2009年09月28日

「結果を出す人」はノートに何を書いているのか ~ 美崎栄一郎 + CFFC

さわやかな処女作!は、ヒントがいっぱい♪

書籍情報

「結果を出す人」はノートに何を書いているのか (Nanaブックス)
美崎栄一郎
ナナ・コーポレート・コミュニケーション
売り上げランキング: 18

本のひらめき

会社勤めをしている人も、独立起業の方も、メモをとることは日常茶飯事であ
る。たかがメモなんだけれど、そこに、ある意図をもたせると『たかがメモ』
が“すごいメモ”に化ける。

今日の本は、そんな面白さを教えてくれるだろう。

ビジネスマンの仕事の差はいったいどこから生まれるか・・・
その差は、「ノートの使い方」で生まれる・・というのが本書のテーマ。

経験を記録(メモ)により経験値に変換し、知恵を貯金する。この僅かな差の
蓄積が年を追うごとに大きな差になっていくのだ。

知識はそこら中にころがっており、グーグルでどこでも検索できるこの時代だ
からこそ、自分自身の知恵を蓄積する工夫と習慣が大切になる。

 ノートに蓄積し、検索できるのは、あなた自身の知識と経験
 グーグルで検索できるのは、他人の知識と経験

この対比が、とても気持よい。

さて、本書で紹介されるノーツ術は、3つのノート(メモ)で構成される。

 メモノート
 母艦ノート
 スケジュールノート

この3つにさらに付箋が加わる。

流れ的には、メモノートで断片メモをひろい、母艦ノートで育て、PCで清書
する・・というもの。スケジュールはその横で時間管理に使われる。

この中で、母艦ノートというのが肝になる。時系列で書き込み、日付を入れる。
項目別ではなく時系列に整理していくと、そこに意外なつながりや発見がある
かもしれないという。ふむふむ。

一年間、何気なくメモやノートを使って、使い捨てにするノートも、こうした
知識と経験の蓄積のために使うと、まったく別のものになる。

具体的な使い方や、文房具なども紹介されており、とってもいい刺激になる本
である。

何気ないしぐさ(メモ)を、価値あるもの(記録)に変身させるきっかけをも
らえる本である。読みやすく、気づきが多い。とってもお勧めの本。


僕の思いつき

ビジネス書のテーマで人気があるのは、時間管理に関するもの、メモや整理術
に関するもの、そして人脈や人間関係に関するものである。
仕事術・・となると、これらの要素が組み合わされていたりする。

どれも、普段、何気なく行っていることだが、それを将来「自分のもの」にし
ようとするかどうか・・・それが、僕らの未来をかなり変わったものにする。

ある意図をもって、日々のささやかなことを工夫しながら積み重ねていくと、
そこには自分だけの宝物が蓄積されていく。

1年後に、ちょっと違った自分がいるために、今から何かはじめてみてもいい
ねー。

本書の中で、面白い!って思ったのは

 講演会で著者や講師に印象づけるため、手製のノートをプレゼントする。

というところ。著者の本のカバーデザインをカラーコピーして、ノートに巻き
つけ、本そっくりのノートを作って手渡すというもの。(あはぁー、僕もそう
いうのもらったら、超~よここんじゃうねー)

一年後の違う自分をめざして、なんか始めようよ。


オススメ度

★★★★★+経験の貯金箱

読んで欲しい方

・仕事を記録に残したい方
・記録から知恵を引き出したい方
・メモの楽しさを感じたい方

Posted by webook at 14:01 | Comments (0) | TrackBack

2009年09月21日

ソーシャルビジネス入門 ~ ベン・コーエンほか + Mosoの新しい定義

「社会起業で稼ぐ」新しい働き方のルール

書籍情報

ソーシャルビジネス入門 「社会起業で稼ぐ」新しい働き方のルール (The Social Venture Network Series)
ベン・コーエン マル・ワーウィック
日経BP社
売り上げランキング: 37415


