2011年04月05日

お手伝い至上主義でいこう! ~ 三谷宏治 + 陰徳

与え過ぎ、かまい過ぎの日本の親は、早めに読んどこう!

書籍情報

この本のツボは?

 
日本における子供の教育のあり方、とくに家庭でのそれは、なにか間違ってい
るように思う。たぶん、多くの家庭では、うすうす気がついていながら、そこ
から抜け出せないジレンマがあるのではないだろうか。

 ゲーム器を与えておいて、ゲームばっかりするんじゃないよと注意。
  中学受験に邁進させながら、こんなことさせていいのだろうかと不安に。

お金も指示(命令)もモノも与えすぎ・・・そんな日本の現状に、一石を投じ
る素晴らしい本がこれ。子供が生まれたご家庭は、今のうちに読んでおこう。
子育ては、やり直しがきかないから。

さて、日本の多くの家庭が抱える子供の教育問題に、実に面白いヒントを与え
る三谷家の秘密とは・・・。

著者の三谷さんが出した答えは、「与えすぎない」、「ヒマと貧乏とお手伝い」、
「放牧型イベント」の3つ。さまざまな方法のほとんどは、三谷家で実際に行わ
れたことだという。

多くの家庭で与えすぎている「お金、モノ、予定、勉強・・」に代わり、本当
にあたえたいものは、ヒマ、ビンボー、オテツダイ、だという。

・子どもは貧乏にせよ。
  (3人の子供に与えた500円をどう使ったかというエピソードはとても
   面白い。3人だから200円x3=600円ではないところがミソ。
   ビンボーからは、トレードオフ、交渉力、コミュニケーション力などが
   つく。)

・子どもはヒマにせよ。ゲームやテレビやメールに時間を奪われるな
  (ヒマ+ゲームやTVは最悪だが、ヒマ+考えて遊ぶは、最高)

・子どもにはお手伝いをさせよ。お手伝いを勉強よりもダイジと位置づけよう
  (オテツダイからは、「段取り力」「意思決定力」が養われる)

本書では、「ヒマと貧乏とお手伝い」と「放牧型イベント」を中心に、なるほど!
という楽しい方法が紹介されている。

4月2日、密かに三谷家に潜入し(笑)、つぶさにその様子を拝見してきた。
うひゃー、マジ。本のまんまでんなぁ! 登場する3人のお嬢様たちにもご対面。
さすが、放牧されてお育ちになっただけあって、イキイキしていらっしゃる。

やはり、日本の子育ては、こうでなきゃ。とつくづく思った。

日本の親の必読書。

おすすめ度は?

   ★★★★★+生きる力

知りたい?

   ・娘3人に渡した500円は、どう使われたか?
   ・10万円の予算で計画された小5次女隊長のプランは?
   ・娘の涙を前に、父親(著者)が選んだ方法は?


■■今日のおまけ:( 陰徳 )

 伝説のホテルの鶴ちゃんメルマガに(たぶん)
 素敵な一文がありました。
 勝手ながらご紹介します。笑

> 「陰徳」ということばがあります。
> 人知れず良いことをするという意味ですが・・・
> 人知れずしたつもりの良いことが、相手に気づかれてしまって
> 「ありがとうございます」とお礼を言われてしまったとしたら、
> その時に、それでチャラ(清算)である!というのです。
>
> なるほど。
>
> でも、この続きが興味深いお話でした。
>
> それで結局、気づかれなかったとするでしょう。
> そうしたら、神様がお礼を言わないと思いますか?
> ちゃ~んとお礼がくるんだって!
>
> 「そっか~、お天道様は見ている」っていうか
> まわりまわって、お礼が来るんですね!
>
> うん、
> でも本当はね、自分の代ではなくて、次の代にお礼が行くのが
> 本当の陰徳なんだって。
> そうやって、僕たちは先祖から代々のお陰さまで、生かされて
> いるんだから、自分たちも何かを残してあげなくちゃだね。
> ・・・生まれてきて、生かされていることに、感謝しちゃう!
> そんなお話でした。

 時間軸をうんと伸ばした発想は、なんだか心を広くしてくれますね。
 Give&Take  じゃなく、
 Give&Given でもなく
 Give&Give  ってことかな。


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2009年11月02日

稼げる人、稼げない人 ~ 高城幸司 + 測れば分かる?

