2009年09月08日

12日間速習プログラム決算書トレーニング ~ 田中靖浩 + 楽しい会計士さんたち

会計の本質は、・-・-・ なんですな!

書籍情報

12日間プログラム 決算書トレーニング
田中 靖浩
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 2442

本のひらめき

最近、田中さんがめっきり痩せて引き締まったお顔になられたなぁーと、日経
新聞の特集記事を見て、そんなことを思っていたら、やっとそのなぞがどけた。

この本を書くために、ダイエットし5ヶ月でなんと10キロも体重を落とした
・・・というのがその真相。笑 (ほんとは違うよ)

さてさて、本書は、田中さんが最近取り組んでいる「違うものをまぜて危険な
ものを生み出す」(笑)という仕業から生まれた作品である。

今回は、ダイエットと会計の世界を対比させた「会計の超・入門書」である。
自身のダイエット体験の中で気づいたことは、「健康になる仕組みは、人間も
会社も似ている」ということだったという。

 身体の「食べる、消費する、脂肪体質を改善する」というプロセスと
 会社の「稼ぐ、使う、財務体質を改善する」というプロセスがそっくりだ

ということだ。

もう一つ、本書の特徴は、数字ではなく図解で理解できるといところ。これは
実に素晴らしい大発見(発明)であると思う。

まず、点と線が、会計の本質であるという。それは人口増減も、体重変動も、
会社の決算書の動きも同じ。つまり 「・-・-・」であるということだ。

 点(・)は、ストックであり、結果である
 線(-)は、フローであり、原因である

点(・)は、ある時点の体重、人口数、財産を示し、会計ではそれをB/S表
として示す。
線(-)は、点と点の間の増減を示す。会計ではそれをP/L表として示す。
というわけだ。ふむふむ。

決算書とダイエットは、ストック(・)の価値が逆である。決算書では貯め込
んだほうがいいが、ダイエットは痩せた方がいいから。

さらに、体質にも踏み込んでいく。ダイエットでは体重が問題というより、脂
肪体質かどうかという点がポイント。決算書では、財務体質ということになる。
B/Sで負債が多きすぎるとメタボになっちゃう・・・という具合だ。
さらに決算書のキャッシュフロー計算書(資金繰り)は、血液循環にたとえて
解説される。

ソニー、アップル、JAL、マクドナルド、モスバーガーなどなじみのある企
業がいっぱい登場し、クイズもあって、実に楽しく読める。かつためになる。

田中さんの新たなチャレンジは、実に楽しく、優しく、面白く、そして深い本
を生み出した。これ、超・おすすめだねー。


僕の思いつき

だいぶ前から、メールの署名にいくつかの名言を拝借して追加している。その
中のお気に入りに、井上ひさし氏の下記が言葉がある。

 < 難しいことを易しく、易しいことを面白く、面白いことを深く >

今日の本は、まさにそのままあてはまる。楽しく面白く読めるけど、けっこう
深い会計のことが書いてあったりするのが、すごいところだ。

人は(会社にいると特にそうならる)、一度わかってしまうと、それを知らな
い人にいかに分かりやすく伝えるか・・ということを、すっかり忘れてしまう。
自分が苦労して理解してきた道を、人も同じように歩むのが当然・・・みたい
な思いを自然に抱いてしまうらしい。
また、それを権威の道具にしてしまう輩もいたりするから、困ったものだ。

易しく面白くする工夫のひとつは、メタファー(metaphor 比喩)である。
田中さんの本では、決算書をダイエットの世界と見比べながら、ナールホドの
世界へいざなってくれた。

こういうことを、いつも考えていると楽しいかもね。案外いろんなものは、つ
ながってるし、似ていたりするから。
さてさて、何に例えますかな・・・ ゴルフ?野球?健康?こどもの教育?

メタボじゃなくって、メタファーでまいりましょうぞ。


オススメ度

★★★★★+決算書だぁ、イェー!っと。

読んで欲しい方

・物事を直感的に捉えたい方
・決算を説明する立場の方
・決算書を“感じたい”方

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2008年11月24日

もえビジ ~ 藤原萌美&山田真哉 + 危機一髪

99.7% 犯人はわからない! って?

書籍情報

もえビジ 会計RPG  密室の女子大生会計士
藤原 萌実
角川グループパブリッシング
売り上げランキング: 1642

本のひらめき

またまた山田さんにはやられましたなー。会計本の新たな地平を切り開く、ユ
ニークな本が誕生した。会計RPG(ロールプレイングゲーム)である。
しかも、なんと著者は架空の人物(女子大生会計士の萌ちゃん)だ!

