけを応援する
プロモーション映像の「カウテレビジョン」、アウトドア用品の「パタゴニア」
離婚を扱う法律事務所「離婚ファーム」などなど・・・
http://www.small-but-brand.com/ のリンクあり)

そして、そんな会社を目指すことの意味と価値、そしてその具体的な方法を教
えてくれるのが本書だ。

いくつかのメッセージを拾っておこう。

 たとえ利用者が100人しかいなくても、そのお客様たちが「大満足!」と
 いう会社は、その後も飛躍をします。100人を100%喜ばすというのは
 簡単なようで、ものすごくたいへんなことです。それができれば1万人
 だって喜ばすことができます。

 ブランド構築の近道は、「新しいカテゴリー」を作ることです。
 「ちょっとした不便」を解消してあげる商品やサービスを開発すれば、
 それは立派な新しいカテゴリーになります。

 ポジショニングマップを作るのは、慣れです。お昼にカレーを食べるなら
 カレーが出てくるまでの5分間にナプキンの裏に書いてみるとか・・・
 マップ上の「空きポジション」は「新カテゴリー」とほぼ同義語です。

 ブランド会社は、自分で価格を決めます。
 価格設定には、「どんなお客様と付き合いたいか?」という売り手側の
 メッセージも含まれています。

 成功条件のひとつに「応援してくれる人が、たくさんいること」が大切。
 人が応援したくなるのは、愚直なまでに自分の仕事を愛し、使命感を
 持っている「一生懸命な会社」です。

 会社を「チアフルな職場」にするためにお勧めしているのが「気配り屋」
 の採用です。そのために面接はオフィスではなく、セルフ系のカフェが
 最適です。

 どんな仕事だって、その紐をたどっていけば、誰かしらの幸せや、ラブ
 &ピースに何かしらの形でつながっています。
 そういう意味では、世の中の経営者は社会起業家です。

など、たくさんの心に響くメッセージがあった。

誰かに話したくなる本。今日の一冊はそんな本である。


僕の思いつき


本書は、「戦わない経営」の著者、浜口さんと、小さな会社のブランド戦略を
手がけるスターブランド社の村尾さんの共著である。
どうやら、作品を生み出す過程もJOYとWOWに満ちていたようだ。

映画にもメイキングフィルムという制作過程を紹介するものがある。本にだっ
てそれがあってもいい。本書の場合は、これ:
  http://www.small-but-brand.com/making.html  (なかなか楽しい)

ひとつの作品が生まれるとき、そこには反映できなかった内容や、面白いエピ
ソードなどいろんな物語がある。そういうものを、サブの作品として残すのも
また楽しいものだ。

日々の仕事も「作品」だと思えば、そのメイキング○○を残すのも楽しい。
デジカメ写真でもいい。ちょっとした気づきのメモでもいい。
消防士さん応援カレンダーも、ひそかにそんなものを準備しようと思っている。

失敗も成功も、ありふれた日々も、すべて「成長」という見えないプロセスの
ネタに満ち満ちている。

楽しいじゃぁ、ございやせんか!


オススメ度

★★★★★+無邪気

読んで欲しい方

・仕事の価値を考えたい方
・ブランドを作りたい方
・ファンに応援される会社にしたい方

Posted by webook at 10:26 | Comments (0) | TrackBack

だれかに話したくなる小さな会社 ~ 浜口隆則&村尾隆介 + まいど!

だれかに話したくなる小さな会社 ~ 浜口隆則&村尾隆介 + まいど!