   働き方の提案・・・・

書籍情報

稼げる人、稼げない人 (PHPビジネス新書)
高城 幸司
PHP研究所
売り上げランキング: 5814


本のひらめき

本書は、会社の都合で振り回されない働き方の提案書である。普通の社員に安
住していては危ない、「稼げる社員」にならない限り、地位も報酬も地盤沈下
してしまう時代だというわけだ。

「稼げる社員」とは、営業職のように利益や売上に直結する社員だけでなく、
経理や総務、あるいは技術などどんな職種にもあてはまる「できる社員」のこ
とである。

面白い問いが冒頭に登場する。あなたが上司から次のような指示をされたらど
うするか?というもの。

 「20代女性向けの新商品サンプルを宣伝のために街で2箱分配布してくれ」

それに対して2つの対応事例が登場する。
 
 Aさん:通行者全員に配布を試みる→30分で終了
 Bさん:20代女性だけに絞って配る→2時間かかった

Aさんは、単純作業として「こなした」だけ。
Bさんは、一見合格だがまだ不十分だという。稼げる人なら、配ることに加え
さらに「ひとひねり」加えるのだ。

 *商品の魅力を伝えるチラシをつくって一緒に配る
 *新商品がどこで買えるか配布するときに伝える
 *配布時の街の声から今後の宣伝プランを提案する

このほんのわずかな差が、実は将来大きな差を生み出す。そこには、仕事に対
する姿勢の違いがある。

その差を生み出す心がけを様々な切り口で説いている本書は、若いビジネスマ
ンにぜひ読んでほしい。

 上司は、指示通りやることを本当は期待していない。

だから、単にコピーをとるにしてもそこに何かを加える智恵がいる。その智恵
は、営業力だったり、想像力だったり、斬新力や再現力や削減力だったりする。

もう一つ面白い会社と社員の関係を拾っておこう。

 会社は業績を報酬で返すが、仕事は期待値で配分する。

期待値(あいつならできるかも)は、様々な場面であげるのがいい。そのチャ
ンスは、宴会の手配でも、ボランティアを集めるときでも、挨拶にもある。

自分を磨くきっかけにおすすめの本である。


<僕の思いつき>

本書は、実は著者から送られてきた。それには一通の手紙が添えられていた。
筆文字で。しかも見事な達筆。よくある印刷ではない、直筆である。
まず、それに感動した。そうでなければ、もしかすると積読書にまぎれてしま
ったかもしれない。

その手紙には、僕を行動させる何かがあった。

芸は人を助ける・・・まさにその言葉通り、達筆の筆はすばらしい力があった。

こどものころからやってきた習い事がもしあるのなら(なければ今から始める
のもいい)、それはぜひ続けておきたいもの・・・。

いつかわが身を救ったり、素敵な機会に巡り合う宝物になるから・・・



オススメ度

★★★★★+ひとひねり

読んで欲しい方

・社内での自分の価値を冷静に考えたい方
・評価される立場の方
・仕事のやりがいを感じたい方

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2009年06月29日

真のリーダーに導く7通の手紙 ~ 松山 淳 + 生イチロー

弱みをみせてもいい、矛盾しててもいい。

書籍情報

真のリーダーに導く7通の手紙
松山 淳
青春出版社
売り上げランキング: 32887


本のひらめき

読後に爽やかな感動を残す物語が、まず展開される。

創業者の父を持つ私。亡くなった父に向けて綴られる手紙で、苦しい逆境の時
を乗り越えていく状況が描かれている。クライマックスは、思わずほろりと涙
がこぼれる。

主人公は、亡き父の会社に入り頑張る40代の男。しかし、あるとき突然の降
格を受ける。言うことを聞かない部下、リストラという苦しい選択など、さま
ざまな苦境の中で、主人公が成長していく物語である。