プロローグで張られた伏線、いきなり舞台にあげられる本篇、そして種明かし
というすばらしい構図に、読者は、ひきこまれるように読み進むことになる。
夜中、遅くに帰宅して、ふとページをめくったのは、失敗だった。
やめられなくなってしまうから・・・。(笑)

なにしろ、ページをめくる楽しさを存分に楽しめる工夫が凝らされているので
ある。(山田さんも、作るとき楽しくて仕方がなかったに違いない)

会計の入門書とはいえ、その本質に迫る質問と答えは、読み手に爽やかな感動
を伴って納得感を与える。そうだったのか!と。

物語のステージはこんな感じ:

 ビジネスパーソンのためのワンポイント会計講座
  ~これであなたも会計が好きになる~
 を担当することになった藤原萌美ちゃん。会計士研修中の身という立場上
 先輩のいうことを聞かざるをえない。先輩から押しつけられた面白みのな
 い会計資料で講座にたつことになる。
 
 一日研修の終盤、休憩のあとに入った大教室で異変がおきる。
 真っ暗な教室に閉じ込められてしまうのだ。
 そこでは、見えない何者かに11の質問を受けることになる。
 答えられないと出られない、しかも人質に取られたカッキーと生徒たちが
 危ないというという恐ろしい状況に・・・陥る。

 ここから会計的でありながら、実に面白い質問が押し寄せてくる。

 たとえば

  汝に問う。カラスの被害で困っている町があり、どちらの薬を
  開発すべきか? 予算上どちらかしか開発はできない。
  1)カラスが死んでしまう薬
  2)カラスが近寄らない薬 

 などなど。

最後のフィナーレは、「まいりました!」である。
どんな結末がまっているか、ぜひ、皆さんもお試しあれ。

山田さんの生み出した女子大生会計士、藤原萌美が、著者としてリアルな世界
に躍り出る、とてもユニークな本である。

こ、これは・・・すごい!
 

僕の思いつき

本書の背後にあるのは、会計の知識ではなく智恵をつけよう、ビジネスなんて
知識じゃなくて考え方が重要なんだ・・・ということだ。

本書で得られる、「目からウロコの会計センス」は、たとえば・・・

 会計とは、記録して集計して分析すること。(仕組み力)
 経営は、目先ではなく、未来の売上を考える(経営力)
 売上は、史上最強の資金調達手段。(経営力)
 過去の出費は、未来の判断材料に入れない。
  過去の出費を埋没原価という。(視点力)
 毎月の出費は12倍(1年分)、60倍(5年分)するクセを。(計算力)
 あらゆる経済活動はインフラがあってはじめて成立する。(構造力)
 会計で大事になのは、未来の立場で損得を考える未来視点(想像力)

などなど・・・。

さらに、萌美の「格言っチャオ」も見逃せない。例えば

 「稼ぐこと」と「やりたいこと」を足したのが「働く」っていう意味よ。
  ポイントを2つに絞るのが今の流行よ。(3つじゃ、長い~)

などなど。
 
比較的薄い本でありながら、なかなか奥が深いのであ~る。

しかし、専門的なことをこうしたミステリー構造で展開するって、面白いなぁ。


オススメ度

★★★★★+犯人はおまえだ!

読んで欲しい方

・会計的なセンスで考えたい方
・新米経営者の方
・会計の本質を感じたい方

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2008年09月22日

君を幸せにする会社 ~ 天野敦之 + ティーチャーズ

君を幸せにする会社 ~ 天野敦之 + ティーチャーズ

働くことのほんとうの意味とは・・・

書籍情報

君を幸せにする会社
君を幸せにする会社
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天野 敦之
日本実業出版社
売り上げランキング: 1798

本のひらめき

天野さんとは、数年前、まだ証券会社にお勤めのころに丸の内のカフェでお会
いした。「会計のことが面白いほどわかる本」(中経出版)を読んで、どうし
てもお会いしたくなったのだ・・・・。

その後も素晴らしい本を出されているのだが、本書は、なんと物語仕立て。

父親からリゾートホテルの経営を引き継ぐことになったクマ太郎が主人公。
クマ太郎が引き継いだのは「クマの湯ホテル&リゾート」。倒産の危機に瀕し
ながら、経営において大切なことに気づくプロセスがとても素敵だ。
やがて、業績も改善、さらに社員もお客様も自分自身も「深い幸せ」を感じる
ことができる・・・というストリーだ。

MBA仕込みのクマ太郎、ビジネススクールで学んだことを次々と取り入れて
みた。理念の浸透のためにカードを社員に持たせたりもした・・・。

しかし、社員は疲弊、業績は悪化。。。 なぜだ? 

