2008年10月27日

社会起業家という仕事/チェンジメーカーⅡ ~ 渡邊奈々 + どうしても参加したいイベント

「さざ波」から「うねり」へ

書籍情報

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本のひらめき

本書は、チェンジメーカーの第二弾。
ちなみに第一弾は、こちらに: 
   http://www.webook.tv/bn/2006/08/post_1170.html
チェンジメーカーとは、世の中を変える仕事をライフワークにしている人たち
のことだ。

社会企業家、ソーシャルアントレプレナーといった表現が、今では耳に馴染ん
できた。本書は、世の中の見過ごせない矛盾や問題を解決しようと、一隅を照
らす事業を続けている、そんな人たちのドキュメンタリーである。

本書には、17人のチェンジメーカーが登場する。彼らは渡邉さんが、情熱と
志でご縁の糸を手繰り寄せた素敵な社会起業家たちである。アメリカ人、フラ
ンス人、日本人など様々な人が登場する。

例えば、

* 泥水でも飲める「ライフストロー」を開発しアフリカの人たちの役に立つ
 製品を作り続けているVF社のミケル・フランドセン。
   http://www.vestergaard-frandsen.com/lifestraw.htm
 彼は、「施しではなく、ビジネスが世界の貧困を変えていく」という。

* フローレンス代表の駒崎弘樹さんは、日本の子育てシーンに「病児保育」
 という新しいサービスを導入している人だ。人情あふれるコミュニティの力
 がなくなり、それに代わる新しいシステムを構築しようと、このサービスは
 生まれた。「こともレスキュー隊員」となづけた保育スタッフの女性を組織
 し働く女性の支援をするサービスである。
   http://www.florence.or.jp/
 社会が螺旋階段を登るように進化するプロセスそのものではないだろうか。
 
* アメリカの貧困地区の公立校で教育を改善し子供たちの学力をのばそうと
 しているのは、キム・スミスさん。ニュースクール・ベンチャーファンドの
 共同創設者である。 http://www.newschools.org/
  http://ecorner.stanford.edu/authorMaterialInfo.html?author=54
 その発想がとてもユニーク!
 「誰もが一生に2年間、先生になるという新しい選択肢」の提案である。
 TFA(Teacher for america) と名付けられたプログラムは、地域の教育
 も学生の意識も、そして企業の目線までも変えつつあるようだ。
   http://www.teachforamerica.org/

17の事例のほか、たくさんのチェンジメーカー情報も紹介されている。

よりよい世界を実現する活動への寄付サイト「グローバル・ギビング・ファン
デーション」 http://www.teachforamerica.org/ や、ホームレスのための給食
サービス、DCセントラルキッチン( http://www.dccentralkitchen.org/ )
など、へぇーと感心するものがたくさん・・。

最後に、田坂広志さんの解説を読むと、渡邉さんが取材されこの本を書かれた
深い意味と意義が、静かに心に伝わってくる。

正直に告白すれば、僕は、今だこの年になっても、この星にやってきた自分の
使命を定義できず、ふらふらしている。そんな僕に、大いに光と刺激を与えて
くれた一冊が、この本だった。

たくさんの人(学生の方も若手社員も定年間際の人も家庭を守る主婦の方も・
・・)に読んでほしい「道しるべ本」である。


僕の思いつき

解説に代えて、と題された田坂さんの文章をご紹介しておこう。

社会起業家の残す最高の仕事とは何か?という定義のお話。心の奥深くに、ひ
とつの覚悟を持つべきというメッセージ、それはきっと深く僕たちの心に届く
はずである・・・。

 もとより、社会企業家は、その歩みを通じて、様々な社会貢献と社会変革の
 仕事を残します。それは、いうまでもなく、素晴らしい仕事です。
 しかし、社会企業家が世の中に残すのは、実は、それらの素晴らしい仕事だ
 けではない。

 一人の人間が世の中を少しでも良きものにしたいと願い、精一杯生きたこと。
 そうした思いを持った人々が、巡りあり、互いに共感し、力を合わせて
 歩んだこと。
 そして、その歩みの中で、一人ひとりが、人間として輝き、成長していった
 こと。

 その「後姿」こそが、社会企業家がこの社会に残す「最高の仕事」なので
 しょう。

その後姿をつないでいく者、それが僕たちなのかもしれない。

渡邊さんが、素敵なご縁の糸を紡いで生み出された作品に、インスパイアされ
て、私たちも、何年か先の後姿を、この星のとこかに残したい・・・。
 


オススメ度

★★★★★+後姿

読んで欲しい方

・仕事の意味を考えたい方
・世の中を変えたい方
・この星で最高の仕事をしたい方

Posted by webook at 10:22 | Comments (0) | TrackBack

2008年10月20日

だれかに話したくなる小さな会社 ~ 浜口隆則&村尾隆介 + まいど!