亡くなった父に、手紙を書くことで、自分を見つめる機会を得、生きる道に気
づいていく様子は、さわやかな感動と静かな気づきを読者の心に届けてくれる。

物語が展開される7つの手紙のあとに、著者の、メッセージがある。

 不運を嘆くものは多い
 しかし、逆境を脱するため
 小さくとも何かの行動を起こすものは少ない
 「小さなゆらぎが大きな変化をよぶ」
 それが世の真理なのに・・・

 不運の中、自分を正確に捕らえようとするものは少ない
 声をかけてくれる人たちの言葉を
 素直に聞き入れるものは、もっと少ない
 逆境を抜け出す答えがそこに用意されているのに・・・

 時を巻き戻すことはできない
 時間は残酷なのではなく生真面目なのだ
 過ぎた時間を悔やむのではなく
 去るべき自分と対峙せよ
 縛られた自分を見極めよ
 時は戻らずとも
 過ぎた自分を取り戻すことなど
 いつでもできるのだから

詩的なフレーズに、深い洞察と慈愛に満ちたメッセージ性が感じられる。

本書で印用されている至言もとてもいい。よきメッセージとの出会いを演出し
てくれるのも、また本のありがたいところだ。

  あなたがなれたかもしれない人になるために
  遅すぎることはない。 (ジョージ・エリオット)

  誰であれ、他人を誠実に助けようとすれば
  必ず自分自身も助けることになるというのは、
  人生の最も美しい報酬のひとつである (ラルフ・W・エマーソン)
      
もし、今、逆境にあるなら、またかつてあったなら、ぜひ読んでほしい一冊。


<僕の思いつき>

後半は、物語の解説編。その中にエモーションダイアリーのことが紹介されて
いる。僕のこころにフックしたので書いておこう。

 「エモーションダイアリーを書く5つのポイント」
   1)いい人をやめて、正直な気持ちを書く
   2)少しくらい汚い言葉をつかってもいい。
   3)出来事よりも、それをどう感じたかを中心に書く
   4)書いたことを数日したら必ず読み返し、自分が書いたことをどう
     感じるかを、できるだけ前向きな気持ちで余白に記す
   5)毎日書く必要はない。日記は自己成長の一手段に過ぎないことを
     しっかり理解する。依存しすぎてはいけない。

自分の中に悪い感情がわいてしまうことはよくある。そして、そういう自分を
また認めてあげることも必要だ。感情は、理性より一瞬早く反応するらしい。
だから、どんな感情も認めてあげないといけない。そのうえで、どう判断(理
性)するかは、わが手の中にある。このタイミングをしくみ的に作り出すのが
エモーションダイアリーかもしれないね。

もうひとつ、ぜひ記しておきたい話。物語の中で、主人公が世話になった鈴木
部長のセリフ。

   お前「孫悟空」の話は知ってるよな。三蔵法師は、玄奘三蔵という実在
   の人物で、たったひとりでインドへ向かったことも。それが、孫悟空、
   猪八戒、沙悟浄をひきつれていった話になった。三蔵法師はひとりだっ
   たのにだ。
   やんちゃで生意気な孫悟空、欲の塊みたいな猪八戒、ちょっと気弱だが
   慎重で冷静な沙悟浄。この3人が一緒だった。こいつらは妖快だ。妖快
   ってのは人間の敵だろ。そいつらが三蔵法師を守り、無事、天竺(イン
   ド)にたどり着く。それでな、最後にしつこいけどもう一度言うぞ。
   三蔵法師はひとりだったんだ。

この話、心の中で何かを弾かせる話だよねー。

(ついでにネットで調べたら、三蔵法師は女性のように思っていたが=映画の
影響、実は男性。夏目雅子、宮沢りえ・・・の三蔵法師でまどわされた人は多
いらしいので、おまけ情報として)