   やっぱり、話したくなる・・・

書籍情報

だれかに話したくなる小さな会社
浜口 隆則 村尾 隆介
かんき出版
売り上げランキング: 464

本のひらめき

ブランドのある企業・・・と聞くと、コカコーラ、GE、IBM、トヨタなど
名だたる企業を思い浮かべるかもしれない。コカコーラのバランスシートには、
その価値が7兆円と計上されているらしい。
http://www.interbrand.com/best_global_brands.aspx?year=2008&langid=1000

ブランドという目に見えない価値は、本書では「価値ある会社の空気」のよう
なものと表現されている。それは企業が大きければいいというものではない。
名も知られてはいないけれど、お客様がファンであり、多くの人に応援される
ような素敵な会社が、実はたくさん存在する。
本書は、誰かに話したくなるような小さくても、空気のいい会社の事例がいく
つも登場する。

例えば、コーヒー豆の卸業「珈琲工房HORIGUCHI」、九州の企業だけを応援する
プロモーション映像の「カウテレビジョン」、アウトドア用品の「パタゴニア」
離婚を扱う法律事務所「離婚ファーム」などなど・・・
http://www.small-but-brand.com/ のリンクあり)

そして、そんな会社を目指すことの意味と価値、そしてその具体的な方法を教
えてくれるのが本書だ。

いくつかのメッセージを拾っておこう。

 たとえ利用者が100人しかいなくても、そのお客様たちが「大満足!」と
 いう会社は、その後も飛躍をします。100人を100%喜ばすというのは
 簡単なようで、ものすごくたいへんなことです。それができれば1万人
 だって喜ばすことができます。

 ブランド構築の近道は、「新しいカテゴリー」を作ることです。
 「ちょっとした不便」を解消してあげる商品やサービスを開発すれば、
 それは立派な新しいカテゴリーになります。

 ポジショニングマップを作るのは、慣れです。お昼にカレーを食べるなら
 カレーが出てくるまでの5分間にナプキンの裏に書いてみるとか・・・
 マップ上の「空きポジション」は「新カテゴリー」とほぼ同義語です。

 ブランド会社は、自分で価格を決めます。
 価格設定には、「どんなお客様と付き合いたいか?」という売り手側の
 メッセージも含まれています。

 成功条件のひとつに「応援してくれる人が、たくさんいること」が大切。
 人が応援したくなるのは、愚直なまでに自分の仕事を愛し、使命感を
 持っている「一生懸命な会社」です。

 会社を「チアフルな職場」にするためにお勧めしているのが「気配り屋」
 の採用です。そのために面接はオフィスではなく、セルフ系のカフェが
 最適です。

 どんな仕事だって、その紐をたどっていけば、誰かしらの幸せや、ラブ
 &ピースに何かしらの形でつながっています。
 そういう意味では、世の中の経営者は社会起業家です。

など、たくさんの心に響くメッセージがあった。

誰かに話したくなる本。今日の一冊はそんな本である。


僕の思いつき


本書は、「戦わない経営」の著者、浜口さんと、小さな会社のブランド戦略を
手がけるスターブランド社の村尾さんの共著である。
どうやら、作品を生み出す過程もJOYとWOWに満ちていたようだ。

映画にもメイキングフィルムという制作過程を紹介するものがある。本にだっ
てそれがあってもいい。本書の場合は、これ:
  http://www.small-but-brand.com/making.html  (なかなか楽しい)

ひとつの作品が生まれるとき、そこには反映できなかった内容や、面白いエピ
ソードなどいろんな物語がある。そういうものを、サブの作品として残すのも
また楽しいものだ。

日々の仕事も「作品」だと思えば、そのメイキング○○を残すのも楽しい。
デジカメ写真でもいい。ちょっとした気づきのメモでもいい。
消防士さん応援カレンダーも、ひそかにそんなものを準備しようと思っている。

失敗も成功も、ありふれた日々も、すべて「成長」という見えないプロセスの
ネタに満ち満ちている。

楽しいじゃぁ、ございやせんか!