悩むクマ太郎は、福岡に出張したとき泊まったホテルで素敵なサービスに触れ
、ある大切なことに気が付く。お客様の幸せにするからこそ利益を得られるの
だ、そして、お客様の幸せの前に社員の幸せを考えるべきだ・・・そんなこと
に徐々に気づいていく。

聞き覚えのある経営のツボが、ちりばめられている・・・だけなら、この物語
はさして面白くないだろう。しかし、そこに本質をつく社員の言葉があったり
、出来事があったりするところが本書を深い物語にしている。 
たとえば、コン吉のこんな言葉・・・。

 お客様の幸せといっても、自社の利益のためにお客様を利用している
 だけじゃないですか。偽善ですよ。

あまり書くとネタばれになっちゃうので、このへんで。

クマ太郎が、最後にいきつくのは、感謝や愛という深い思想のところ。ここが
本書のもっとも素敵なところだ。

いくつもの大切なことを気づかせてくれる、素晴らしい物語。
経営者の方も、マネジャーの方も、そしてスタッフの方にも読んでほしい一冊。


僕の思いつき

星野リゾートにしても、リッツカールトンにしても、成功企業の記事などを読
むとやってることはだいたい分かる。しかし、その奥にある思想にまでいきつ
かないと、方法だけ真似てみても失敗する。

ビジネスの方法論と仕事の思想が、紆余曲折を経てリンクしていく過程が、実
にみごとに描かれている。僕にとって、大いに気づきをもたらしてくれる本だ
った。

今、ある雑誌の記事を書いているのだけれど、本書を読んで、その最後のしめ
くくり内容を書き直すことにした。汗;

仕事をハウツーやハックスでうまくやるのもいいけれど、その先にある思想や
愛にまでいけたら人生も仕事も素晴らしい。

感謝、愛・・・その意味をこの物語から感じとってみたい。

Every Day is a GIFT とつぶやいたロサンゼルスの消防士さんは、やはり本物
だ、・・・・本書を読んでふとそんなことを思い出した。

ちなみに、この本、星野佳路さん、久米信行さん、福島正伸さん、岡崎充さん
、山田真哉さん、望月実さんといった素晴らしい方たちの「愛」と「応援」で
生まれてきた。素敵な香りのある物語である。



オススメ度

★★★★★+働ける幸せ

読んで欲しい方

・仕事の意味を考えたい方
・社員の幸せを考える立場の方
・働く幸せを感じたい方

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2008年08月25日

問題は「数字センス」で8割解決する ~ 望月実 + これでいいのだ。

問題は「数字センス」で8割解決する ~ 望月実 + これでいいのだ。

読む+考える+伝える ための数字

書籍情報

問題は「数字センス」で8割解決する
望月 実
技術評論社
売り上げランキング: 3918

本のひらめき

人の気持ちは顔に出る。
ビジネスの実態は数字に出る。

と言えば、かっこいいのだが、数字をうのみにすると勘違いすることもある。
意図的なマーケティングの数字や、本質的な問題が背後に隠れているオモテの
数字などがあるからだ。

数字センスを磨いて、問題解決力を高めようというのが本書のネライだ。

ビジネスで直面する問題は、多くの要素が複雑に絡み合っている。それを解決
するには、数字を使って問題をシンプルにとらえるのが効果的だと、望月さん
はいう。さらに

  問題解決力 = 問題点の把握力 x 解決策の提案力 x 解決策の実行力

とし、3つの要素を向上させるための数字力を解説するのが本書の内容だ。

問題の把握力には「数字を読む力」が、
解決策の提案には「数字で考える力」が、さらに
解決策の実行には「数字で伝える力」が必要になる。

3つのパートには、伊勢丹と三越、トヨタと三菱自動車、ドリームジャンボ宝
くじなどリアルな世界と結びつけながらの解説があり、楽しく読める。

僕的にほぉ~と思ったのは、数字で考える・・のところで登場するケーススタ
ディである。「外資系の紳士服販売の企業が、この1年で利益を二倍にしない
と日本市場から撤退する、さてどうする?」というもの。

いきなり2倍の利益に・・といわれても大きすぎるし漠然としているから、そ
れは難しい・・・と直感的に思ってしまう。そこで、目標をプロセスに分解し
それぞれに数値を割り当てる・・・と、光が見えてくる。例えば

