2010年09月27日

晴天の霹靂 ~ 劇団ひとり + 白玉だんごで哲学

時間の扉をこじ開けた晴天の霹靂・・・

書籍情報

青天の霹靂
青天の霹靂
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劇団ひとり
幻冬舎
売り上げランキング: 323


本のきらめき

きょうは読書の秋にふさわしい一冊をご紹介。

テレビは見るな・・・なんて、時々言ってるのですが、最近、よくドラマを見
たりしている私。(汗)
注目の番組は、「日本人の知らない日本語」と「10年先も君に恋して」。
前者は、先日紹介した同名の本をドラマ化したもの。
そして後者は、きょうの本の著者、劇団ひとりが登場するTVドラマ。「10
年先も君に恋して」は、10年後の未来から舞い戻った夫が、結婚する前の女
性に恋人(自分)と別れるよう説得を試みるというタイムスリップ物語。
そのドラマの中で、劇団ひとりは、小説家として登場する。

さて、今日の本。「晴天の霹靂」も、実はタイムスリップの構図が組み込まれ
ている。

学歴もない、金もない、そして恋人もいない35歳の晴夫。彼は、売れないマ
ジシャンだ。「俺はいったいなんで生きてんだ・・」と17年も場末のマジッ
クバーから抜け出せない自分をはかなむ。生きることに腐りかけていたとき、
あることで昭和48年へとタイムスリップしてしまうのだ。
そこで見聞きするものは、自らの出生に係わる秘密。
懸命に生きる若き日の父親や周りに人々との不思議な交流の中で、生きていく
意味を見つけていく・・・そんな物語。
主人公の晴夫には、著者自身の生い立ちや心境も投影されているらしい。

たくみに張られた伏線がほどけていく過程の面白さと、親子の愛情や生きる
意味を感じさせてくれる“しんみり感”が素晴らしい。

じんわり心にしみる物語。親子で読んでみてはいかが?
(ちなみに、この本、娘に勧められてよんだもの。図らずも、そこに生まれた
共感という空気を、父親としては密に大事にしていたり・・・笑)


僕のつぶやき

ドラマや物語を盛り上げるのに必要な要素は3つ。
ちょっと頼りなさげな主人公。そして彼(彼女)が陥るピンチ。さらに、そこ
に発生する必然的偶然。

またまたTV番組で恐縮だけど、夏休みにハマったのが「パパとムスメの7日
間」(TBS系、再放送) http://www.tbs.co.jp/papa-musume7/
舘ひろしと新垣結衣の共演で、パパと娘が突然入れ替わるという想定の中に、
父親や娘の心の機微が現れていてとてもよかった。このドラマにもまさに3つ
の要素が組み込まれていた。

タイムスリップや入れ替わりなど、奇想天外な構図は、3つめの必然的偶然。
読者や視聴者がちょっと予想もつかない展開ができるから楽しい。

それから、ピンチや苦境は、ドラマの必需品・・、もし、今がやばい時なら、
それはネタにできる大チャンス・・・。
(と思いこで)がんばってまいろうぞ。



オススメ度

★★★★★+青い靴下

読んで欲しい方

・家族の愛を思い出したい方
・自分を取り戻したい方
・秋に読む本を探してる方

Posted by webook at 21:35 | Comments (0) | TrackBack

2010年09月22日

日本人の知らない日本語 ~ 蛇蔵&海野凪子 + レイライン

笑って学んで ちょっとカシコク 緩みましょう。

書籍情報

日本人の知らない日本語
蛇蔵&海野凪子
メディアファクトリー
売り上げランキング: 553


本のきらめき

今日は、ちょいとゆるめの本をご紹介。

僕がこのごろよく見るTVは、仲 里依紗(なか りいさ)主演のドラマ。
本書と同名の連続ドラマである。NHKのサラリーマンNEOに続く面白
さがある。今日の本は、そのドラマの原作になっている本だ。

この本にハマる理由は、まだまだ知らない日本語がたくさんあるという発
見と、日本語学校の生徒たちとハルコ先生が繰り広げるドタバタ劇の楽し
さであろうか。(本書の中では、ハルコ先生ではなくなぎこ先生である)

著者の海野凪子さんは、ほんものの日本語教師。ブログも書いている。
 「まめじゃない日本語教師がまじめに日本語を考える」
  http://uminonagiko.blog73.fc2.com/
本書は、このブログが原案になってできた。

まじめに質問したり、答えたりする外国人生徒とのやりとりは、へぇーと
唸ったり、笑えたり。たとえばこんなエピソードがある

 センセイの質問に、イスに座ったまま答える生徒に
 ハルコ先生が言います。
 「立って言いなさい!」
 するとその生徒は
 「たっ!」

確かに、外国の人に たっていいなさい といえば、「た」って答えるの
も無理はないか・・・

また、任侠映画で日本語を覚えてきたフランス人女性は

 おひかえなすって、私、マリーと申します

なんて挨拶したりする。そのマリーのおかげで「シカト」や「ピカイチ」
の語源がわかったりする。(シカトは、花札の鹿の絵=10点が、そっぽ
をむいているから 鹿十→シカト)(ピカイチ=花札の中に一枚だけある
光りものという点の高い札のこと)

日本語こぼれ話には、テンプラ、カボチャなど外来語の紹介がある。
なんと「襦袢」も外来語という。(← これ読めたかな?笑)じゅばんと
読む。着物の下にきるもの、なんとポルトガル語なんだとか。
イクラはロシア語。(うっそー!のようなホントの話)
サボるは、フランス語(サボタージュ)から。などなど。

外国人学生の素直な疑問は、時に驚きの発見をもたらす。

最後に極め付けの発見をひとつ。日本のよさに関する中国人学生の言葉:

 私も日本の国も日本人も大好きです。日本人、みなやさしい。
 駐車場までやさしいよ。
 励ましてくれるよ!
 「前向きに!」って・・・ 笑

三連休のドライブで渋滞に疲れたお父さん、この本でリラックスされたし。


僕のつぶやき

落語家、立川志の輔さんの「みどりの窓口」は、何度聞いても飽きない。

その噺のはじめに、ものを数えるときの日本語の不思議について語る小噺があ
る。英語では、何をかぞえるのにもワンツースリーなのに、日本語では、対象
によって数え方が違うのだ。
人はひとり、ふたり、さんにん。動物を数えるのには、いっぴき、にひき、さ
んびき、よんひき・・・・。半濁点、濁点をつけたり取ったり、まことに不思
議極まりないのである・・・といった内容だ。

漢検、漢字クイズの番組・・・など、漢字にまつわる知的な楽しみは、まだま
だあるようだ。

ものごとは、単純に覚えるだけじゃつまらない。それらを、面白ろ可笑しくす
る工夫をこらしてみると実に楽しくなる。知的である。

だじゃれも含め、言葉は、いつも楽しく、そして深い。



オススメ度

★★★★★+知って驚愕

読んで欲しい方

・日本語の面白さに触れたい方
・日本語の新発見をしたい方
・日本のよさを感じたい方

Posted by webook at 21:32 | Comments (0) | TrackBack

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