オススメ度

★★★★★+無邪気

読んで欲しい方

・仕事の価値を考えたい方
・ブランドを作りたい方
・ファンに応援される会社にしたい方

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2008年05月25日

日本でいちばん大切にしたい会社 ~ 坂本光司 + 田舎バンザイMosoの種

 思わず涙。こんな会社で働きたい。

書籍情報

日本でいちばん大切にしたい会社
坂本 光司
あさ出版
売り上げランキング: 1832

本のひらめき

世の中には、不思議な会社がいくつもある。一部上場とか、フォーチュン誌にのるようなビッグネームではない。おそらく初めて名前を聞くような地方の小さな中小企業だったりする。だから、世の中面白い。

三島市にある従業員80人のある企業には入社希望の若者が年間1万人もやってくる。
(南富士産業) http://www.mfsg.co.jp/profile/rinen.htm

お客様が世界中から殺到する島根県の片田舎にある義肢、装具の会社がある。
(中村ブレイス) http://www.nakamura-brace.co.jp/index.html

社員50人、そのうち70%が障害をもった方達で、50年も毎年採用を続けているチョークメーカーの会社もある
(日本理化学工業)http://www.rikagaku.co.jp/

「企業は社員の幸せを通じて社会に貢献すること」という理念で地域を含め多くの人たちに愛されている寒天の会社は、けっこう有名。
(伊奈食品工業)http://www.kantenpp.co.jp/corpinfo/profile/gaiyo.html

地域に生き、人と人、心と心を結ぶ経営をつらぬいている北海道のお菓子屋さん。
(柳月)http://www.ryugetsu.co.jp/

素晴らしい会社がこんなにもいっぱいあったことに、改めて驚く。

著者は、これまで6000社を超える企業を調査してきた。その中で、人が感動の涙を流すような企業が本書では紹介されている。涙なしには読めない本だと思う。

特に、日本理化学工業のお話は、50年の歴史の重みに育まれた素敵な感動がなんともいえず素晴らしく・・・。

本書の生まれも、すばらしい。著者の講演会で、日本理化学工業の話をきき、感動したあさ出版の佐藤社長が、「この話を一人でも多くの人に伝えるのが出版社の使命・・」と、出版の要請を電話でされたという。

さまざまな感動と人の縁が織りなした素敵な本。人にすすめずにはおれない感動が、ここに、ある。


僕の思いつき

冒頭に、会社経営とは5人に対する使命と責任を果たすためにある・・・という話が登場する。5人とは・・・

 1.社員とその家族
 2.外注先、下請け企業の社員
 3.顧客
 4.地域社会
 5.株主

順番も大事である。多くの企業は、株主が第一の経営をしている。せざるをえない・・といってもいいかもしれない。堂々と、社員とその家族が一番ですといえる経営者はエライ。

本書に登場する会社は、いずれも上記の5人を大事にしている会社である。そしてその順番もほぼ、上記の順番。

日本でいちばん大切にしたい・・・という意味は、そこにある。

いろいろ考えさせられる本である。



オススメ度

★★★★★+いい会社に

読んで欲しい方

・何のための仕事か考えたい方
・会社の存在意義を見直したい方
・仕事の価値を感じたい方

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2008年04月28日

セムラーイズム ~ リカルド・セムラー + 気づいた人はうまくいく!

一体どうなってんだぁ?この会社!

書籍情報

セムラーイズム 全員参加の経営革命 (SB文庫)
リカルド・セムラー
ソフトバンククリエイティブ
売り上げランキング: 85923

本のひらめき

セムコ社。その名を初めて知ったのは、「奇跡の経営」という本だった。
 http://www.webook.tv/bn/2006/04/post_1073.html

神戸空港のラウンジで目に付いた本だった。なんだかすごい会社がある!、そんな興奮を覚えながら読んだのは2年前。

コムコ社は、ブラジル・サンパウロにあるコングロマリット企業で、リカルドセムラー氏が父親から経営を譲られた会社。当時は倒産の恐れもある小さな会社だったという。そこでかなり大胆(非常識?)な改革を行い、大成功。今では、世界の名だたる企業幹部が視察にくるという。IBM,GE,京セラ、ベンツ・・・などなど。

