2009年06月29日

真のリーダーに導く7通の手紙 ~ 松山 淳 + 生イチロー

弱みをみせてもいい、矛盾しててもいい。

書籍情報

真のリーダーに導く7通の手紙
松山 淳
青春出版社
売り上げランキング: 32887


本のひらめき

読後に爽やかな感動を残す物語が、まず展開される。

創業者の父を持つ私。亡くなった父に向けて綴られる手紙で、苦しい逆境の時
を乗り越えていく状況が描かれている。クライマックスは、思わずほろりと涙
がこぼれる。

主人公は、亡き父の会社に入り頑張る40代の男。しかし、あるとき突然の降
格を受ける。言うことを聞かない部下、リストラという苦しい選択など、さま
ざまな苦境の中で、主人公が成長していく物語である。

亡くなった父に、手紙を書くことで、自分を見つめる機会を得、生きる道に気
づいていく様子は、さわやかな感動と静かな気づきを読者の心に届けてくれる。

物語が展開される7つの手紙のあとに、著者の、メッセージがある。

 不運を嘆くものは多い
 しかし、逆境を脱するため
 小さくとも何かの行動を起こすものは少ない
 「小さなゆらぎが大きな変化をよぶ」
 それが世の真理なのに・・・

 不運の中、自分を正確に捕らえようとするものは少ない
 声をかけてくれる人たちの言葉を
 素直に聞き入れるものは、もっと少ない
 逆境を抜け出す答えがそこに用意されているのに・・・

 時を巻き戻すことはできない
 時間は残酷なのではなく生真面目なのだ
 過ぎた時間を悔やむのではなく
 去るべき自分と対峙せよ
 縛られた自分を見極めよ
 時は戻らずとも
 過ぎた自分を取り戻すことなど
 いつでもできるのだから

詩的なフレーズに、深い洞察と慈愛に満ちたメッセージ性が感じられる。

本書で印用されている至言もとてもいい。よきメッセージとの出会いを演出し
てくれるのも、また本のありがたいところだ。

  あなたがなれたかもしれない人になるために
  遅すぎることはない。 (ジョージ・エリオット)

  誰であれ、他人を誠実に助けようとすれば
  必ず自分自身も助けることになるというのは、
  人生の最も美しい報酬のひとつである (ラルフ・W・エマーソン)
      
もし、今、逆境にあるなら、またかつてあったなら、ぜひ読んでほしい一冊。


<僕の思いつき>

後半は、物語の解説編。その中にエモーションダイアリーのことが紹介されて
いる。僕のこころにフックしたので書いておこう。

 「エモーションダイアリーを書く5つのポイント」
   1)いい人をやめて、正直な気持ちを書く
   2)少しくらい汚い言葉をつかってもいい。
   3)出来事よりも、それをどう感じたかを中心に書く
   4)書いたことを数日したら必ず読み返し、自分が書いたことをどう
     感じるかを、できるだけ前向きな気持ちで余白に記す
   5)毎日書く必要はない。日記は自己成長の一手段に過ぎないことを
     しっかり理解する。依存しすぎてはいけない。

自分の中に悪い感情がわいてしまうことはよくある。そして、そういう自分を
また認めてあげることも必要だ。感情は、理性より一瞬早く反応するらしい。
だから、どんな感情も認めてあげないといけない。そのうえで、どう判断(理
性)するかは、わが手の中にある。このタイミングをしくみ的に作り出すのが
エモーションダイアリーかもしれないね。

もうひとつ、ぜひ記しておきたい話。物語の中で、主人公が世話になった鈴木
部長のセリフ。

   お前「孫悟空」の話は知ってるよな。三蔵法師は、玄奘三蔵という実在
   の人物で、たったひとりでインドへ向かったことも。それが、孫悟空、
   猪八戒、沙悟浄をひきつれていった話になった。三蔵法師はひとりだっ
   たのにだ。
   やんちゃで生意気な孫悟空、欲の塊みたいな猪八戒、ちょっと気弱だが
   慎重で冷静な沙悟浄。この3人が一緒だった。こいつらは妖快だ。妖快
   ってのは人間の敵だろ。そいつらが三蔵法師を守り、無事、天竺(イン
   ド)にたどり着く。それでな、最後にしつこいけどもう一度言うぞ。
   三蔵法師はひとりだったんだ。

この話、心の中で何かを弾かせる話だよねー。

(ついでにネットで調べたら、三蔵法師は女性のように思っていたが=映画の
影響、実は男性。夏目雅子、宮沢りえ・・・の三蔵法師でまどわされた人は多
いらしいので、おまけ情報として)



オススメ度

★★★★★+自分との対峙

読んで欲しい方

・マネジャーの立場で悩んでる方
・逆境にある方
・心に栄養をあげたい方

Posted by webook at 15:36 | Comments (0) | TrackBack

2009年06月15日

世界をよくする簡単な100の方法 ~ 斎藤 槙 + ハイブリッド経済

誰でもがこの星や世界のために貢献できる・・・

書籍情報

世界をよくする簡単な100の方法 社会貢献ガイドブック
斎藤 槙
講談社
売り上げランキング: 200894


本のひらめき

ほんの数年前、もし僕が世界を変えたい・・・なんていったら、あいつ頭おか
しいんじゃない・・・って言われてたような気がする。
それが今では、市井の人々がそういう意識で、さまざまなことに取り組んでい
る。公言している人もいれば、静かに行動している人もいる。