オススメ度

★★★★★+自分との対峙

読んで欲しい方

・マネジャーの立場で悩んでる方
・逆境にある方
・心に栄養をあげたい方

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2009年05月17日

リーダーになる人のたった1つの習慣 ~ 福島正伸 + セミナー道(連載その1)

すべては自分から始まる。

書籍情報

リーダーになる人の たった1つの習慣
福島 正伸
中経出版
売り上げランキング: 5230

本のひらめき

本書は、実話をもとにした感動の物語である。

ステージは、赤字が続く3つのカラオケ店。3人の若者がそれぞれの店の店長
として運営を任されます。武田、五十嵐、間宮の3人。

武田勝也(31歳)は、一流大学を卒業後、外資系コンサルタント会社に勤務
し、マーケティングに精通。自信家であり、緻密。失敗経験はゼロ。

五十嵐あかね(29歳)は、大学卒業後、メーカーに勤務、企画部に所属。性
格があかるく、常に前向き。発想豊か。

間宮幸人(34歳)は、高校を卒業後、総務一筋。こつこつ努力型。人とのつ
ながりを何よりも大切にしている。

こんな3人が、取り組むプロジェクトとは、「赤字続きで回復の見込みのなく、
取り潰す予定のカラオケ店を、1年間だけ経営する」というものだった。

著者福島さん自身が、起業家支援のメンター(柴田)として登場する。

柴田が30年以上にわたっておこなってきた経営者養成スクールを卒業した3
人は、このプロジェクトを聞いて手を挙げてきた。参加の条件は、今の会社を
辞めること。背水の陣、である。

本書は、この3人が様々な壁にぶちあたりながら成長していく感動物語。

赤字続きで腐った思いを抱くスタッフとの出会い、人を育てることの難しさ、
離れる部下の気持ち・・・、一筋縄ではいかない問題に、読者も共感しながら
読み進むことになる。えー、そんなことになっちゃうわけ?みたいなどん底の
壁が幾重にも押し寄せてくる。汗;

すばらしい気づき、そして感動・・・本書は、とてもたくさんのメッセージが
もらえる。

どんな企業にも通じる大事なものが、見えてくる素敵な本だ。


<僕の思いつき>

3人がそれぞれの場面で受けた柴田からの素敵なメッセージを書き留めておこう。

 「上司が持っている権限とは、部下よりも先に困難に挑むことができる、
  という権限だよ」

 「君は今、試されてる。だからそんなときこそ、君自身をまず信じなさい。
  自分を信じたとき、他人を信じることもできるようになるんだよ」

 「あきらめない限り、人生には成功しかないんだよ」

 「夢は、すべての過去に意味を与える」

 「どんな仕事であっても、そこから得られる最高の報酬は、感動である」

 「人は罰によって、行動するふりをし、信頼によって、自ら行動します」

 「信頼とは、相手がどうかではなく、自分が相手をそのまま受け入れる
  覚悟ができているかということです。別の表現をすれば、自分が相手と
  一生涯付き合う覚悟をするということです。」

戦略とかシステムとか仕組みだけでは、組織は動かない。(動くふりをするだ
けである)そこに、何か、人の心のケミストリーを動かす何かがいる。

そのヒントが、この物語に隠されている。
本書を携えて、25日のジェイカレッジにいこう!


オススメ度

★★★★★+感動の共鳴箱

読んで欲しい方

・仕事の意味を考えたい方
・人を動かす立場の方
・感動の本質を感じたい方

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2009年05月04日

つなげる力 ~ 藤原和博 + 触媒師


 つなげることで問題は、物語に変わっていく。

書籍情報

つなげる力
つなげる力
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藤原 和博
文藝春秋
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本のひらめき

「いやー、あの人は面白い!」

多分、ぼくが本書の著者、藤原さんを誰かに紹介するときは、きっとこんな言
葉から始めるだろう。何をやっても絵になる。どんなことも面白くしてやり遂
げる。僕の知る著者の中で、「おもろい人」カテゴリーを作るとすれば、の方
をおいて右に出る人はいない。

本書のテーマは、「つなげる」こと。よのなかのあらゆる問題は、つなげるこ
とで、ドラマチックに解決していく・・。学校もビジネスも同じであると藤原
さんはいう。僕も大賛成!