なにしろこの会社は、とても不思議な会社で、組織図がない、人事部もない、サラリーも社員が自主的に決める・・・といった非常識な会社なのだ。

本書は、セムコ社が、世界が注目するセムコ社になっていく過程を、著者の一人称の語りですすめていく。父から会社を引き継いだときの様子、主要な幹部の首を言い渡す様子、ストライキがなくなる過程、ピラミッド組織から同心円組織への変更、、サラリーを社員が自主的に決定する制度の導入・・・などなど、私たちが今、当然(常識)だと思っていることが、覆されていく様子がリアルに語られている。

そして、読者はだんだんこんな思いに沈んでいく。

 確かに、ものすごい会社だ、しかし、うちではちょっと無理だ・・・・

ごもっとも! 著者も最後にこう述べている。

 セムコ社は、モデル企業でもなんでもなく、また、
 すぐに効果のあるプログラムを提供できるものでもない・・・
 ただ、読者の会社が、自社の経営や職場生活の在り方を考え直す
 契機になれば幸いだ。

大いに刺激をうけられる本である。

ただ、詳細な記述は読むのが大変。サクっと知りたい方は、「奇跡の経営」のほうをまずはお勧めしたい。

  http://www.webook.tv/bn/2006/04/post_1073.html
  http://webook.seesaa.net/article/18602508.html (PodCast webook)

そのあと、本書でじっくりがいいかも。


僕の思いつき

最近、日本でもJSOXとやらで、やたら業務規程をしっかりまとめましょうとか、業務フローやリスク管理をテーブルにしておこう・・・なんて、やっている。エンロン事件などのあおりで、会計がらみの社内のしくみを不正がないようにがっちり規定をきめて運用しましょう・・という流れだ。

時の流れとしては、現在は、セムコ社の経営とは逆方向に世の中が進んでいる。

 自由、自主、自律 <---> 規定、規則、権限

という相関があるとすれば、思いっきり右に振れている状況だ。
(僕は、これがどうにも肌に合わない)

著者は、ルールや規則は(一部の例外を除けば)次の目的に役立つだけだと喝破している。

  1.会社の本来の目的の注意が留守になる
  2.幹部社員に空虚な安心感を提供する。
  3.非生産的で不要な業務をうみ出す。
  4.もう役にも立たない古いやり方に固執する。

セムコ社が由っているのは、「常識」というややあいまいなものだ。
そういうものをきっちり管理するよりも、ビジネスをがっちりやるほうに重心を置こう・・というのが彼らのやり方。

何かと何かのバランスをうまくとる・・そういうことが求められる時代かもね。

ルールを決め、それを100%実施することで安心してしまう風土が会社の中に、もしあるのなら、それは進化をあきらめた状態だと思ったほうがいいかもしれない。

現実世界は、割り切れないグレーな世界でいとまなれており、100%うまく規定できるものはないけれど、大切なことはだいたいにおいていい感じにいっている、という煮え切れない世界(笑)を寛容できる「大人社会」こそが、私たちに求められているのかなぁ・・・

などと、煮え切らないことを思いつつ、今日はこれでおしまい。笑



オススメ度

★★★★☆+管理を放棄した会社

読んで欲しい方

・面白い会社にしたい方
・経営を担っている方
・仕事って何?を感じたい方

Posted by webook at 13:17 | Comments (0) | TrackBack

2008年04月21日

謎の会社、世界を変える。 ~ 須田将啓/田中禎人 + ジェイカレッジLAの話

この本、きっと、伝説の起業物語になる。

書籍情報

謎の会社、世界を変える。―エニグモの挑戦
須田 将啓 田中 禎人
ミシマ社
売り上げランキング: 137


本のひらめき


 
本書は、エニグモという注目のベンチャー企業共同経営者の須田さん田中さんが書いた起業物語である。すっごくわくわくして読める。
  エニグモ : http://www.enigmo.co.jp/