  集客数 x 利益率 x 販売率  = 全社の利益
  1.3倍 x1.3倍 x1.3倍  = 2.20倍

となり、「とにかく利益を2倍に、ではなく、それぞれ30%アップを目指す
のだ」となって、なんとなく具体的な実現性が見えてきたりする。

ハサミと数字は、使いよう・・・かもしれないね。
本書を読んで、数字を使えるビジネスパーソンへの一歩を踏み出すのもいいか
もしれない。

僕の思いつき

そういわれると、なんだかスッキリする・・・ってことはよくある。

数字力をつけるいくつかの方法は

 表と裏  (ビジネスチャンスは裏にある)
 因数分解 (要素に分ける)
 割り算  (絶対額より比率で)
 置換え  (分かりやすいものに例える)

 
などいくつかあると思う。本書にも登場する。
そういうものを、自分なりにまとめてみるのもいいね。たとえば・・

 数字力の7つの法則 とか
 発想力の5つのヒントとか
 会議運営の4つの原則とか
 議事録の3つのルールとか
 早起きするための8つの習慣とか
 頼られる人になる4つのルールとか・・

日々の仕事の中でふと感じたことをまとめてみる。どこかで聞いたことがある
なぁ・・・・という感覚は、まったく問題なし。世の中にあるほとんどのこと
は、すでに誰かがいっていることだったりするから、心配無用。

ブログなどでじゃんじゃか発表しちゃおう。
そのうち、「本を書きませんか?」なんてオファーがくる・・・かも。笑



オススメ度

★★★★★+使える数字

読んで欲しい方

・数字で説得したい方
・数字を解説する立場の方
・分かりやすい数字を感じたい方

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2008年07月14日

有価証券報告書を使った決算書速読術 ~ 望月/花房 + 1秒&数字力

数字の裏のストーリーを読む。

書籍情報

有価証券報告書を使った 決算書速読術
望月 実 花房 幸範
阪急コミュニケーションズ
売り上げランキング: 338

本のひらめき

大前研一さんは、ビジネスマンに必要なスキルは、英語、IT、会計の3つだ
と言っていた。3つの言葉の定義は、人によって異なるかもしれないが、これ
らの必要性については誰もが納得するものだと思う。

本書は、そのうちの会計について、「有価証券報告書」とうネタを使ってビジ
ネスの実際を捕まえようという本だ。

公認会計士の田中靖浩さんが言っているように、多くのビジネスマンや経営者
にとって必要な会計知識は、会計の数字の作り方ではなく、「読み方」のほう
だ。本書では、読み方のネタとして有価証券報告書を使う。それを読み倒して
みようという発想がユニークだ。普段、有価証券報告書をじっくり眺める機会
はそうないかもしれないし、またあったとしてもワクワクどきどきしながら読
むような代物ではない。

本書では、吉本興業、ミクシィ、スターバックスなどの実際の有価証券報告書
を使って、その勘どころを抑える工夫がされていて、とても面白く読める。

決算書の数字は、ひとつの会社の一年間だけの数字を見ただけでは、あまり多
くの情報が得られない。そこで、「時系列分析(複数年の動きをみる)」と「
他社比較(ライバル会社との比較)」がキモだという。
そういえば、山田真哉さんの「女子大生会計士」でもそんなシーンが登場して
いたなー。

著者のお二人も、現場で使える決算書の読み方を、有価証券報告書でトレーニ
ングしたという。その方法が本書で紹介されている。

実際の報告書を使いながら、スターバックスとドトールの事業展開の違いを考
察したり、吉本興業の事業内容を分析したり・・・なかなか楽しい。

本書には、読者プレゼントがあり、PDFファイル「有価証券報告書の未来」と、
著者インタビュー(音声)がついてくる。これ、かなりのお得感あり!