本のひらめき

ベン&ジェリーズ・アイスクリームというちょっとユニークな会社がある。
   http://www.benjerry.com/
ただのアイスクリーム屋さんではない。人権、地球環境、利益のトリプル・ボ
トムラインに貢献する企業ということで、これまで多くのメディアに取り上げ
られている優良企業なのだ。ホルモン成長剤を使わない牛から搾った牛乳を使
っていること、NPOに積極的に協力していること、などのほか、ホームレス
の社会復帰を促すために店を職業訓練の場として提供しているという。
著者のベン・コーエンは、その創業者。

この本の原書タイトルは「VALUE-DRIVEN BUSINESS」だ。訳すと「価値に基づく
ビジネス」となる。ベン&ジェリーズ・アイスクリームは、まさに価値に基づ
く企業、つまり社会企業(ソーシャルビジネス)の典型なのである。

もし、こうした社会企業(ソーシャルビジネス)が、あたらしい時代の企業の
あり方だとすれば、今までは(今でもそういう企業がいっぱいだが)どんな価
値観のビジネスが多かったのか・・・。

それは、多くの人が心の底で感じている「なんだかんだといっても結局はお金
儲けのためだよな」という企業の価値観である。
もちろん、利益がでないと事業の継続が困難になるから、お金も大事であるの
は正しいのだが、それを「目的」になってしまった企業の多いこと・・・。
さしずめ、MONEY-DRIVEN BUSINESS といったところだろうか。
(もし、この大不況にあって、コスト削減と予算達成のことしか社員にアピー
ルしていない経営者がいたら、要注意)

本書は、そうしたこれまでの価値観を抜け出し、世の中をよくしていこうとい
う「価値に基づく企業」の在り方について、先進事例を紹介しながら解説して
くれる。例えば・・・

 ☆ビジネスで地域社会を支えるオフィス用品販売の会社(サクラメント)
  http://www.givesomethingback.com/
    この会社は、給与や経費など必要なコストを除いた利益をぜんぶ地域
    に還元してしまう。一部ではなく全部である。
    「わが社で買えば、地元コミュニティのためになります!」
    というわけである。

企業の存在が、従業員に、地域社会に、地球によいことを還元することを、誰
もがはっきりと意識できる企業が事例としてたくさん登場する。

理想と現実の間は、けっこう厳しい課題があったりするが、それに翻弄されず
に社会企業を持続させていくための覚悟がいる。そして、具体的な対策もいる。
本書には、そんなヒントがたくさんある。従業員との関係、顧客との関係、サ
プライチェーンとの関係・・・いろんな場面で、社会企業として存在するため
に必要な考え方が示唆されている。

これから社会に出ようとする若い人に読んでほしい一冊。
またこれから事業を興したい起業家の方にもぜひ!


僕の思いつき

ソーシャルアントレプレナー、社会起業家といった言葉が、最近では一般用語
として定着してきた。お金だけに価値の軸を置いていない企業である。

本書には、アメリカの企業しか登場したないが、日本にもそうした素晴らしい
思想をもった企業がいくつかある。

今度ジェイカレッジで講演いただく鶴岡さんの「伝説のホテル」もまさに、そ
うしたホテルの一つであろう。泊まることで地球のためになる・・・そんな思
いで運営されるこのホテルは、いつか、今日の本のような社会企業の手本とし
て登場するに違いない。

今回、この本を翻訳されたおひとり、斎藤槇さんは、こうしたソーシャル企業
とつながる素敵な方である。自称、「ビジネス界のチアリーダー」は、その著
書「社会起業家」(岩波新書)において、いくつかの日本企業についても紹介
されている。この本もおすすめである。
http://tinyurl.com/shakaikigyouka2

先日お会いした斎藤槇さんは、アメリカで出会った最も素晴らしい方(=田坂
広志さんに紹介したい方)のおひとり。

もう一冊、おすすめを紹介しておこう。
「社会起業家という仕事 チェンジメーカーII」である。 渡邊奈々さんの作品。
  http://www.webook.tv/archives/2008/10/post_34.html
http://tinyurl.com/changemaker2

社会起業家や社会企業を目指す人が増えるといいなー。


オススメ度

★★★★★+トリプル・ボトムライン

読んで欲しい方

・ビジネスを見直したい方
・CSRを担当する方
・社会起業家になりたい方

Posted by webook at 15:03 | Comments (0) | TrackBack

2009年09月08日

12日間速習プログラム決算書トレーニング ~ 田中靖浩 + 楽しい会計士さんたち

会計の本質は、・-・-・ なんですな!