広告代理店、博報堂に働いていた二人が、「すごいことを、思いついた」と語りはじめた瞬間から、この物語は始まる。

構想をあたため、企画に練り上げ、応援してくれる人や外部企業も巻き込みながら進む、エニグモ創世記は、はらはらどきどきのリアルタイム物語。とても高揚する気分になれる。ひさびさに血圧が上がるベンチャー物語だ。

彼らが作り上げた世界初のサービスには、こんなのがある。

○「BuyMa(バイマ)」 http://www.enigmo.co.jp/business/buyma.html
  誰もがバイヤーになれ、ほしい物を世界中のバイヤーに頼める、
  グローバル・ショッピング・コミュニティ
○「filmo(フィルモ)」 http://www.enigmo.co.jp/business/filmo.html
  企業や商品のCMを一般の人がつくる消費者参加型CM制作ネットワーク
○「プレスブログ」 http://www.enigmo.co.jp/business/pressblog.html
  企業のプレスリリースを個人のブログで宣伝するバイラルプロモーション
○「シェアモ(ShareMo)」 http://www.enigmo.co.jp/business/sharemo.html
  誰かと共有してもいいものは共有したり使いまわしたりしようという
  ソーシャル・シェアリング・サービス

いずれも、社会起業家的な発想が素敵だ。本書は、これらの発想や開発プロセスなどが、二人の著者やエニグモにかかわった人の言葉で綴られている。

途中で、ホリエモンが登場したり、システム開発に重大なトラブルが発生したり、会員が伸びずに悩んだり・・・物語の要素がいっぱいある。きっと、エニグモは伝説のベンチャーになるはず。

ほんとに世界が変わるかも・・・なんて思える。
わくわくの起業物語で、エネルギーを励起してみよう。


僕の思いつき

この本の帯には、「ソニー、ホンダを超えてほしい」という出井伸之さんの推薦文がある。越えてほしいというのは、超えるかもしれない・・という期待感でもある。

僕もこの本を読み進めながら、そんな気がした。

かつて・・

渋谷でビットバレー(覚えてる?;笑)がもてはやされたころ、何人かの知り合いとわくわくするネットビジネスについて話したことがあった。アマゾンやグーグルでWEB2.0の時代と言われ、すごい世の中になったと感心したことがあった。

いろんなサービスがあり、いろんなアイデアが実現化され、もう今からは凄いサービスなんて出てこないだろうな、なんて思っていた僕は、恥ずかしながらこのエニグモの存在を知らなかった・・・汗;

最近、自社のCMを手作りしながら、これって衆智を集めてビジネスになるよな・・・と思っていたところだから、エニグモの世界初の一つ「フィルモ」は先を越された!である。悔しさ100倍。うーん、すでに周回遅れもいいところか・・・と思った。

(しかし、それでもまだきっとその先がある・・・)

そう思わせてくれたのは、あとがきの一文。

著者のひとり須田さんがこう書いている。

 エニグモの世界発第5弾の最新サービスも、町に捨てられている新品の ビニール傘を見て「間違ってる」と思ったことがきっかけで生み出された。

世の中には、まだまだいっぱいビジネスのネタにあふれているのだ。 

あなたも、Moso(もうそう)してみようよ。世界初を目指して。



オススメ度

★★★★★+はちゃめちゃ♪

読んで欲しい方

・世の中を変えたいと思ってる方
・起業をめざす方
・わくわくを感じたい方

Posted by webook at 13:18 | Comments (0) | TrackBack

2007年10月08日

ちょいデキ! ~ 青野慶久 + ウィーンジェイカレッジ、参加者募集中

肩ひじはらず、自然体でいく・・・太極拳モードもいいね!