ビルゲイツ、ウォーレンバフェットなど成功して大金持ちにならなければ、世
の中に貢献できる大きなことはできない。だっておかねがないもん・・・。と
多くの人の意識的、無意識的に思っていた常識は、ここにきてちょとシフトし
てきた。

それは、市井の小さな力が合流すると世界を変える「ゆらぎ」を生み出せると
多くの人が気づいてきたからだ。斉藤さんの言葉を借りれば、個人の小さな声
をテクノロジーという巨大な拡声器を使って世界に届けられる社会になってき
たからだ。そこには、誰もが主役になれる面白い環境がある。

さて、本書は、僕たちが地球人であることを感じることができる素敵な取組が
たくさん紹介されている。大物セレブもいれば市井の人もいる。
ただし、そこに共通するのは「世界をよくしたい」という意識。

「僕は大きくなったら世の中に役立つ仕事をして、世界をよくしたいと思いま
す。」・・・小学生のころの作文ならためらいもなく書いていたかもしれない
内容を、今は、大の大人も言える素敵な時代なのだ。

本書では、個人が日常の生活レベルでできる「半径5メートル」の内容から、
競争モデルから協奏モデルへ進化するビジネス世界まで、さまざまな取組みが
紹介されている。その数99個。あれれ?タイトルには100個の・・・とあ
る。そう、最後の一つは、読者の私達が考えるのである。

私達にささやかな一歩を促す素敵な本である。


<僕の思いつき>

本書に紹介されている様々な活動で、注目したいリンクをメモしておこう。

◆環境最先端都市、サンタモニカ
 http://www.smgov.net/epd/

 著者の斎藤さんが住む同市では、2003年から毎年「オルタナティブ・
 ビルディング・マテリアル&デザイン・エキスポ」を開催。
 世界初の太陽光発電の大観覧車もある。

◆飛騨高山のNPO「ドングリの会」
http://www.dongurinokai.or.jp/

◆エコツアードットジェーピー
 http://www.eco-tour.jp/

たくさんの紹介事例の中から心にフックしたものを調べ、次の行動につなげて
いけたらいいねー。

ジェイカレッジLAに、槇さんを呼ぼう! うしうし。


オススメ度

★★★★★+協奏社会

読んで欲しい方

・地球にいいことを考えたい方
・エコな行動を始めたい方
・私にもできるんだ、を感じたい方

Posted by webook at 15:26 | Comments (0) | TrackBack

2009年06月08日

スローシンキング ~ 安藤雅彦 + セミナー道(その2)

回り道も決して無駄ではない・・・・

書籍情報

margin-left:30px


本のひらめき

ニュートンが万有引力を発見したのは、「リンゴが落ちるのを見て」ひらめい
と、どこかで習った(読んだ)。リンゴのエピソードは、学校で習った引力の
知識とともに、万有引力の法則を分かった気にさせるのに十分な効用があった。

しかし、ニュートンが万有引力の法則を発見したとき、彼が目にしていたもの
はリンゴだけではなかったという。おぉー。
では、彼の目に映っていたもうひとつの“あるもの”とは何か・・・・。
(これは、言っちゃうと読む楽しみが減るので内緒にしておこう:笑)
そこには、ニュートンが必死に考えたヒントがある。

私達は、GooogleやWikipediaなど、ネットで調べれば何でも
分かってしまう(気になれる)便利な時代に生きている。学校や塾では、質問
に対する答えを知識として覚え、答えることが求められる速効性の時代でもあ
る。著者は、そこに潜む落とし穴に注目し、私達が失いかけたものにフォーカ
スする。

クリックひとつで様々な知識や情報が手に入る時代は、同時に「思考の近眼化
」や「自ら考える力の喪失」をもたらしているのではないか・・・・著者の眼
に映る現代社会の問題点である。

私達が陥っている「ある知識を簡単に得ると考えなくなってしまう」危険性に
警鐘をならす本書は、興味深い地学的なエピソードを披露しながら、自ら考え
る大切さについて再認識させてくれる。

自ら考える力を育むためには、
  ・好奇心をもって「種々雑多な物事」に触れる
  ・新しく得た知識と自分の知識との間に「違和感」をみつける
  ・生まれてくる疑問をどんどん「疑問の箱」に放り込んでいく
  ・疑問の中から基準を見つけられたものを「関連づけ」ていく
  ・関連づけられた情報を「情報の棚」に整理する
ことが大切だという。

地球温暖化に対する別の視点、地球の大きさを測ったエラトステネス、テレビ
に映る137億年前の光・・・・など、興味深い地学のエピソードをまじえて
展開される内容はとても楽しく読める。