つながってしまった時代に、つなげる力を発揮していけば、けっこう面白いこ
とができるのだ。本書は、その学校版のドキュメンタリー。藤原さんが、杉並
区の和田中学でまきおこした様々な中学校改革は、ドラマのように面白い。

藤原さんがやってきた教育の試行錯誤は、よのなか科に始まり、区立和田中で
の5年間の大実験につながり、今は、橋下知事特命として大阪の教育改革にも
出向いている。また文部科学省も、和田中をモデルとして「学校支援本部」を
立上げようとしている。50億円もの予算もついている。藤原さんのおこした
ゆらぎが、今、日本の教育を大きく揺さぶりながら変えていくところだ。

本書は、そのコアとなった「ドテラ」(土曜日の寺子屋)と、「夜スペ」(夜
スペシャル、夜間の学校に塾(サピックス)の講師をまねいて地域の進学塾)
など、ユニークな試みの成果と舞台裏が描かれている。

ドテラの活動は、ゲーム、テレビ、ケイタイ(子どもデジタル3種の神器)か
らどこもを解放するために始まった。土曜日にゲームやテレビでだらだらする
こどもは、月曜日まで乱れた生活が響くからだ。しかし、その活動を学校の先
生に頼むのは酷だ。

そこで、藤原さんは、「大学生と中学生」をつないで解決した。
教育を志向している学生に土曜日学習のおねえさん、おにいさんをお願いした
のである。これは大成功する。

藤原さんがつないだもの・・・それは

 学校と地域
 中学生と大学生
 中学生と社会
 こどもたちと世界
 偶然と必然

本書には、いろんなものをつないで起きた素晴らしい出来事が紹介されている。

本書には、情報編集力という言葉がよく登場する。従来の学校がやってきた情
報処理力(覚えて問題に回答すると褒められる)ではなく、情報処理力(正解
のない問題に対処する力)のことである。

よのなかにあるいろんなものや人をつなぐことで、中学生の情報編集力を格段
に高めることに成功した藤原さん。
そのエピソード1(和田中の5年)は、実に豊かな物語に満ちている。

藤原さんは、今、教育界の「よなおし」をするための第二ステージの準備をし
ているそうだ。オセロゲームのように、全国1万校の中学をひっくり返すため
のゲームだ。これからも目が離せない人、藤原和博さんが面白い!


僕の思いつき

きょうのメルマガの冒頭の書き出しは、この本のパクリである。笑

「作文は会話体(あるいは心内文)から始めよう」という作文技法だ。これは
けっこう使える。伝えたい塊を直球でズドン・・そんなプレゼン技法が、知ら
ない間に身に付く。(もし子どもがいたら、ぜひ教えてあげたい方法だねー)

本書にはこんな例が紹介されている。

  「もうすぐ始まるね」
  と山村くんがつぶやいたとき、ぼくは大きく息を吸って・・・

  「男子、ぜんぜんあわないじゃない!」
  実行委員がそう言ってにらみつけた。ぼくは・・・・

  「やるっきゃないな」
  ぼくは覚悟を決めると、立ち上がって壇上に進んだ。

こんな感じである。わずか2行だけど、何が始まるのかちょっと身を乗り出し
たくなる作文になる。

最後に登場する「時計ファンド」の物語もユニークだ。
詳しくはこちらに:
  http://www.yononaka.net/neo-japanesque/watch_p/index.html

何かと何かをつなげる・・・そこに不思議なケミストリーが発生する。その面
白さを僕たちも実際に試すことができる、そんな時代になってきた。

あなたは、何をつないでいますか?


オススメ度

★★★★★+情報編集力

読んで欲しい方

・学校を自分ごととして考えたい方
・コトあれ主義が好きな方
・つなぐ楽しみを感じたい方

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2009年03月29日

探求する力 ~ 市川 力 + WBCすごかった!