書籍情報

ちょいデキ! (文春新書 591)
青野 慶久
文藝春秋 (2007/09)
売り上げランキング: 2698


本のひらめき

サイボウズ、って知ってる? 企業内のスケジュール管理やドキュメント共有などイントラネットの定番。おそらく日本で一番使われてるんじゃないかなと思うソフトウエアを作ってる会社。元松下電工の社員が独立して作ったベンチャー企業だ。僕は、この会社の創生期のころからのファン。

本書は、そのサイボウズの社長、青野さんが自身の仕事術や処世術を語った本だ。肩肘を張らないしなやかな語りは、ふだんの青野さんそのもの。とっても読みやすく、そして目からウロコの「ちょいデキ」ヒントがいっぱいある。

その方法を、青野さんは「北斗神剣」のような達人技ではなく、「太極拳」のようなしなやかでゆるやかな仕事術と表現している。
青野さんを知る僕としては、まったくうまい表現だなぁーと思う。

前半、青野さんの経歴が面白く語られている。中学からプログラムに熱中し、大学を卒業後入った松下電工での「ひとりプロジェクト」の逸話、そして起業と・・・青野さんの人となりが伝わってくる。

後半は、仕事、生活などでつかえる「ちょいデキ」る社員のヒントがいっぱい。

たとえば・・・

 大きな目標を立てていませんか? では

  大きな目標でがんばるのもひとつの手ですが、あんまり壮大なイメージは
  遠すぎてよくわからない。だから、むちゃくちゃ短期の目標を設定します。
  たとえば、「五分後の自分をイメージする」とか「明日の朝の自分をイメ
  ージする」とか。大きな目標より、小さな目標。ちょいデキのためのちょ
  い目標です。

とか

 部下を自由に働かせていませんか? では

  上司の「自由に」という指示は、部下にやりにくさを生みます。例えば
  資料作りでも「300人の前でプレゼンする資料なんだ。聞いた人をこ
  ういう気持ちにさせたいんだ。そのために君の工夫を混ぜてほしいんだ」
  と強く要望を伝えたほうが、指示をうけた側も、具体的なゴールイメー
  ジを描けるので、意欲がわきます。

など、ちょっとしたヒントが、なるほど・・・と、読者の気持ちに響く。

読書、株、テレビ、日記、集中、体力・・・さまざまなヒントは、ビジネスパーソンに役にたつ。

ゆるりと読んで、ちょっと試す。ちょいデキ社員になってみよう。


僕の思いつき

ワタミの渡邉美樹社長は、夢を実現する手帳で有名。かなり猛烈だ。
トリンプの元社長、吉越浩一郎さんも同じような猛烈社長さんだった。

しかし、世の中いろんなスタイルがあって、青野さんのような太極拳派も実は多い。

小田真嘉さんの言葉でいえば、前者がゴール型、後者はテーマ型。ゆるやかでしなやかでもいいんだねぇ。

ありがたいことに、本の読み方についてのヒントのところで、Webookのことを取り上げていただいている。何も知らせないで、こっそりこういうサプライズをするのも青野さんらしい。ありがたいことです。

アメリカにきても、サイボウズを使っている。多国籍版は Share 360(シェア・スリーシックスティー)という。なかなか便利。
 http://cybozu.com/lc/jp/

太極拳でいってみましょ。


オススメ度

★★★★★+太極拳モード

読んで欲しい方

・しなやかに仕事をしたい方
・上司の方
・仕事を楽しくやりたい方

Posted by webook at 02:56 | Comments (0) | TrackBack

2007年09月23日

そうだ、葉っぱを売ろう! ~ 横石知二 + プレイバックシアターの衝撃

キツネやタヌキであるまいし・・・葉っぱはオカネに化けん!