テレビのクイズ番組のように「広く」「早く」「浅く」知ることにメリットを
感じる今日、「深く」考えることの大切さを感じさせてくれるとてもお勧めの
本である。


<僕の思いつき>

僕たちは子供の頃、質問の天才だった。
 どうしてお月は痩せたり太ったりするの?
 どうして空は青いの?
 どうして海は青いの?
 どうしてテレビは映るの?
大人になるにつれ、そうした疑問や質問は、「そういうもんだ、学校で習った
だろ」という免疫が増えるとともに、本質を掘り下げる努力をしなくなる。
考えることより、覚えることに重点を置いたいまの教育のしくみは、それを加
速している。

高校時代、「地学」というのがあった。なんだか興味をそそる授業をしてくれ
た先生は、一風かわった雰囲気の方だった。どことなく不思議な魅力をその講
義に感じていた。それは先生のもつ魅力でもあり、同時に悠久の時間と壮大な
宇宙を感じさせてくれたからだった。その先生は、子供のようなきれいな目で
受験を勝ち抜いてきた生徒たちに、簡単だけど深い質問を投げかけてきた。
それは、かなり新鮮な問いかけであった。

今日読んだ本は、そんななつかしい昔を思い出させてくれる素敵な本である。

著者は、河合塾(名古屋が基盤)の地学の講師。ちょっとかわった教え方は塾
生たちに人気らしい。

著者の安藤さんも、じつは安近短の受験対策の仕組みの中で、安勅に答えを覚
える効率性と、もっと深く考える力を養おうという、矛盾の中で塾講師という
役がらを演じている。どちらかに割り切るのではなく、その矛盾に対峙しなが
らなんとかそれを解決する方策を模索している・・・そんな姿勢が好感だ。

仙台と名古屋の往復の途中、東京で途中下車していただき、ジェイカレッジで
ぜひ、講演していただきたい。


オススメ度

★★★★★+思考の近眼化

読んで欲しい方

・ものごとを深く考えたい方
・教える立場の方
・考える楽しさを感じたい方

Posted by webook at 15:22 | Comments (0) | TrackBack

2009年06月01日

天使は歩いてやってくる ~ 犬飼ターボ + インクレディブル

ニセモノがホンモノに変わる?・・・

書籍情報

天使は歩いてやってくる
犬飼 ターボ
飛鳥新社
売り上げランキング: 43041


本のひらめき

成功の秘訣を、ちょっとコミカルなタッチで紹介する物語。
主人公は「オレ」と、パン屋さんをやりたいという無垢な少女「亜矢」ちゃん。

オレは、もと商社マンだったが、人間関係に耐えられず、人間嫌いになり、ひ
きにこもり状態に至る。退社し社会の脱落者になったオレは、校校の同級生に
紹介された別荘の管理人をやることに。そこは、ある成功企業のオーナーの別
荘だ。ベンツにマセラティ、さらにシトロエンまである豪華な別荘。リビング
の本棚にはビジネス書がびっしりあり、成功本だの、お金持ちになる本だの、
リーダーシップの本だのが鎮座している。
雑草の処理もなじんできたあるとき、そこに突然、素敵な少女が現れる。
オーナーが著した成功本を読んで、著者に会いにきたんだという。
オレは、天使のような素敵なその人をみて舞い上がり、自分はただの庭師でこ
の別荘の管理をしているだけの人間だとはいえず、オーナーを装ってしまう。
ここから、妙な偽物メンターとパン屋さんをめざす少女の付き合いが始まって
いく。

時折たずねてくる亜矢ちゃんに、オレは、宿題を出す。たとえば

 ・何かしてもらったら必ずお礼状を書くこと
 ・普段かかわっている人全員に、自分の長所、強みを聞くこと
 ・成功日記をつけること
 ・何かの感情が湧きおこったら、「私あこの感情を選んでいる」と口に出す
 ・人間には評価価値と本質価値があり、本質価値は変わらない

などなど。

素直な亜矢ちゃんは、オレの宿題をやりながら成長していく。オレは、オーナ
ーの本棚から仕入れたにわか知識で、アドバイスをしていく。甘酸っぱい気持
ちや、嘘をついていることの後ろめたさなどがあいまって、物語は展開する。

下心まるだしのオレの心情が、面白ろおかしく描かれているのが楽しい。
結末は、読んでのお楽しみとしておこう。

ワクワク、どきどきしながら、成功の秘訣をまなべる楽しい本だ。

<僕の思いつき>

折に触れ、琴線にふれる言葉や格言を書きためている人がいる。
とてもよい習慣だと思う。
僕もメール署名に使えそうなものを蓄積している。

たくさん集まったら、それらをならべて、なにかのストーリーを考えてみるの
も楽しい。何人かで集まって、明言や格言を持ち寄り、Mosoブレストして
みるのもいいね。

いい仲間とやると心のケミストリーが弾けて、思いもよらぬ奇想天外物語がで
きたりするかも・・・

そういうMosoワークを今度やってみよう。(100冊倶楽部がいいかな)



オススメ度

★★★★★+下心変換

読んで欲しい方

・物語がすきな方
・人生の意味を見失いそうな方
・生きる力感じたい方

Posted by webook at 15:19 | Comments (0) | TrackBack

過去の記事
カテゴリー別