書籍情報

12日間プログラム 決算書トレーニング
田中 靖浩
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 2442

本のひらめき

最近、田中さんがめっきり痩せて引き締まったお顔になられたなぁーと、日経
新聞の特集記事を見て、そんなことを思っていたら、やっとそのなぞがどけた。

この本を書くために、ダイエットし5ヶ月でなんと10キロも体重を落とした
・・・というのがその真相。笑 (ほんとは違うよ)

さてさて、本書は、田中さんが最近取り組んでいる「違うものをまぜて危険な
ものを生み出す」(笑)という仕業から生まれた作品である。

今回は、ダイエットと会計の世界を対比させた「会計の超・入門書」である。
自身のダイエット体験の中で気づいたことは、「健康になる仕組みは、人間も
会社も似ている」ということだったという。

 身体の「食べる、消費する、脂肪体質を改善する」というプロセスと
 会社の「稼ぐ、使う、財務体質を改善する」というプロセスがそっくりだ

ということだ。

もう一つ、本書の特徴は、数字ではなく図解で理解できるといところ。これは
実に素晴らしい大発見(発明)であると思う。

まず、点と線が、会計の本質であるという。それは人口増減も、体重変動も、
会社の決算書の動きも同じ。つまり 「・-・-・」であるということだ。

 点(・)は、ストックであり、結果である
 線(-)は、フローであり、原因である

点(・)は、ある時点の体重、人口数、財産を示し、会計ではそれをB/S表
として示す。
線(-)は、点と点の間の増減を示す。会計ではそれをP/L表として示す。
というわけだ。ふむふむ。

決算書とダイエットは、ストック(・)の価値が逆である。決算書では貯め込
んだほうがいいが、ダイエットは痩せた方がいいから。

さらに、体質にも踏み込んでいく。ダイエットでは体重が問題というより、脂
肪体質かどうかという点がポイント。決算書では、財務体質ということになる。
B/Sで負債が多きすぎるとメタボになっちゃう・・・という具合だ。
さらに決算書のキャッシュフロー計算書(資金繰り)は、血液循環にたとえて
解説される。

ソニー、アップル、JAL、マクドナルド、モスバーガーなどなじみのある企
業がいっぱい登場し、クイズもあって、実に楽しく読める。かつためになる。

田中さんの新たなチャレンジは、実に楽しく、優しく、面白く、そして深い本
を生み出した。これ、超・おすすめだねー。


僕の思いつき

だいぶ前から、メールの署名にいくつかの名言を拝借して追加している。その
中のお気に入りに、井上ひさし氏の下記が言葉がある。

 < 難しいことを易しく、易しいことを面白く、面白いことを深く >

今日の本は、まさにそのままあてはまる。楽しく面白く読めるけど、けっこう
深い会計のことが書いてあったりするのが、すごいところだ。

人は(会社にいると特にそうならる)、一度わかってしまうと、それを知らな
い人にいかに分かりやすく伝えるか・・ということを、すっかり忘れてしまう。
自分が苦労して理解してきた道を、人も同じように歩むのが当然・・・みたい
な思いを自然に抱いてしまうらしい。
また、それを権威の道具にしてしまう輩もいたりするから、困ったものだ。

易しく面白くする工夫のひとつは、メタファー(metaphor 比喩)である。
田中さんの本では、決算書をダイエットの世界と見比べながら、ナールホドの
世界へいざなってくれた。

こういうことを、いつも考えていると楽しいかもね。案外いろんなものは、つ
ながってるし、似ていたりするから。
さてさて、何に例えますかな・・・ ゴルフ?野球?健康?こどもの教育?

メタボじゃなくって、メタファーでまいりましょうぞ。


オススメ度

★★★★★+決算書だぁ、イェー!っと。

読んで欲しい方

・物事を直感的に捉えたい方
・決算を説明する立場の方
・決算書を“感じたい”方

Posted by webook at 15:06 | Comments (0) | TrackBack

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