書籍情報

そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生
横石 知二
ソフトバンククリエイティブ (2007/08/23)
売り上げランキング: 599

本のひらめき

徳島県の小さな町、上勝町(かみかつちょう)。この名前を聞いて、おっと思われた方は、なかなかツーの方。この町は、彩【いろどり】という葉っぱをビジネスに変えた、すばらしい町おこしの舞台である。
   http://www.irodori.co.jp/

本書は、その立役者である横石さんの物語。過疎の街の再生ストーリーだ。

上勝町の「彩」の取り組みは企業フィランソロピー大賞やにはソフト化大賞など数々の受賞をえている。ニューズウィーク日本版「世界を変える社会企業家100人」にも選ばれている。「彩」はその後もTVなどメディアに注目されるようになった。この本では、その舞台裏を、著者自らが、厳しい町の現実や自身の経歴をおりまぜながら語る感動の再生ストーリーだ。

冷害で地域のメイン事業である農業が大打撃をうけ、どん底に陥った田舎町がどうして再生したのか・・・、UターンやIターンがおき、高齢者が多いのに寝たきりの人はわずか数人という奇跡の町に変貌したのか・・・その秘密が語りつくされている。

今では、70代80代のおばあちゃんたちが、売上2億8000万円のビジネスを支え、人口の二倍もの視察者が訪れる町になっている。

過疎の村再生には20数年かかっている。昔は、男衆は、朝っぱらから大酒をあおり、女は影で他人をそしり・・そんな町だったという。それが大きく変貌したのは、たくさんの失敗も含め試行錯誤の連続と、あきらめない情熱だった。

おばあちゃんが奇しくも言ったという次の言葉が僕たちに何かを感じさせてくれる。

   やってみるって、大事やな

   自分が踏み出る勇気やな

田舎はとかく保守的、変わるには大きな勇気ときっかけがいる。表紙にのってるおばあちゃんの満面の笑顔の裏に、様々な人生模様がにじみでている。

いろどりの成功は、単に過疎の町の再生ということにとどまらず、福祉の問題高齢社会の問題、ビジネスの要諦など、さまざまなヒントをもらえる。

本書をよんで、元気なおばあちゃんに負けない明るさを取り戻そう!


僕の思いつき

横石さん(地元のおばあちゃんには、敬意をこめてヨコさまと呼ばれたりしている)は、上勝町の農協に就職するとき勉強のつもりだった。父親の勧めて県庁職員に転進する想定があったからだ。しかし、就職2年目、上勝町を異常寒波が遅い町の事業のミカンが全滅。なんとかせにゃ・・・ということになった。横石さんは、これを「天の啓示」だったかもしれない・・と述懐している。

人には、それぞれこの星に生まれて、何かの使命をもっていると思う。それをなんとなく感じている方は、この本を読むととても共感するものがあるはず。(そういえば、僕も立石さんと同じ年に社会人になってたなぁ)

彩の成功の秘密がいくつかまとめられている。その中からいくつか・・・

 ■気を育てる
   現場ではっぱをかけたり。ラブレターガックスを送ったりしている。
   手書きメッセージのサンプルが載っているが、絵入りで思わず
   読みたくなる。

  あるおばあちゃんの言葉:
    病は気からと昔から言うだろう。ほらみんなからだのどこかは痛い
    ところがある、ほんでも朝起きて、今日はこれやりたいと思うこと
    があったら、からだの痛さはいけて、苦にならんでよ。なにもせん
    でええって言われんが一番つらい。
  
  まさに気のタネを植えていたのが横石さんである。


 ■的を射る、場面をつくる、渦をまく。

   問題の的をいることや、成功体験の場面をつくることはわかる。
   渦を巻くとは・・・?
   波紋を投げかける(そしていつの間にか消える)のとは違い、
   鳴門の渦のようにエネルギーを増すこと。最初はものすごい抵抗がある
   けれど、渦になると勢いがつく。

何かが変わっている。何かがそこにある。

大きな変化のタネをまき、育て、動かし続けている横石さんを注目していきたいね。

ジェイカレッジにもきてくれるかな・・・。(うしうし)



オススメ度

★★★★★+葉っぱの奇跡

読んで欲しい方

・みんなが元気になることを考えている方
・苦境を乗り越えなければならない立場の方
・そこに気を感じたい方

Posted by webook at 02:52 | Comments (0) | TrackBack

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