僕の思いつき

本書を読んで思ったことは、類似の企業を比較すると面白い(スタバとドトー
ルのように)ということだ。

そのネタとなる数字や事業の紹介が、詳しく書かれているのが有価証券報告書
だから、そういう目線で見るときにはとても面白い材料となる。

もう一つ、あとがきにあったように、予備知識をもって何かに臨むと、その体
験がぐんと面白く深くなる、ということだ。

あとがきから引用してみよう。

 情報というのは、より現実を深く理解するための道具として価値があると
 思います。たとえば、吉本興業という会社がどういう会社かについて、知り
 たいとします。予備知識がない状態では、「ルミネtheよしもと」でライブ
 を見ても、「楽しいな!」だけで終わってしまいます。
 一方、有価証券報告書を読んでから、「ルミネtheよしもと」でライブを見る
 と「吉本興業は、番組制作、キャラクターグッズ、不動産の賃貸で儲けて
 いるのか。するとライブ自体は、儲けよりもタレントの良さを伝えたり、
 お客さんの顧客満足をあげることが一番の目的なのかもしれないな」などと
 奥行きのある見方ができるようになります。

確かに、予備知識は経験をより深いものにしてくれる。

比較分析、予備知識。

これから行動するときは、ちょっとキーワードにしてみたい。



オススメ度

★★★★★+数字の裏の物語

読んで欲しい方

・経営的な立場で会計を理解したい方
・できるビジネスパーソンの方(笑)
・有価証券報告書を面白いと感じたい方

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2008年06月30日

価値を創造する会計 ~ 天野敦之 + 今晩20時一斉消灯!

会計の基礎と、その意味を探る

書籍情報

価値を創造する会計 (PHPビジネス新書) (PHPビジネス新書 57)
天野 敦之
PHP研究所
売り上げランキング: 7461

本のひらめき

会計に関するロングセラー(20万部)の本がある。「会計のことが面白いほ
どわかる本」という、天野さんの作品だ。僕もこのシリーズはとても分かり易
いと友達に薦めまくった。
 http://www.webook.tv/bn/2001/06/post_1546.html
 http://www.webook.tv/bn/2001/05/post_1545.html

その天野さんの最新作。価値を創造する・・・という枕がとても似合う内容が
書かれている本だ。

大切なのは、会計の知識ではなく、「会計的思考法」である、という。そして
その思考法は何のためにあるかといえば、「企業活動を大局的にとらえ、もっ
と大切な本源的価値の創造に注力する」ためにあるという。

これは、ノウハウの世界ではなく哲学の世界だねぇ。

前半は、会計の基礎知識編。後半は、「会計と非会計の両面から企業活動の本
質をとらえ」「ビジネス成功のための大切なこと」に踏み込んだ展開となって
いる。

基礎編では、

 会計の世界は、すべて左と右にわかれている。なぜかといえば常に
 原因と結果の二つを同時に記録するためである。

 B/Sはある時点の静止画、P/Lはある期間の動画

など分かりやすい表現と解説がいっぱいでうれしい。

後半はちょっと哲学的な趣がいい。

 会計の世界は、因果の法則、陰陽の法則、調和の法則の上に成り立っており
 これは宇宙を貫く真理である。
 (陰陽は、善悪二元論ではない、その調和が大事。一方がなければ一方も
  存在しない。両者が調和してはじめて成り立つ。)

 多くの人を笑顔にし、幸せにし、世の中をもっとよくしたいという志を
 持ってビジネスを手がける人は、かならず共感し支援してくれる人たちが
 現れます。

 機会思考とは、すべてをチャンスと受け止める考え方です。

など、心にビビビ、とくる言葉がいっぱい。

会計の世界から宇宙をのぞいてみよう。


僕の思いつき

会計の基本的な知識の解説からはじまり、宇宙の真理、愛と感謝・・・となん
だか深い展開になるこの本、著者は、福島正伸さんから得たものが多いと紹介
しているとおり、とても共感するところが多い。

すべての仕事は、日本を世界をこの星をよくするためにあり、そんな志の人が、
いろんな世界にいることはとっても素晴らしいことだ。

会計士さんだから言える、ということではない。
どんな仕事をしている人も、自分の仕事の先に何を見つめ、何を思って行動す
るか・・・ただそれだけが仕事の哲学の深みへと続く道ではないだろうか。

郵便配達の人だって、居酒屋のお兄さんだって、僕だって、君だって・・・・
みんな素晴らしい道をもっている。

なーんて・・・思える、余韻がこの本にはあるね。

天野さんのジェイカレッジ講演も決まったようだ。
第38回 天野敦之さん 2008年8月6日(水)
  ★公認会計士・天野敦之さんに聞く
   「宇宙でつながる会計とヨーガ」
手帳にマーク!
http://jcollege.jp/2008/seminar_38_amano/#more-97

ではまた。


オススメ度

★★★★★+陰と陽

読んで欲しい方

・会計を面白くとらえたい方
・経営者の立場の方
・会計の価値を感じたい方

Posted by webook at 14:33 | Comments (0) | TrackBack

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