 やっぱり、話したくなる・・・

書籍情報

だれかに話したくなる小さな会社
浜口 隆則 村尾 隆介
かんき出版
売り上げランキング: 1544

本のひらめき

ブランドのある企業・・・と聞くと、コカコーラ、GE、IBM、トヨタなど
名だたる企業を思い浮かべるかもしれない。コカコーラのバランスシートには、
その価値が7兆円と計上されているらしい。
http://www.interbrand.com/best_global_brands.aspx?year=2008&langid=1000

ブランドという目に見えない価値は、本書では「価値ある会社の空気」のよう
なものと表現されている。それは企業が大きければいいというものではない。
名も知られてはいないけれど、お客様がファンであり、多くの人に応援される
ような素敵な会社が、実はたくさん存在する。
本書は、誰かに話したくなるような小さくても、空気のいい会社の事例がいく
つも登場する。

例えば、コーヒー豆の卸業「珈琲工房HORIGUCHI」、九州の企業だけを応援する
プロモーション映像の「カウテレビジョン」、アウトドア用品の「パタゴニア」
離婚を扱う法律事務所「離婚ファーム」などなど・・・
http://www.small-but-brand.com/ のリンクあり)

そして、そんな会社を目指すことの意味と価値、そしてその具体的な方法を教
えてくれるのが本書だ。

いくつかのメッセージを拾っておこう。

 たとえ利用者が100人しかいなくても、そのお客様たちが「大満足!」と
 いう会社は、その後も飛躍をします。100人を100%喜ばすというのは
 簡単なようで、ものすごくたいへんなことです。それができれば1万人
 だって喜ばすことができます。

 ブランド構築の近道は、「新しいカテゴリー」を作ることです。
 「ちょっとした不便」を解消してあげる商品やサービスを開発すれば、
 それは立派な新しいカテゴリーになります。

 ポジショニングマップを作るのは、慣れです。お昼にカレーを食べるなら
 カレーが出てくるまでの5分間にナプキンの裏に書いてみるとか・・・
 マップ上の「空きポジション」は「新カテゴリー」とほぼ同義語です。

 ブランド会社は、自分で価格を決めます。
 価格設定には、「どんなお客様と付き合いたいか?」という売り手側の
 メッセージも含まれています。

 成功条件のひとつに「応援してくれる人が、たくさんいること」が大切。
 人が応援したくなるのは、愚直なまでに自分の仕事を愛し、使命感を
 持っている「一生懸命な会社」です。

 会社を「チアフルな職場」にするためにお勧めしているのが「気配り屋」
 の採用です。そのために面接はオフィスではなく、セルフ系のカフェが
 最適です。

 どんな仕事だって、その紐をたどっていけば、誰かしらの幸せや、ラブ
 &ピースに何かしらの形でつながっています。
 そういう意味では、世の中の経営者は社会起業家です。

など、たくさんの心に響くメッセージがあった。

誰かに話したくなる本。今日の一冊はそんな本である。


僕の思いつき


本書は、「戦わない経営」の著者、浜口さんと、小さな会社のブランド戦略を
手がけるスターブランド社の村尾さんの共著である。
どうやら、作品を生み出す過程もJOYとWOWに満ちていたようだ。

映画にもメイキングフィルムという制作過程を紹介するものがある。本にだっ
てそれがあってもいい。本書の場合は、これ:
  http://www.small-but-brand.com/making.html  (なかなか楽しい)

ひとつの作品が生まれるとき、そこには反映できなかった内容や、面白いエピ
ソードなどいろんな物語がある。そういうものを、サブの作品として残すのも
また楽しいものだ。

日々の仕事も「作品」だと思えば、そのメイキング○○を残すのも楽しい。
デジカメ写真でもいい。ちょっとした気づきのメモでもいい。
消防士さん応援カレンダーも、ひそかにそんなものを準備しようと思っている。

失敗も成功も、ありふれた日々も、すべて「成長」という見えないプロセスの
ネタに満ち満ちている。

楽しいじゃぁ、ございやせんか!