おっちゃんのMoso・・・・

書籍情報

探究する力
探究する力
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市川 力
知の探究社
売り上げランキング: 3994


本のひらめき

東京都杉並区にちょっと変わった学校がある。TCS(東京コミュニティ・ス
クール)だ。小学生が通う普通じゃない学校(学校教育法で正規に認められて
いない学校)である。そこで起きている“革新的な”試みを紹介したのがこの
本である。著者である市川さんが初代校長だ。生徒からは“おっちゃん”と
呼ばれている。  http://tokyocs.org/

ここで目指していることは「学び続ける力」の基礎を育むことだ。つまり、本
書のタイトルにもある「探求する力」を養うための面白いカリキュラムがある
学校なのだ。

テーマ学習がメインで、机の上で覚えるための学習ではない。意義あるテーマ
を設定し、そのテーマを探求する場に子どもたちを巻き込む、そして本質的な
問いと対峙する瞬間をつないでストーリー展開をしていく方法だ。そこに、や
らされ感はない。ここでの教師は、教え覚えさせる立場ではなく、テーマを設
定し、本質的な問いでストーリーを編むガイド役となる。

たとえばこんな具合だ。

 栄養について探ってみよう・・・というテーマがある。
 直球で問いを投げても小学生には面白くない。(探ってみたいと思わない)
 そこで 

 きみたち元気だねー   
 うん、元気だよ
 なんで元気なの?    
 だって、きちんと食べて、ちゃんとうんこしてるもん

 というやりとりの中から

 そうか、食べて、出すことが大事なんだ。じゃあどうして食べ物はうんこに
 なるの?

 という問いを出す。子どもは、本質的なところを揺さぶられる。
 そういえば、どうしてだろう?って。

こうした本質に迫る問いの連なりが、探求ストーリーを編み出していくのだ。

また、詩を創るために外に飛び出し、現物や現人と出会うフィールドワークの
紹介がある。詩人の技を知り、物と対峙し、人と出会う・・・そんなプロセス
は、読者にとっても新鮮に映るだろう。心を啓かれていく感じがする。

フィールドワーク、プレゼンなど、読んでいてもわくわくするものがある。

教育とは何か。

この問いに対して、市川さんたちの努力は、一筋の光を社会に投げかけている。

自然に、自発的に学ぼうとする環境を復元する試みは、おおいに注目したいと
ころだ。

すべての小学生と、親と、先生に・・・読んでほしい一冊。


僕の思いつき

後半は、探求学習を編み出す先生の立場で書かれている。

テーマの構造を整理した6つの探求領域や、方法論としてのGRASPなどが
印象に残った。

とくに新しい教員像を定義するGRASPは、覚えておいてもいい。

これまでの教師像は、教える人としての教師と、教わる人としての生徒という
二項対立的なイメージが強かった。
探求型学習をめざす教師は、深い問いを発しながら、自立的な探求を促すファ
シリテーターの役割が強くなる。

そんな教員に求められるスタンス(こどもを掴む姿勢)が、GRASPだ。

 G(Generate) 駆り立てる
 R(Release) 見守り任せる
 A(Accept)受容する
 S(Show)見せる、魅せる
 P(Participate)参加する


こんな風に何かの方法論やコンセプトを、ひとつの単語に集約する・・・この
作業は、意外に難しいが、面白い。なにか、やってみてもいいね。



オススメ度

★★★★★+探求しようぜ

読んで欲しい方

・学校の在り方に疑問をもってる方
・こどもにもっとのびのびさせたい方
・こどもと学校を元気にしたい方

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2008年06月16日

トップコンサルタントがPTA会長をやってみた ~ 三谷宏治 + すももの時間

発想を豊かに、そして限界を突破せよ!