オススメ度

★★★★★+無邪気

読んで欲しい方

・仕事の価値を考えたい方
・ブランドを作りたい方
・ファンに応援される会社にしたい方

Posted by webook at 10:26 | Comments (0) | TrackBack

だれかに話したくなる小さな会社 ~ 浜口隆則&村尾隆介 + まいど!

だれかに話したくなる小さな会社 ~ 浜口隆則&村尾隆介 + まいど!

   やっぱり、話したくなる・・・

書籍情報

だれかに話したくなる小さな会社
浜口 隆則 村尾 隆介
かんき出版
売り上げランキング: 464

本のひらめき

ブランドのある企業・・・と聞くと、コカコーラ、GE、IBM、トヨタなど
名だたる企業を思い浮かべるかもしれない。コカコーラのバランスシートには、
その価値が7兆円と計上されているらしい。
http://www.interbrand.com/best_global_brands.aspx?year=2008&langid=1000

ブランドという目に見えない価値は、本書では「価値ある会社の空気」のよう
なものと表現されている。それは企業が大きければいいというものではない。
名も知られてはいないけれど、お客様がファンであり、多くの人に応援される
ような素敵な会社が、実はたくさん存在する。
本書は、誰かに話したくなるような小さくても、空気のいい会社の事例がいく
つも登場する。

例えば、コーヒー豆の卸業「珈琲工房HORIGUCHI」、九州の企業だけを応援する
プロモーション映像の「カウテレビジョン」、アウトドア用品の「パタゴニア」
離婚を扱う法律事務所「離婚ファーム」などなど・・・
http://www.small-but-brand.com/ のリンクあり)

そして、そんな会社を目指すことの意味と価値、そしてその具体的な方法を教
えてくれるのが本書だ。

いくつかのメッセージを拾っておこう。

 たとえ利用者が100人しかいなくても、そのお客様たちが「大満足!」と
 いう会社は、その後も飛躍をします。100人を100%喜ばすというのは
 簡単なようで、ものすごくたいへんなことです。それができれば1万人
 だって喜ばすことができます。

 ブランド構築の近道は、「新しいカテゴリー」を作ることです。
 「ちょっとした不便」を解消してあげる商品やサービスを開発すれば、
 それは立派な新しいカテゴリーになります。

 ポジショニングマップを作るのは、慣れです。お昼にカレーを食べるなら
 カレーが出てくるまでの5分間にナプキンの裏に書いてみるとか・・・
 マップ上の「空きポジション」は「新カテゴリー」とほぼ同義語です。

 ブランド会社は、自分で価格を決めます。
 価格設定には、「どんなお客様と付き合いたいか?」という売り手側の
 メッセージも含まれています。

 成功条件のひとつに「応援してくれる人が、たくさんいること」が大切。
 人が応援したくなるのは、愚直なまでに自分の仕事を愛し、使命感を
 持っている「一生懸命な会社」です。

 会社を「チアフルな職場」にするためにお勧めしているのが「気配り屋」
 の採用です。そのために面接はオフィスではなく、セルフ系のカフェが
 最適です。

 どんな仕事だって、その紐をたどっていけば、誰かしらの幸せや、ラブ
 &ピースに何かしらの形でつながっています。
 そういう意味では、世の中の経営者は社会起業家です。

など、たくさんの心に響くメッセージがあった。

誰かに話したくなる本。今日の一冊はそんな本である。


僕の思いつき


本書は、「戦わない経営」の著者、浜口さんと、小さな会社のブランド戦略を
手がけるスターブランド社の村尾さんの共著である。
どうやら、作品を生み出す過程もJOYとWOWに満ちていたようだ。

映画にもメイキングフィルムという制作過程を紹介するものがある。本にだっ
てそれがあってもいい。本書の場合は、これ:
  http://www.small-but-brand.com/making.html  (なかなか楽しい)

ひとつの作品が生まれるとき、そこには反映できなかった内容や、面白いエピ
ソードなどいろんな物語がある。そういうものを、サブの作品として残すのも
また楽しいものだ。

日々の仕事も「作品」だと思えば、そのメイキング○○を残すのも楽しい。
デジカメ写真でもいい。ちょっとした気づきのメモでもいい。
消防士さん応援カレンダーも、ひそかにそんなものを準備しようと思っている。

失敗も成功も、ありふれた日々も、すべて「成長」という見えないプロセスの
ネタに満ち満ちている。

楽しいじゃぁ、ございやせんか!


オススメ度

★★★★★+無邪気

読んで欲しい方

・仕事の価値を考えたい方
・ブランドを作りたい方
・ファンに応援される会社にしたい方

Posted by webook at 07:50 | Comments (0) | TrackBack

2008年10月13日

未来を予見する「5つの法則」 ~ 田坂広志 + プレイバッカーズ

あなたの世界観、変わっちゃうかも・・・

書籍情報

未来を予見する「5つの法則」
田坂 広志
光文社
売り上げランキング: 375


本のひらめき

私たちが学校で習った歴史の中には、大きな転換期が幾度も登場する。パラダ
イムがガラリと変わる時代の波を、遠い視点から眺められるところが、歴史の
面白さなのかもしれない。

今私たちのいる現在も大きな転換の波がいくつかある。本書は、そうした世界
のパラダイムの変化を、弁証法的視点から読み解きながら、未来を予見する。

これまで田坂さんは著作や講演で、弁証法的思考法を分かりやすく解説され
ていた。本書は、さらに分かりやすく、そして深く、弁証法というフィルター
を通した未来予見の旅にいざなってくれる。

 未来は予測することはできない。しかし
 未来を予見することはできる。

この意味は、具体的な予測(concrete prediction)はできないが、大局的な予
見(macroscopic foresee)はできるということだ。大きな流れを見る力、大局
観を養うための本である。未来予測の科学ではなく、未来予見の哲学の本なの
である。

さて、本書で語られる世界発展の法則は、つぎの5つ:

 螺旋的プロセス
   世界は、あたかも、
   螺旋階段を登るように、発展する。

 否定の否定
   現在の「動き」は、
   必ず、将来、「反転」する。

 量から質への転化
   「量」が、一定の水準を超えると、
   「質」が、劇的に変化する。

 対立物の相互浸透
    対立し、競っている者同士は、
    互いに似てくる。

 矛盾の止揚
    「矛盾」とは、世界の発展の原動力である。

5つの法則は、それぞれ、非常に分かりやすい事例を交えながら展開される。
なるほどーとうなずけるその快感は、なんともいえない醍醐味ではないだろう
か。

最後の「これから起こる12のバラダイム展開」では、経済、政治、社会など
に加え、宗教観、文明論まで広がる哲学の道を歩くことになり、読み終えるこ
ろには、深い感慨に浸ることになる。

同時に発行される英語バージョンは、ぜひアメリカの友人にプレゼントしたい。

今年一押しの一冊!


僕の思いつき

僕が最も心に響いたのは「矛盾の止揚」の法則。これは、その前に解説される
4つの法則の根底をなす大事な法則なのだ。

世の中には矛盾がいっぱい。しかし、それを「解消」したときではなく「止揚
」したとき物事は発展する。だから矛盾こそは、事物の発展の原動力だという。

そう考えると、僕たちの周りにいっぱいある矛盾した状況は、歓迎すべきこと
なのかもしれない。

マネジメントの本質も「矛盾のマネジメント」という。割り切ってしまうのは
簡単。しかし、それでは発展は望めない。

 どちらか一方を否定するのではなく、両者を肯定し、包含し、統合し
 超越するととによって、より高次元のものへと昇華していく

ことが大切と説かれる。矛盾を受け入れ、正面からうけとめることこそ、私達
は成長するのだねー。

矛盾あり、また楽しからずや! である。

 享受型イノベーションから、参加型イノベーションへ
 マネタリー経済から、ボランタリー経済へ
 考える文化から、感じる文化へ
 単一人格社会から、多重人格社会へ
 機械論的世界観から、生命論的世界観へ
 西洋文明から、東洋文明へ

など数々の未来予見の法則を紐解きながら、どこか生きる元気をも感じさせて
もらえる本である。

あなたも「弁証法的思考」(Dialectic Thinking)の旅に、ぜひ。



オススメ度

★★★★★+大局観

読んで欲しい方

・大局観を大事にしたい方
・大きな視座で考える立場の方
・未来を感じたい方

Posted by webook at 14:56 | Comments (0) | TrackBack

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