書籍情報


トップコンサルタントがPTA会長をやってみた—発想力の共育法
三谷 宏治
英治出版
売り上げランキング: 14292

本のひらめき

子を持つ親は、子供にいろんなものを期待する。集中力、忍耐力、向学心、協調性、語学、スポーツ、音楽・・・。書き出してみると期待の塊のようになっているところもあるだろう。

そんな子供も学校を出て社会人になると、なぜか、発想力なんてものを期待されはじめる。

考えてみると、子育て熱心の親は、後々に期待されることになるこの発想力を錆びつかせる努力を一生懸命しているのかも・・・。

本書は、子供の教育(著者は共育と命名している)に関して、現在の常識からいくと対局にあるかのような、ユニークな思想とヒントを提示している。とても刺激的で、かつ考えさせられる内容がある。

三谷さんの定義によれば、「発想とは、自由で自立的な意思が、多くの観点から見抜いた真実を、さまざまに組み合わせたものの発露である」となっている。

発想力、クリエイティビティといった言葉は、ビジネスパーソンに求められる大切なスキルのひとつである。しかし、子供のころには、それほど意識されない。むしろ、ひたすら親の常識にそって、塾に通わせ、習い事させ、世間の常識と尺度の範疇で抜きんでることを求められる。ここに多いな矛盾が潜んでいる。

著者から発せられる、下記の最初の問いは、なかなか深い。

 希少な幼年期(幼稚園、保育園、小学校)に、塾や習い事で鍛え上げること
 は、本当に将来の発想力を伸ばすことにつながるのだろうか?

「ヒマ(時間的自由)」と「貧乏(手段の制限)」と「仲間(インタラクション)」が子どもの創意工夫を生み出し、未来の発想力につながる・・という仮説のもと、著者の育児体験、PTA会長の経験、そしてプロフェッショナルなコンサルタントの世界の知見を駆使しながら、その検証を提示している。

僕がとても深く響いたのは、「なぜだろうの心」を刺激するさまざまな問いかけと、限界は自分の中にある、それを突破しようといういくつかのエッピソードである。

たとえば、何故だろう(好奇心)のところでは、
 
  なぜ、貯水タンクは円柱状なのか
  なぜ、1分は60秒なのか
  なぜ、夜空は暗いのか
  なぜ、空気は透明なのか (Thinkで読んだ方もいるね)

など大人も、うーむと首をひねる問いがある。
大切なことは、その問いの答えをしっていることではない。それを考える力、考え抜く力こそが大切なのだ。

小学校のPTA会長として、親や子供に発せられた、ユニークなメッセージも実に楽しい。

変わるべきは親、私たちであり、それは自分のためでもあり、子供たちのためでもある。子供のなぜだろうの好奇心と自立の心を育むブレーキにならないよう、気をつけたいものだ。

大いなる刺激と、変化のきっかけをもらえる素晴らしい本である。


僕の思いつき

著者の三谷さんは今、教育の分野に情熱を注いでいる。教育ではなく、共に育つ“共育”の世界だ。

 子供は、教えるべき対象ではない、共に育つものだ。教育とは、学ばせる
 ことではない。学びに誘う(いざなう)ことだ。
 そしてその時のキーワードは、楽しさである。

そんな三谷さんの話を読んでいると、筑波大学付属小学校で教鞭をとっておられる露木和男さんや、杉並区立中学の校長として活躍中の藤原和博さんを思いだす。

それぞれ、社会人となったときに必要とされる大切な力を育むための努力と工夫を実に粘り強くされている。

次世代の子供たちが生き生きと暮らせるためにできること。その一つに

 学校へ行こう。(生徒ではなく、講師として)

がある。

三谷さんもこなんなメッセージを読者に出している。

 社内や身の回りを見渡して、研修講師の口がないか探してみよう。
 できそうなものがあったら、迷わずやるべし。
 適当なものがなかったら、勉強会と称して「自分の得意なこと」を
 テーマにした集まりを組織しよう。もちろんあなたが講師。

社内講師をやろう。なんでもいい。
勉強会講師をやろう。なんでもいい。
先生になって、学校へいこう! なんでもいい(たぶん)。



オススメ度

★★★★★+素朴な疑問

読んで欲しい方

・自由な発想でものごとを考えたい方
・人を育てる立場の方
・発想力って何かを感じたい方

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2007年07月10日

本気の子育て ~ 須田達史 + クレーム


   日本の子どもの未来のために・・・

書籍情報

人間の芯をつくる本気の子育て
須田 達史 アマヌマ ユウイチ
現代書林 (2007/07/03)
売り上げランキング: 2759


本のひらめき

ビジネス、政治、教育、スポーツ・・・さまざまな分野で「大人」が活躍して
いる。それぞれのフィールドで、成功したり成長したり年を経たりすると、多
くの人は最終的に、「人の教育や人材育成」の世界を目指すようになる。

後輩を育てたり、地域の子どもの育成を支援したり、途上国の子どもを支援し
たり・・・・道はさまざまだが、教育という貢献の世界は、なかなか魅力的な
のだ。

空手やキックボクシングなどの格闘技を極めた著者は、子どもたちの心の成長
を支援する活動を進めている。本書は、そんな著者の教育に対する考え方をガ
ツンとハードに語った本である。

 いつの時代も、子どもは大人の鏡です。

 日本人が豊かになって失ったもの。その一つが「本気」です。

 話す、とは、諭すことや、一方的に何かを言うこととは違う。
 本気で話すとは、子どもに話す機会を与え、それを真剣に聞くことだ。

など、大人の生き方論にもつながる考え方が示されている。

未来を作るのは子どもたち、それを応援するのは私たち大人たちの「真剣な」
生き様・・・なのだ。

子育て本といいながら、気づくことの多い本である。


僕の思いつき

本気で話す・・というのは、その前提として「本気で聞く」という大切なプロ
セスがある。

聞くというのは、聞き届ける・・・ということ。

ついつい、聞いたことへの感情が先立ち、いらついたり怒ったり、どなったり
してしまう。そこを押さえて大人しく聞けるのが「おとな」。

大人とは、おとなしい・・・態度からきているという。

自分の感情を抑え、冷静に受けとめる力こそ、大人の力量なのかもしれない。



オススメ度

★★★★☆+大人の本気

読んで欲しい方

・お父さん
・お母さん
・先生

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2007年07月03日

世界一やさしい問題解決の授業 ~ 渡辺健介 + 私には夢がある10年の軌跡

中高生だけじゃ、モッタイナ~イ

書籍情報

世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく
渡辺 健介
ダイヤモンド社 (2007/06/29)
売り上げランキング: 53

本のひらめき

ピラミッド構造、マトリクス分析、滝グラフ、仮説検証・・・とくれば、ビジネスパーソンが得意とする様々な問題解決のツールである。

本書は、もとマッキンゼーで活躍した著者が、中高生むけに、問題解決の道具をやさしく解説する本である。

そもそも問題解決とはどういうことなのか・・を1限目に、そして中学生バンド「キノコLovers」のコンサートの集客問題を2限目に、最後は、タロー君がパソコンを手に入れるための具体的な目標立てとそれを達成する方法を考えるのが3限目、こんな構成である。

えー、中高生がこんなこと知ってたら、大人としてはけっこうヤバいかも・・
というすごい問題解決力養成の本である。これを読める中高生がうらやましい。

中高生がいる親御さんは、まず自分が先に読んでから渡してあげよう。笑


僕の思いつき

仕事で使っている様々な手法や、考え方などを、子どもたちの問題に投影してみるのもいいね。あるいは、家庭の問題にしてみるのもいい。

企業の会計の世界を、家庭の家計で考えてみたりするのはよくある話。

立ち位置を変えて、考えてみる・・・それはひとつの素敵な方法論である。



オススメ度

★★★★☆+モッタイナイ

読んで欲しい方

・問題解決力をつけたい方
・人に教えるのが好きな方
・マッキンゼーにあこがれる方

Posted by webook at 16:01 | Comments (0) | TrackBack

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